恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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怪談in吉祥寺恋色デイズ:4人目

2015-08-14 07:18:13 | 吉祥寺恋色デイズ

 

これは昨年の8月にupしたお話の再掲です。
去年からブログに来てくださっている方、もう読んだよ~って方はごめんなさい。
新規のお話はしばらくお休みしますね。

 

 

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暑い夏が続きますね。
そろそろ身体もこの暑さに疲れて来る頃です。
そんなあなたに、気分だけでも涼しさを味わってもらおうと怪談話を企画しました。


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4人目 佐々木百花

理人「百花ちゃん、マスターに何もされなかった?」

百花「うん。何もされてないよ」

 言いながら、百花ちゃんは俺をそっと見た。
2人だけの秘密が出来て、ちょっと嬉しいかも。


百花「次は、私の話だね」


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『佐喜浜のオオカミ婆』

 昔むかし、土佐の国、今の高知県の佐喜浜というところは小さな漁師村だった。
 この村の近くには野根山という険しい山があった。この山の中にはオオカミが千匹も住んでいて、恐ろしいところだった。

 夜、山道を人が通ろうものなら片っ端から食い殺されてしまった。そこで、村のものは怖がって夕方以降は決して誰一人通ろうとはしなかった。


 ある日のこと、夕暮れ時に一人の飛脚(ひきゃく)が急ぎのご用で野根山を越えていくことになった。
 飛脚はかけ声をかけながら山道を登って行った。箱の中には殿様から預かった大事な手紙が入っている。
 
 飛脚が野根山の一番高いところにさしかかった時、苦しそうにうなっている女の人の声がする。

(はて、こんな時間に不思議なこともあるものだ)

 飛脚は足をとめ、うめき声の方に近づいて行った。声は山道の側の草むらから聞こえて来る。
 こわごわ覗いてみると、そこに若い女の人が倒れていた。大きなお腹をかかえ、苦しそうに肩で息をしている。

「もしもし、どうしました?」

「山の向こうへお使いにいって帰る途中です。ところが、急にお腹が痛み出して…、ああ、赤ん坊が産まれそうです…」

 それだけ言うと女の人はまた、お腹を抱えて苦しみ出した。

(これは弱った)

 飛脚は頭を抱えた。大切な手紙を早く届けなくてはいけないし、そうかといって苦しんでいる女の人をこのまま放って行くわけにもいかない。それに夜になればお産の臭いを嗅ぎ付けてオオカミが襲いに来るだろう。

 飛脚がどこか隠れるところはないかと辺りを見回すと、道の近くに大きな杉の木があった。
 ちょうど良いことに、この木のすこし上の方が東の方へ傾いて、へこんで人が座れるようになっていた。

 そこで、飛脚はその女をなんとか木の上に押し上げて、そこへ寝かして休ませた。

 介抱しているうちに日はどっぷり暮れ、月も出ない闇夜になった。



 夜も更けた頃、気味の悪いオオカミの唸り声が聞こえてきた。
 さては、気づかれたかと闇をすかしてあたりを見廻すと、らんらんと光る目玉だけが、あっちからも、こっちからもいくつも現れ、それがだんだん近づいてくる。

(いよいよ来たな、これこそ狼の千匹連れに違いない)

 飛脚は腰の刀を抜き、女の人を庇うように身構えた。

 オオカミは杉の木の下までくると、1匹1匹肩に乗って、肩車をして、3mあまりもある高い木の上にいる2人をめがけて飛びかかってきた。
 飛脚は必死で切り捨てた。するとまた次のオオカミが襲ってくる。

