金曜エッセイ第3回は「思春期の出来心」。
【出典:しんぶん赤旗 2020年7月17日】
第2回のエッセイで言及したように
東京都子どもを受動喫煙から守る条例(案)に対して
日本たばこ産業(JT)は意見を出しています。
そのなかで、第12条の
「禁煙の効果及び禁煙治療に関するの知識の普及啓発」
に最後まで反対し、条文から外すよう執拗に食い下がったと
都の関係者から直接話を聞きました。
タバコによる子供の被害というと
おそらく、真っ先に受動喫煙や三次喫煙が思い浮かぶのではないでしょうか。
私も、子供の時から受動喫煙の被害に遭っていること
一度もタバコを吸ったことがないことや
未成年でタバコを吸う友人がいなかったことなどもあり
未成年者の能動喫煙の被害についてほとんど知りませんでした。
しかし、2018年に静岡市保健所所長・加治正行氏の講演で
ニコチン依存症になってしまった生徒たちの話を伺い
能動喫煙の被害に苦しむ子供たちがいることを知りました。
それまでの自分の視野の狭さに恥ずかしい思いがしたこと
子供たちの苦悩を知って涙が出てきたことは、忘れられません。
子供自身がタバコをやめられなくなってしまったと気づいた時に
禁煙治療が受けられることや
禁煙すればまた元の生活に戻れることを知っていれば
一人で苦しみ怯えながら禁煙を試みたり
禁煙をあきらめてタバコを吸い続けることもないでしょう。
せっかくタバコを吸い始めた人がタバコをやめてしまうことほど
タバコ企業にとって大きな打撃はありません。
今後どれだけ喫煙を継続する年数が見込めるか
つまり、どれだけタバコ企業にお金を落としてくれるかという観点からみれば
大人より子供にタバコをやめられてしまう方が
タバコ企業にとってより大きな打撃であることがわかります。
東京都子どもを受動喫煙から守る条例の第12条
「禁煙の効果及び禁煙治療に関するの知識の普及啓発」
は、JTの意見にあるように、受動喫煙を防止するという条例の目的には
一見、合致しないようですが
能動喫煙を始めてしまった子供に禁煙や禁煙治療の知識があり
その道筋がつけられれば、ほかの子供を受動喫煙から守ることにつながる
根本的な解決法なのです。
子供の禁煙治療への道筋をつける役割を担うのは大人であり
子供の喫煙がニコチン依存症であるという認識が必要です。
そして、子供に必要なのは処罰ではなく治療だということを
大人は肝に銘じて子供に接することが、とても大切なのです。
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