「無常」の力について語られていたNHKの「100分de名著 鴨長明“方丈記 ”」のひとコマと、「無常の力」を育てるチェック項目として役に立ちそうな「カーラーマ経」をご紹介します
100分de名著 鴨長明“方丈記 ” <終>第4回「不安の時代をどう生きるか?」
出演者【ゲスト】作家・僧侶・芥川賞受賞…玄侑宗久,【解説】京都産業大学教授…小林一彦,【司会】伊集院光,島津有理子
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(島津アナ)
「無常という力 」、この本では、無常が力になる、っていうふうに玄侑さんおっしゃっているわけですよね。これはどういうことなんでしょうか。
(玄侑さん)
外の世界を観察して、「ああ、無常に変わるな~」ということではなくて、「私が変わり続けなければいけないんだ」という(こと)。禅の言葉では「百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)に一歩を進む」、というんですけれども、要するに、ここが行き詰まり、「これが究極的な理屈なんだ」というものを考えた後でも、そこにとどまったらば、それは死なんですね。精神の死なんですね。
(伊集院さん)
それは分かりやすく言うと、常識みたいなもんにとらわれすぎるな、ということですか?
(玄侑さん)
常識とは違った考え方でも、自分の中にこうなんだ、っていう信念を持ってしまうと、未曾有(みぞう)な体験(東日本大震災など)をした時にも、ついそれでいこうと思っちゃうわけですよ。
でも、新しい体験を常にするわけですから、新たに組み直さなきゃならないわけですよね。だから組み直し続けるんだ、っていうことですよね。
(伊集院さん)
常識、なんてものはない、ってどこかで思っていた方がいいぞ、常に変わり続けるって思ってたほうがいいぞ、っていう。
これに対応できる力っていうのは、たしかに「無常力」、というか、なにかそういう力ですよね。
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常識とか自分の信念とかにしがみつく力が強すぎると、イザ、というときにうまく対応できないかもしれない、かえって自分を苦しめるもととなってしまうかもしれない。
常識にしがみついちゃってるのかな~?自分の信念にこだわりすぎちゃってるのかな~?
正しいことのはずなのに、間違ってはいないはずなのに、なんだかモヤモヤ、スッキリしない、むしろ苦しいかも…そんな時は、「カーラーマ経」を参考に自己チェック
<カーラーマ経>
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1. 人から聞いたとて信じることなかれ
2. 語り継がれたこと(伝承)とて信じることなかれ
3. 評判だからとて信じることなかれ
4. 教本に書かれてあるからとて信じることなかれ
5. 論理的な解釈だけで信じることなかれ
6. 哲学的な見解に合っているからとて信じることなかれ
7. 「常識」とて信じることなかれ
8. 自分の見方に一致するからとて信じることなかれ
9. 話者が堪能で信頼に足るからとて信じることなかれ
10. わが師なりとて信じることなかれ
(どのような教えであれ)「これは、不善であり、欠点があり、賢者が避難するようなものであり、それを実践しても益がなく、苦しみを生じさせるばかりである。」そうあなた方が自ら理解したときには、あなた方はそれを捨てるが良い。
(どのような教えであれ)「これは、善であり、欠点がなく、賢者も奨励するものであり、それを実践することは有益であり、幸せのためになる。」そうあなた方が自ら理解したときには、あなた方はそれを実践するが良い。
(プラユキ・ナラテボー著「苦しまなくて、いいんだよ。 」(P182)引用、一部加工)
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「カーラーマ経」も活用して、新しい体験、想定外のできごとにであったときに、正しい行動がとれるよう、日頃から「無常力」をきたえておきたいと思います
苦しまなくて、いいんだよ。 | |
プラユキ・ナラテボー | |
PHP研究所 |
無常という力―「方丈記」に学ぶ心の在り方 | |
玄侑宗久 | |
新潮社 |
鴨長明『方丈記』 2012年10月 (100分 de 名著) | |
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NHK出版 |
方丈記 (講談社学術文庫 459) | |
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講談社 |