小説を検索しやすくするためインデックスを作りました
インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。
インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。
手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事
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これは昨年の8月にupしたお話の再掲です。
去年からブログに来てくださっている方、もう読んだよ~って方はごめんなさい。
新規のお話はしばらくお休みしますね。
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暑い夏が続きますね。
そろそろ身体もこの暑さに疲れて来る頃です。
そんなあなたに、気分だけでも涼しさを味わってもらおうと怪談話を企画しました。
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6人目 種村春樹
春樹が肝試しを終えて帰って来た。
春樹「リュウ兄、二階の廊下に本が散らばってたよ。」
譲二「俺の本…」
春樹「危ないから横の方にまとめといたからね」
竜蔵「悪りい」
春樹「じゃあ、俺の話を始めるね」
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『食わず女房』
むかし、ある高い山のふもとの村に、けちん坊な男が住んでいた。
独り者で、飯は食ったり食わなんだリ、来ているものは汚れ放題だったから、まわりのものは「嫁でももらえ」と口々に勧めた。
けれども男が、
「嫁の食う飯が惜しいわい。飯を食わん女ならもらおう」というので、みんなは呆れ返っていた。
ところが、男はそのうちに「独り暮らしはつまらん」と思うようになった。
ある日、男は山で仕事をしながら、
「おらも、かかぁが欲しい。ちょっとも飯は食わず、茶も飲まんでよう働くかかぁが貰いてえもんだ」と独り言を言った。
さて、仕事が終わって、男が山をおりていると、スタスタ、スタスタと足音がして、だれかしらん後からついて来るものがある。
男が立ち止まって、
「だれだ」と振り向いてみたら、口の小さいきれいな女が立っていた。
女は
「おれは飯は食わん女だ。茶も飲まんでよう働くから、お前の嫁にしてくれんか」
と言った。
男は願ってもない話だと大喜びで、女を連れて家に帰った。
一緒に暮らしてみると、なるほど女は飯は一粒も食わないし、着物は着て来たときのまま、はだしで一日中働き通しだったから、人の二倍は仕事をした。
男は、
「ええかかぁ持つのはええもんじゃな。これで米がたくさんたまるぞ」と、ホクホクして近所のものにも嫁の自慢をしていた。
ところがある日、となりの男がこんな話を聞かせた。
「おまえの家は不思議だの。いつもおまえが家を出てしばらくしたら、煙り出し口から、もくもくと煙が出とる。おまえのかかぁは、留守になにしてるんだかわかったもんでねぇ。気をつけろや」
男はそりゃあまた妙な話だなと、女が留守の時に、家の中を調べてみた。
すると、たくさんあった米俵がおおかた無くなっていたから、男はたまげて、おらの留守になにしとるか、見届けてやろうという気になった。
次の朝、男は
「今日は町へ行くから、日が暮れんと帰れん」と嘘をついて家を出た。
それからすぐに引き返すと、家の横からこっそり入って、天井に上がり、下の様子をうかがっていた。
女は、
「やれやれ、けちな野郎が出て行った。どれ、飯炊いて食うか」といって、米俵を担いで来ると、大きな釜にザーッと米をあけた。それからザクザクといでかまどにかけ、下からボンボン火をたいた。
やがて飯が炊けると、女は戸板を一枚外して来た。
そして釜の飯をピツッ、ピツッ、ピツッ、ピツッと全部握り、戸板のうえにずらりっと並べた。
