小説を検索しやすくするためインデックスを作りました
インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。
インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。
手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事
他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。
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新しいお話はupしないと言いながら、今の時期にふさわしい短編が出来たのでupします。
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珍しく一護から電話が入った。
一護『マスター、今いいか?』
譲二「ああ、いいよ。どうした?」
一護『今度の15日だけど、久しぶりにみんなでクロフネに集まって、同窓会でもしようかって話になってるんだ』
譲二「ああ、そうらしいね。ハルからメールを貰ったよ」
一護『理人のヤツも帰って来るって言うし、全員揃うのは滅多にないからな』
譲二「そう言えばそうだね。俺もみんなに会いたいよ」
一護『だけど、マスターは大丈夫なのか?』
譲二「俺? 」
一護『ちょうどお盆休みの頃だし、マスターも実家に帰ったり、墓参りとかもあるだろ?』
譲二「そうだな。でも、実家には合間で顔を見せればいいし、墓参りも朝早く済ませるから大丈夫だよ」
一護『すまない。用があったら、途中で抜けてくれても構わないから…』
譲二「ハハ、そんなことに気を使わなくても大丈夫だよ。俺はみんなに会ったほうが元気がでるからね。一護も店の方は順調なのか?」
その後、しばらく一護の新しい店の話で盛りあがって電話を切った。
(そうかあいつら全員揃うのか…)
(これはメニューも考えて、腕によりをかけないといけないな…)
(それにしても、一護があんなに気遣いできるようになったとは…)
高校時代のちょっと拗ねたような不機嫌な一護を思い浮かべる。
元々感の鋭いヤツだから、俺が疲れたり元気が無い時はすぐに見透かされたものだった。
だが、いつも斜に構えているから、今日のように気遣いを素直に口に出してくれたことはあまりない。
(一護は苦労人だからな…。俺も年を取るわけだ)
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最後に残ったお客さんの会計を済ませて、ほっと一息ついた。
日差しも陰って、うだるような暑さも少し和らいでいる。
(そろそろ、看板を入れてcloseの札を掛けてくるか…。)
店の前を箒で掃いて店内に入ってくるとコーヒーの香りがした。
(あれ? 俺、コーヒーを淹れっぱなしにでもしてたかな?)
カウンターに近づくと、セッティングされたカップに淹れたてのコーヒーが入っていた。
譲二「?!」
厨房には人影があった。
???「譲二くん…。疲れたろう? 久しぶりにコーヒーを淹れたから飲んでくれないか?」
声の主がカウンターの向こうから顔を覗かせる。
細身で銀髪、髪と同じ色の顎鬚を蓄え、眼鏡の奥には優しい瞳が覗いている…。
先代マスターの浦賀さんだ…。
譲二「…マスター…?」
先代マスター「久しぶりだねぇ…」
譲二「はい…」
マスターは昔と同じ優しい笑顔で頷いた。
先代マスター「コーヒー、早く飲まないと冷めちゃうよ」
譲二「はい…」
俺はカウンターに座るとコーヒーを一口飲んだ。
(あ、これは…紛れも無く、先代のコーヒーだ…)
俺が真似しても真似しても、あと少しどこか違う懐かしい味だ。
譲二「このコーヒーの味、ずっと出したかったのにとうとう再現できないままです…」
先代マスター「そんなことないよ。お客さんはみんな譲二くんのコーヒーを飲むと『昔ながらのクロフネの味だね』って言ってくれてるじゃないか?」
譲二「いや、それでも、マスターのコーヒーとは何かが違うんです」
マスターはちょっとはにかんだように笑った。
先代マスター「私のコーヒーはそんな凄いもんじゃないけどね。譲二くんのコーヒーも以前よりますます美味しくなってると思うよ」
譲二「飲んでくださったんですか?」
先代マスター「そうだね…。時々はね」
譲二「ありがとうございます」
先代マスター「それにしても、本当に頑張ってくれてるよ。私が死んだ後もクロフネを昔のままで維持してくれて…。嬉しいもんだよ。帰ってきた時に昔のままのクロフネが見られるのは…」
譲二「マスター…」
先代マスター「あ…、もう無くなっちゃったね。おかわりはどうかな?」
譲二「はい、お願いします…」
二杯目のコーヒーを飲みながら、しばしの沈黙が訪れた。
譲二「マスター…。俺なんかがクロフネの後を継いで良かったんでしょうか?」
先代マスター「なんだね? 急に」
譲二「マスターには実の息子さんがいらっしゃることを聞きました。
それなのにアカの他人の俺なんかがクロフネのマスターの座におさまってて果たしていいんだろうかと…そう、時々思うんです」
先代マスター「譲二くんはね」
譲二「はい…」
先代マスター「私とは血のつながりはないけど、私の息子みたいなもんだよ。
中学生の頃からずっと譲二くんを見てきて、この子ならクロフネも任せられるって思ったんだ」
譲二「ありがとうございます…そう言っていただけると…嬉しいです」
先代マスター「だからね。譲二くんは立派な私の跡継ぎなんだよ」
そう言って微笑んだマスターの姿が少し薄くなった気がした。
