トランプの対アジア外交政策から読み解く 日本が果たすべき役割
2016.11.15 ザ・リバティ・ウェブより、有料記事の為大幅抜粋・編集
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12196
次期アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏のアドバイザー、アレクサンダー・グレイ氏とピーター・ナバロ氏が、アジア外交戦略について、外交専門誌「フォーリン・ポリシー」に論考を発表した(7日付)。トランプ氏のアジア外交を予測する上で参考になるだろう。
概要をまとめると、以下のようになる。
「力による平和」が基本戦略
• 2011年当時、国務長官だったヒラリー・クリントン氏の「アジアピボット(アジア回帰)」は鳴り物入りではじまった政策だが、結局、口先だけでなんら実行力があるものとはならなかった。
• 同地域における軍事力、とりわけ海軍力を削減したことが、アジア回帰を無に帰した。
• アメリカは急速に台頭する中国の前に太刀打ちできなかった。この間、中国は南シナ海に3000エーカーもの人工島をつくり、東シナ海では、防空識別圏を宣言した。
• その上、ヒラリー・クリントン氏は北朝鮮のオバマ政権の「戦略的忍耐」(Strategic Patience)を忠実に実行し、北東アジアを一層危険に陥れた。
• 2012年に中国が南シナ海のスカボロー礁を実効支配した際、なんら介入しなかったことが原因で、フィリピンのドゥテルテ大統領は中国にすり寄ることになった。
• トランプのアプローチは2つある。1つは自国の産業が海外に流出したり、被害を受けるような条約を結ぶことはないということだ。もう1つは、レーガン大統領と同様「力による平和」(Peace Through Strength)を基本戦略とするアプローチだ。この困難な課題を実現するために、トランプ氏は、オバマ政権下で削減された軍事力を立て直し、軍備の増強を図らなければならない。
• 駐留費の全額負担はフェアな考えである。
同盟国への負担増は一貫
「力による平和」とは、軍事力を増強して自由を守る役割を担い続けるという意味だが、NATOおよびアジアの同盟国に対する負担増の主張は、一貫して変わっていない。
その背景には、米国の国内事情がある。大統領選直後、はじめてメディアのインタビューでトランプ氏はこう述べている。
「中東で6兆ドルも使ったんだ。道路や橋やトンネル、それに空港を見てください。古びていますね。6兆ドルもあれば国を2回立て直せたよ(You know, we've been fighting this war for 15 years. ... We've spent $6 trillion in the Middle East, $6 trillion - we could have rebuilt our country twice. And you look at our roads and our bridges and our tunnels ... and our airports are ... obsolete.)」(13日のCBS「60ミニッツ」より)
まずは国内のインフラ整備にお金を使いたいということだ。
日本はどうする?
安倍晋三首相は、米大統領選期間中、クリントン氏を訪問したが、日米安保条約の片務性に対する批判を恐れてか、トランプ氏を訪問しなかった。
だが、「日本およびアジアを守るために死んでください。私たちはお金も人も出しません」という論理が国際社会で通用するはずがないだろう。もちろん日本はすでにお金を出してはいるが、防衛の大部分をアメリカに頼り切っていることは事実。本来防衛にかかるお金を使わずに済んでいる面は大きい。
また、フィリピンのドゥテルテ大統領のように、親日で、「アメリカより日本に頼りたい」というアジア諸国の声も無視できないはずである。日本が、アメリカと共にアジアを守る"婦人警官"的役割を目指せば、17日に予定されているトランプ氏との会談も、建設的なものとなるはずだ。
真摯にトランプ氏の要望に耳を傾ければ、片務性の根本原因となっている憲法9条の改正、日米安保条約の改定が求められる。政権の安泰ではなく日本の将来の幸福を考えるなら、次の選挙戦の争点は、やはり憲法でなければならないだろう。(長華子)
2016.11.15 ザ・リバティ・ウェブより、有料記事の為大幅抜粋・編集
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次期アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏のアドバイザー、アレクサンダー・グレイ氏とピーター・ナバロ氏が、アジア外交戦略について、外交専門誌「フォーリン・ポリシー」に論考を発表した(7日付)。トランプ氏のアジア外交を予測する上で参考になるだろう。
概要をまとめると、以下のようになる。
「力による平和」が基本戦略
• 2011年当時、国務長官だったヒラリー・クリントン氏の「アジアピボット(アジア回帰)」は鳴り物入りではじまった政策だが、結局、口先だけでなんら実行力があるものとはならなかった。
• 同地域における軍事力、とりわけ海軍力を削減したことが、アジア回帰を無に帰した。
• アメリカは急速に台頭する中国の前に太刀打ちできなかった。この間、中国は南シナ海に3000エーカーもの人工島をつくり、東シナ海では、防空識別圏を宣言した。
• その上、ヒラリー・クリントン氏は北朝鮮のオバマ政権の「戦略的忍耐」(Strategic Patience)を忠実に実行し、北東アジアを一層危険に陥れた。
• 2012年に中国が南シナ海のスカボロー礁を実効支配した際、なんら介入しなかったことが原因で、フィリピンのドゥテルテ大統領は中国にすり寄ることになった。
• トランプのアプローチは2つある。1つは自国の産業が海外に流出したり、被害を受けるような条約を結ぶことはないということだ。もう1つは、レーガン大統領と同様「力による平和」(Peace Through Strength)を基本戦略とするアプローチだ。この困難な課題を実現するために、トランプ氏は、オバマ政権下で削減された軍事力を立て直し、軍備の増強を図らなければならない。
• 駐留費の全額負担はフェアな考えである。
同盟国への負担増は一貫
「力による平和」とは、軍事力を増強して自由を守る役割を担い続けるという意味だが、NATOおよびアジアの同盟国に対する負担増の主張は、一貫して変わっていない。
その背景には、米国の国内事情がある。大統領選直後、はじめてメディアのインタビューでトランプ氏はこう述べている。
「中東で6兆ドルも使ったんだ。道路や橋やトンネル、それに空港を見てください。古びていますね。6兆ドルもあれば国を2回立て直せたよ(You know, we've been fighting this war for 15 years. ... We've spent $6 trillion in the Middle East, $6 trillion - we could have rebuilt our country twice. And you look at our roads and our bridges and our tunnels ... and our airports are ... obsolete.)」(13日のCBS「60ミニッツ」より)
まずは国内のインフラ整備にお金を使いたいということだ。
日本はどうする?
安倍晋三首相は、米大統領選期間中、クリントン氏を訪問したが、日米安保条約の片務性に対する批判を恐れてか、トランプ氏を訪問しなかった。
だが、「日本およびアジアを守るために死んでください。私たちはお金も人も出しません」という論理が国際社会で通用するはずがないだろう。もちろん日本はすでにお金を出してはいるが、防衛の大部分をアメリカに頼り切っていることは事実。本来防衛にかかるお金を使わずに済んでいる面は大きい。
また、フィリピンのドゥテルテ大統領のように、親日で、「アメリカより日本に頼りたい」というアジア諸国の声も無視できないはずである。日本が、アメリカと共にアジアを守る"婦人警官"的役割を目指せば、17日に予定されているトランプ氏との会談も、建設的なものとなるはずだ。
真摯にトランプ氏の要望に耳を傾ければ、片務性の根本原因となっている憲法9条の改正、日米安保条約の改定が求められる。政権の安泰ではなく日本の将来の幸福を考えるなら、次の選挙戦の争点は、やはり憲法でなければならないだろう。(長華子)