たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★韓国にいちばん近い島 ~対馬訪問記~

2014年11月09日 | まなび
10月上旬、曹洞宗東京都宗務所主催の宗教事情視察旅行に行って参りました。

行き先は長崎県の対馬、九州本土から約132キロメートルの距離がありますが、
お隣の韓国がある朝鮮半島へは朝鮮海峡をはさんで約49.5キロメートル。
韓国にいちばん近い島、訪問する機会があまりない離島です。



◆平成26年10月7日(火曜日)



羽田空港から福岡空港を経由して対馬空港へ。福岡からはプロペラ機。







規制緩和により、電波を発さない電子機器の利用が、離着陸時でもOKとのこと。
離着陸時の風景をビデオで撮ってみました。





厳原にある対馬市交流センターにて、郷土史研究をしている永留先生のご講義。





対馬の歴史は、日韓両国の交流における日本側窓口としての役割が大きく、
現在に至るまで、両国の関係性に大きく影響を受けてきました。
講義の最後に紹介された人物が江戸時代の儒学者、雨森芳洲でした。

対馬藩の朝鮮方佐役をつとめて朝鮮との外交に手腕を発揮した人物で、
朝鮮外交に関する52の心得を『交隣提醒』として著しました。
本書で説かれている「誠信の交わり」が心に残る物でした。

互いに欺かず、争わず、真実をもって接することが、
日韓両国の交流には必要であるとの教えです。

あぁ、これは人と人の関係でも同じ事がいえますね。


wikipediaより



講義の後は、厳原周辺の訪問。
対馬藩主宗家菩提寺の万松院。


宗家墓所へと続く石階段


徳川家歴代将軍の霊位牌が祀られています。



現在の曹洞宗国分寺の山門は、朝鮮通信使を迎え入れるために作られた門でした。





地場の信仰を感じます。
傍らに見える石垣は、対馬の伝統的な構造物で、建物の類焼を防ぐための防火壁とのこと。







◆10月8日(水曜日)

2日目はバス移動で対馬の島内各所の参拝、見学でした。



なんと、日本最古の寺院?!という由緒ある梅林寺。

かつて朝鮮通信使は大陸からの文物を将来していたそうですが、その中には仏像もありました。
仏像は単なる荷物ではなく、信仰対象として持参していたため、
朝鮮半島から日本に渡った初めの上陸地である対馬でしばらく滞在する間、
仏像を仮安置して日々礼拝していたそうなのです。

一般的には日本最古の寺院は飛鳥寺とされていますが、
仮安置とはいっても仏像を祀り礼拝したという由緒から、
梅林寺は日本最古のお寺であるとのことだそうです。


本堂正面


本堂内


朝鮮半島の影響を感じる太鼓



豊砲台跡
対馬島の最南端にあるこの地は朝鮮海峡を一望することができ、
ここにもともと戦艦長門に搭載されていた主砲を移設したのだそうです。

今では廃墟となりましたが遺構はそのまま残されています。
入口のスイッチを入れると30分間照明が点灯するというしくみです。












韓国展望所

韓国釜山を望む韓国展望台。豊砲台跡からそばにあります。

実は携帯電話(SoftBank)は圏外。にもかかわらずなのか、だからこそなのか…
代わりに国際ローミングの手続き案内が送られてきてをびっくり!
韓国から携帯電話の電波が届いているようです。







日本で客死した朝鮮半島の訳者の慰霊碑。故国を望むように建てられています。





展望所のそばには自衛隊の基地があり、レーダー施設が目を引きます。
ここが国境の最前線であることを感じさせます。





絶好の天気で、なんと韓国釜山の街並みを見ることができます。
他の場所では気付きませんでしたが、韓国からの観光客の多さにもビックリ!







海神神社

平成24年10月に発生した「対馬仏像盗難事件」の被害神社です。
同神社の「銅造如来立像」と同市観音寺の「金銅観世音菩薩坐像」が窃盗に遭い、
韓国人犯行グループが逮捕されたにもかかわらず、元は日本が和寇に乗じて略奪した仏像であると訴え
国家間の問題にまでなり、いまだに返還が為されていないという異常事態が続いています。

神社であるのに仏像が盗まれたというところは、
かつての神仏習合の色合いが濃いことを思わせます。





盗難された仏像は開けっぴろげな本殿ではなく、防犯対策を取っている堅牢な収蔵庫から盗まれたそう。









和多都美神社

和多都美神社の一の鳥居です。この鳥居、実は海の上に建っています。
ちょうど参拝に訪れた時は干潮であったので間近にすることが出来ました。







広島宮島の厳島神社のように、海から5つの鳥居が連なり、本殿へと続いています。







烏帽子岳展望台

グルリと360度にわたって対馬を眺めることができます。
韓国展望所では見られた韓国釜山が、午後になって大気の状態が変わったのか見られません。







万関橋

日露戦争の際、東西交通を確保するために対馬の中央部分一番狭い陸地約300メートルを掘削貫通。
そして出来上がった万関瀬戸により対馬は南北2島になりました。


万関瀬戸


3代目の万関橋





今回の研修行程では翌日には壱岐に移動し、
壱岐歎仏法要・壱岐神楽に参列することになっていたのですが…
出発直前に訃報があり、日程を短縮して私は対馬のみの訪問となりました。

行程は半減しましたが、得るところも大変多くありました。
歴史に学ぶ他者との関係性の保ち方、寺院を開放することの良さと危険性、
社会環境の変化に対して何を守り、何を対応させていくか、
理念だけでは対処できない事柄を目の当たりにしました。






厳原港夕景
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★ちょっと離れると、もっと優... | トップ | ★平成26年11月22日開催... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

まなび」カテゴリの最新記事