それから大鍋に野菜を投げ込んで、おつゆもたっぷりこしらえた。
さて、支度がすっかり整ったので、女は髪の毛をほどいてザンとふった。すると頭のてっぺんに、すりばちのような大きな口がパカッと開いた。
女は両手で握り飯を次々つかむと、お手玉みたいにポンポンポンポン投げ込んだ。
「そうら食え、ほら食え、そうら食え、ほら食え」
すると頭の口が、ありったけの握り飯を食ってしまった。
それから、柄杓でおつゆをザアザア流し込んだら、これも全部飲んでしまった。
「ああ、うまかった」
女はケタケタ笑いながら、髪の毛をよせて、元通りギリギリッとくくった。
一方、天井からこの様子をすっかり見ていた男は、腰が抜けるほど驚いて、ガチガチガチガチ震えていた。
それでも、日が暮れると知らん顔して降りて来て、
「かかぁや、今戻ったぜ」
と家に入った。
そして、
「おまえもよく働いてくれて、ほんにありがたいが、おらはまた一人暮らしがしたくなった。すまんが別れてくれ」と言った。
女は、はたと男をにらみつけ、
「おまえ、つらが真っ青だな。さては、おれの食うとこ見たな。見たからにはただではおかんぞ」
言うが早いか、女は頭をブルッ、ブルッ、ブルッと三べん振った。すると見る間に図体が伸びて、でっかい鬼婆になった。
鬼婆は男の首根っこをひょいとつまんで風呂桶に放り込んだ。それから桶を肩に乗せると、山に向かって急いだ。
「しっとり、しっとり、重たいわい、
しっとり、しっとり、重たいわい」
鬼婆は、山越え、谷越え、ぐんぐん歩いた。男はもう生きた心地もなくて、桶の中で震えていた。
ところがおかしなことには、鬼婆は菖蒲が茂ったところに来ると、
「刀の山だ、おっかねぇ」
といって、遠回りしていく。
ヨモギがぼうぼう茂ったところに来ると、
「毒が生えとる、おっかねぇ」
といって、遠回りしていく。
そのうちに、さすがの鬼婆もくたびれて、道ばたに腰を下ろすと、すぐにクランクランといねむりを始めた。
そこはちょうど松の木の下で、枝が下がっていたから、男はしめたとばかり手を伸ばし、その枝をつかんでようやく木によじのぼった。
しばらくすると鬼婆は目をさまし、また桶をかつぐと、
「休んだら軽いわい
休んだら軽いわい」
といいながら、びゅうびゅう走って、鬼の住処へ帰り着いた。
「おうい、子供らよ来い。けものたちもみんな出て来い。人間を取って来たぞう。包丁を研いで来い。まな板も持って来い」と叫んだ。
その声を聞くと、鬼の仲間やけものたちは、ほいほい寄って来た。
子供らは桶に這い上がって、
「やっ、おっかぁ、空っぽでねえか」と叫んだ。
そこで、鬼婆が中をのぞいてみたら、もぬけの殻だったから、鬼婆は真っ赤になって怒り出した。
「よくも逃げやがったな。どこまで行っても逃がさねぇぞ」
と鬼婆はすぐに引き返し、山越え、谷越え飛ぶように走った。
男も転がるように走って逃げたけれども、鬼の足にはかなわない。鬼婆は、あっという間に追いついて、男は今にもつかまりそうになった。
その時ちょうど、菖蒲が茂ったところがあったので、男はその中に飛び込んだ。
鬼婆も続いて飛び込んだが、菖蒲の葉が目に刺さり、
「あいたたたた」と地たんだ踏んだ。
「口惜しや、口惜しや、刀の山じゃ」
鬼婆は泣き泣き這い回っていたが、目が見えないものだから、ヨモギがぼうぼう茂った中に転んでしまった。
そこで、
「口惜しや、口惜しや、毒にやられた」とわめいているうちに、とうとう身体が溶けて、鬼婆は死んでしまった。
こうして命拾いした男は、菖蒲とヨモギを頭にさして、やっと家にたどりついた。
その日はちょうど五月五日の端午の節句だったから、それからのち、村では節句になると、菖蒲とヨモギを家の軒にさして、魔除けにすることにしたそうな。
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剛史「トリは俺だな。行ってくる」
百花「剛史くん、気をつけてね」
剛史「おう」
7人目へつづく