 これもまた、一太刀浴びせると崩れ落ちた。
 次から次へと何匹でもやって来たが、飛脚は斬って斬って斬りまくった。

 さすがのオオカミも相手が手強いと思ったのか、一匹のオオカミが

「こりゃかなわんぞ、佐喜浜の鍛冶屋の婆を呼んで来よう。」
と言い捨てて風のように走って行った。

 すると、他のオオカミたちも一斉にその後を追って行った。

「助かった」

 飛脚はホッとして、その場に座り込んでしまった。女の人はオオカミに怯えたのか静かに目をつむっていた。

 その後しばらくの間は山の中は静まり返った。
 しかし、飛脚は「まだまだ油断はならんぞ、また、来るに違いない」、と刀の血を拭き、身づくろいして待ちかまえていた。


 真夜中も過ぎ、東の空に下弦の月が昇り始めた頃、遠くの方からざわ、ざわという音が聞こえてきた。

 いよいよ来たかと刀を抜いてかまえていると、果たしてオオカミの群れが近づいて来た。

 月明かりに照らされた群れの先頭には、平鍋(ひらなべ)をかぶった白毛でひときわ大きな狼がいた。
 そのかしらのオオカミは肩車の一番上にまたがって近づくといきなりぐわっと飛脚目がけて飛びかかった。

 しかし、一瞬早く飛脚は刀の峰でがんとばかりに平鍋をたたき割ると返す刀でオオカミ目がけて斬りつけた。
 手応えがあった。

「ギャオー」

 耳をつんざくような悲鳴をあげると白毛のかしらはどうとばかりに崩れ落ちて、オオカミの群は潮が引くように逃げていった。


 東の空が白み始める頃、とうとう女はお産をした。飛脚はなれない手つきで介抱した。
 夜があけるのを待ちかねて、その親子を麓の茶店に預けると、飛脚は急いで手紙を届けた。
 

 さて、その帰り道、ちょうど佐喜浜の村へ通りかかる頃、飛脚はふと夕べのことを思い出した。

 確かにオオカミは、「鍛冶屋の婆を呼んで来い」と言っていた。佐喜浜の鍛冶屋に何かあるに違いないと思い、村人に鍛冶屋の場所を尋ねた。

 教えられた通り行ってみると、村のはずれの竹やぶの陰に鍛冶屋があった。


 家の前まで行ってみると、なにやら家の中で大騒ぎしている。

 鍛冶屋の主人に「どうかしたのか?」と尋ねると、

 「実は夕べ、ばあさんがけつまづいて、石の角で怪我をしたもので」
と言う。

 「それで怪我の具合は?」

 「頭の怪我ですが、それはもうひどい傷です」

 主人は顔をしかめて言った。

(なるほど、やっぱりそうだったのか)

 飛脚は何食わぬ顔で言った。

「それは大変ですね。私は医術の心得がありますが、よければ診て差し上げましょう」

「それはありがたい。どうぞおあがりください」

 主人は早速、奥の間へ飛脚を案内した。

 部屋には白髪の老婆が布団の端をつかんで、うーん、うーんと唸って寝ておった。

 飛脚は枕元に座って、老婆の頭の傷をみた。

(間違いない。これは刀で切られた傷に違いない)

 飛脚は、隠し持った短剣の鞘を抜き、
「おのれ! オオカミ!」

いうが早いか、老婆の胸をぐさりと突き刺した。

 突然の出来事に家の者は止めるヒマもなかった。老婆は声もあげずに死んでしまった。
 
 すると何と言うことだろう。
 家の者や飛脚の目の前で、老婆の身体中にみるみる毛が生えて来て、瞬く間にその死骸は1匹の年取ったオオカミの姿に変わってしまった。

 驚く鍛冶屋の主人に、飛脚はゆうべの出来事を詳しく話した。
 そして、古狼が鍛冶屋の老婆を喰い殺して化けたのだろうとその家の床板をはぐってみた。
 すると、床下から人やけだものの骨がいっぱい出て来た。


 女の人が赤ん坊を産んだ杉の木は今も残っていて、その杉の葉っぱは、安産のお守りになっているという。


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竜蔵「次は俺だな。俺も先に肝試しを済ましてもいいか?」

春樹「いいんじゃない?」

リュウが二階へと消える。

しかし…。

ドタンとかバタンとかいう音に混じって「イテッ」という声がする。

一護「リュウ兄はいったい何してんだ?」

理人「マスターの本のトラップにひっかかってるんじゃない?」

譲二「俺の本が…」

剛史「出来るだけ静かにって言ったのに」


5人目へつづく