H 26年 11月
≪健康なすまいを考える≫
~医師であるお客様とのお話より~
株式会社 清武建設 (清武一級建築士事務所) 一級建築士 清武 修一
先日、「医師」のお客様が、来社されました。
その中で、※シックハウスの原因である、
ホルムアルデヒドが充満する住宅は、好まないというお話がありました。
※シックハウス⇒家原病とも言われます。アトピー、アレルギーの原因の一つと言われています。
現在、弊社にて設計させていただいており、
私の乏しい知識ではありますが、再度、私自身も整理する為に、
そのお話の内容を書いてみたいと思います。
【ホルマリン】
ホルマリンは、無色透明で、刺激臭があり、生体に有害とされる水溶液です。
ホルマリンによって死滅する菌類、細菌類が多いことから、防腐処理に広く用いられ、
希釈して、ケガをした時の消毒液としても使用されます。
ホルマリンは、防腐処理として有効な為、
接着剤が腐敗して、接着強度が低下しないように、
接着剤に、防腐剤として添加されています。
ホルマリンが気体になると、ホルムアルデヒドになりますが、
シックハウス(家原病とも言われます。)の原因になると考えられています。
その為、ホルマリンを含む接着剤を使用した建築資材を使用しない事が、
シックハウスにならない有効な手段になります。
しかし、現実には、そのような建築資材が無いに等しく、
接着剤が腐敗して接着力が低下すると、
建築資材の強度不足、反り、建築資材の接合部分の剥離が発生し、
製品不良になってしまいます。
●フローリング
●室内の出入り口のドア、ドア枠
●システムキッチン、洗面台等の水廻り器具
●屋根、壁に貼る合板
全てに、防腐剤であるホルマリンを含む接着剤によって接合されています。
建築基準法により、平成15年7月1日に施行されましたが、
★★★★、フォースターと表記された、
ホルマリンの量を制限していた建築資材を使用することが義務化されました。
しかし、ホルマリンがゼロの建材は、ほぼ流通されていない現状です。
家具には、ホルマリン量の規制がありませんので、ご注意ください。
【キャッチャー剤】
接着剤の防腐剤であるホルマリンが気化すると、ホルムアルデヒドになりますが、
ホルムアルデヒドとして気化する事を防ぐ為に、
キャッチャー剤というものが添加されています。
その為、新しい製品は、ホルマリンの刺激臭がなく、問題なく感じてしまいます。
しかし、キャッチャー剤の有効期限は3年程度なので、
数年後にホルムアルデヒドが発生します。
【にかわ接着剤】
「にかわ接着剤」は動物の骨や皮から製造したもので、
日本以外でも、中国 ・欧州 ・エジプトなど、紀元前から使われた代表的な接着剤です。
「にかわ接着剤」には、シックハウスの原因となるホルマリンが含まれません。
木材と木材を接合する場合に使用し、弊社でも建築する住宅が増えています。
【でんぷんのり】
ホルマリンを含まない、小麦を原料にした「でんぷんのり」を、
壁紙を貼る接着剤として使用しています。
しかし、数年後に壁紙が剥がれやすくなるというデメリットがあります。
難しい選択ですが、あらかじめご理解の上、使用しています。
【シックハウスを防ぐ具体策】
◆ホルマリンを含む接着剤を使用している合板類をなるべく使用しない。
◆上記の合板類で製品化された商品をなるべく使用しない。
◆「にかわ接着剤」、「でんぷんのり」等の自然素材の接着剤を使用する。
◆健康素材だと思われる珪藻土等の塗壁商品でも、ホルマリンが含まれており注意する。
【弊社の現状】
① 壁、屋根の全てに合板を貼った住宅が9割以上建築されている住宅業界の現状ですが、
壁には合板を貼らず、木組で強度を確保し、瓦屋根の下には合板を貼らず、
無垢の杉板を貼っています。
② フローリングは貼らず、無垢の床材をオススメしています。
③ フローリングの下に、床の強度を確保する為に、
24mm以上の合板を貼った住宅が9割以上建築されている住宅業界の現状ですが、
弊社では、無垢の木組で床の強度を確保しています。
④ 木製ドア等は、工業製品を使わず、
「にかわ接着剤」を使った手作りのドアをオススメしています。
⑤ キッチン、洗面等の水回り器具は、工業製品を使わず、
「にかわ接着剤」を使って手作りで製作した商品をオススメしています。
このような弊社の取り組みにより、
かなりのホルムアルデヒドの発生を防いだ住宅を建築しています。
①②③を実行し、他社の住宅メーカー様のご予算以下で建築できていますが、
④⑤は、本当に申し訳ありませんが、かなり高額になってしまい、
ご予算の多い方、建築面積を縮小できる方、ご家族の体調によりオススメしています。
一級建築士2名 二級建築士2名 スタッフ
弊社での考え方を下記HPに掲載しています。
http://kiyo.jpn.com/hajimeni.html