先代マスター「さあ…名残惜しいけど、そろそろ行かないとね」
譲二「え? まだ、しばらくいてくださいよ…」
先代マスター「私ももう少し居たいところだけど、こっちにいる間に会いたい人がまだいてね」
譲二「そ、そうですね。すみません…」
先代マスター「また、来年も来るよ…」
マスターは笑顔を残すと厨房の影の方に滑るように寄っていった。
その姿は半分透けている…。
譲二「マスター…」
不思議と全然怖くなかった…。
まだ残るコーヒーの香りに包まれて、俺はしばらくそこで佇んでいた。
これは昨年の8月にupしたお話の再掲です。
去年からブログに来てくださっている方、もう読んだよ~って方はごめんなさい。
新規のお話はしばらくお休みしますね。
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暑い夏が続きますね。
そろそろ身体もこの暑さに疲れて来る頃です。
そんなあなたに、気分だけでも涼しさを味わってもらおうと怪談話を企画しました。
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1人目 初音理人
理人「じゃあ、まず僕の話からだね」
竜蔵「うんと、怖いのを話せよ」
理人「まかしといて」
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『こんな暗い晩』
六部とは、六十六部の略で、六十六回写経した法華経を持って六十六箇所の霊場をめぐり、一部ずつ奉納して回る巡礼僧のこと。
むかしむかし、ある寒い秋の日のことだった。
しょぼしょぼと雨の降る、夕暮れ時に、村の貧しい百姓家の戸をほとほとと叩くものがある。
おかみさんは「今時誰だろう?」と思いながらも戸を開けた。
そこには雨でびっしょりと濡れた旅の六部が立っていた。
「旅のものですが、泊まるところがなくて困っています。一晩泊めてもらえませんか?」
「まあまあ、お坊さま。それはお困りでしょう」
その家の夫婦は親切に六部を迎え入れた。
「貧しい百姓の家なので、大したものもございませんが」
夫婦は有り合わせの芋やら野菜やらを鍋に炊いて、精一杯六部をもてなした。
囲炉裏で暖まるうちに、六部の着物も乾いて来て、あるじは「さぞお疲れのことでしょう」とただ一つある座敷に布団を敷いて、六部を通した。
あるじが夜中にふと目を覚ますと、六部の寝ている部屋から、チャリーン、チャリーンと音がする。
そっと、障子ににじり寄って、障子の破れ目からこっそり除いてみた。
…そうしたら、六部が銭を数えていたそうな。それもただの銭ではない。小判がピカピカと、何枚も光っていた。
それを見たあるじは邪な心を抱いた。
(ずいぶん持っとるもんじゃ。あれだけあれば、一生楽に暮らせるじゃろう)
あるじはその六部の金が欲しくて欲しくてたまらなくなった。
そして、あるじは六部を殺すと、家の外に六部を引きずって行った。
外は、冷たい雨が相変わらずしょぼしょぼと降っている。あるじは雨に濡れながら庭に大きな穴を掘ると、六部をその中に埋めた。
雨のしずくを滴らせながら、穴を掘るあるじの顔はまるで、鬼のようだったと。
翌朝、あるじは起きて来たおかみさんに、「あのお坊さまは朝早く旅に出られた」と嘘をついた。
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さて、六部から盗んだ金を元手にして、あるじは金貸しを始めた。
人に金を貸しては儲け、その金で田畑や山も買いあさった。
そうこうするうちに、あるじはそこらでは並ぶものもない旦那さんになった。
金もあり、地所もあり、何もいうことがなかった。
ただ一つ足りないのは、子供の無いことだった。
毎日、欲しいなあと思い暮らしていると、何と、子供が出来たんだそうな。
それも男の子だった。ようやく出来た跡取りを旦那さんは可愛いがって、それはそれは大事に育てた。
ところが、その子は3つになっても4つになっても、モノを言わない。
旦那さんはそれでもその子を可愛がって育てたんだと。
その日もしょぼしょぼと陰気な雨が降っていたそうな。
晩方になるともう真っ黒な闇夜で、鼻を撫でられても分からないくらいだった。
旦那さんが子供を寝かそうとすると
「おとう、小便」
と、男の子がはじめてしゃべった。
旦那さんはよろこんで、
「おう、口をきいた。よしよし、すぐにさせてやろう」
旦那さんは男の子をだきかかえて、かわや(便所)へ連れて行った。
そして、小便をさせようとした時だった。
「おとう、こんな暗い晩のことだったなあ…」
男の子が大人のような声でいって、ゆっくりと振り返った。
「お、お前は…あっ!」
男の子の顔を見た旦那さんは、びっくりして口をパクパクさせるだけだった。
真っ暗闇の中、男の子の顔だけが青く光り、旦那さんを見てニタニタと笑った。
「おとうがわしを殺したのも、こんな暗い晩のことだったなあ。」
そう言った顔はあのときの六部の顔にそっくりだった。
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一護「ふぅ。次は俺だな」
剛史「その前に時短肝試し…」
理人「それも僕からいくの?」
春樹「そうなるね」
理人「じゃあ、行ってくる。二階のトイレだね?」
譲二「あ、りっちゃん、これ」
俺は懐中電灯をりっちゃんに渡した。
理人「え?電気つけちゃダメなの?」
剛史「暗い中でしないと肝試しにならない」
一護「お前、怖いのか?」
理人「怖くないよ!じゃあ、行ってくる」
りっちゃんの後ろ姿は二階へと続く暗闇に消えた。
2人目へつづく