恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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怪談in吉祥寺恋色デイズ:3人目

2015-08-13 07:10:48 | 吉祥寺恋色デイズ

 

これは昨年の8月にupしたお話の再掲です。
去年からブログに来てくださっている方、もう読んだよ~って方はごめんなさい。
新規のお話はしばらくお休みしますね。

 

 

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暑い夏が続きますね。
そろそろ身体もこの暑さに疲れて来る頃です。
そんなあなたに、気分だけでも涼しさを味わってもらおうと怪談話を企画しました。


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3人目 茶倉譲二

一護が二階から帰ってきた。

心持ち顔色が悪いように見えるのは気のせいだろうか?

春樹「一護、大丈夫か?」

一護「何が…?」

春樹「なんか…顔色が悪いぞ」

剛史「お化けでも見たのか?」

一護「な、なわけねーだろ! ほら! トイレットペーパー! これでいいんだろ!」



いよいよ俺の番だ。



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『振袖火事』

 みんな、この吉祥寺に『吉祥寺』というお寺が無いことは知ってるね?
 その理由を知ってるかな?

 そう、ここは元の吉祥寺の門前町があったところから移り住んだ人達が作った町だから吉祥寺とよばれているんだ。


 今から約350年前、1657年(明暦3年)の1月、江戸は大火に見舞われた。この火事を「明暦の大火」とよぶ。 

 この大火は「振袖火事」「明暦の大火」ともいわれ、吉祥寺も門前町も焼失してしまった。さらに翌年、1658年(万治元年)の1月、再び江戸は大火に見舞われ、これは別名吉祥寺大火とも呼ばれる火事で吉祥寺は再び焼失し、お寺は現在の文京区駒込に場所を移した。

 このとき、二度の大火で住む家を失った門前町に住んでいた人々に、幕府はこの地を与えた。
 そして、1659年に吉祥寺門前町から、1662年には西久保城山町(現港区芝)から農民の移住が始まった。
 こうして当時の吉祥寺村が誕生した。

 これは、その最初の明暦の大火にまつわる物語だ。

 明暦の大火のあった年から遡ること三年前、承応(しょうおう)3年(1654年)の出来事である。
 江戸の麻布の質屋の娘で、梅乃というたいそう美しい娘がいた。
 梅乃は母に付き添われ上野の山へ花見に出かけた。

 美しく装った梅乃は母や乳母、女中や店の若い衆に囲まれ、満開の桜の間を歩いて行く。
 と、向こうから艶やかで美しい衣装を着たものが歩いて来る。
 それは女ではなく、寺小姓と呼ばれる少年だった。

 当時、女性に触ることのできない僧侶は競って美しい寺小姓を置いて寵愛したが、わけても上野寛永寺の寺小姓は、イケメンぞろいと言われていた。
 
 その少年は雪のように白い肌、額には前髪がはらりとかかって、澄んだ瞳に通った鼻筋、梅乃が今までに見たことも無いような美少年だった。

 あっという間にその寺小姓は人混みにまぎれたが、一目惚れした梅乃はその姿を瞼に刻んだ。

 数日後、梅乃は母に新しい振袖をねだった。
 紫縮緬に荒磯と菊を染め出し、桔梗の縫い紋をつけるよう、色や柄についても細かく注文した。
 母は言うなりに、誂えてくれた。
 
 振袖が仕上がり、しかし梅乃はその振袖に手を通そうとはしなかった。
 代わりに枕に着せて、あの美少年に語りかけるように話しかけてはため息をついた。

 やがて、名も知らぬ美少年への恋慕のあまり、梅乃は日に日にやつれていき、食べるものも食べられなくなった。
 とうとう翌年の承応4年1月16日、焦がれ続けた件の少年に再び出会うこともなく、梅乃は17歳の短い生涯を終えた。


 梅乃の葬儀は、菩提寺の本妙寺で、しめやかに執り行われた。
 その棺の上には、梅乃が最期まで手放さなかった、あの紫縮緬の振袖が掛けられていた。


 この年の4月、年号は明暦と改められる。

 そして、月日は流れて、翌年の明暦2年、正月16日。
 あの紫縮緬の振袖が掛けられた棺が再び本妙寺に担ぎ込まれた。
 
 棺の主は紀乃(きの)といい、上野山下の紙問屋の娘でやはり17歳であった。


 その頃、こうして棺に掛けられた着物や、身につけていた簪などは、三十五日の法要が明ければ売り払ってしまうのが習慣であったという。
 そこで、この梅乃の振袖も古着屋に売られることになり、この紀乃という娘の手に渡ったのだった。

 それからまた翌年の明暦3年、正月16日。
 あの紫縮緬の振袖が掛けられた棺が三たび本妙寺に担ぎ込まれた。

 今度は本郷元町に住む麹商人の娘幾乃(いくの)の棺に掛けられていた。この幾乃も17歳であった。
 
 三度も棺にかかる紫縮緬の振袖を目にした寺のものたちは恐れ戦き、とうとう振袖供養をすることになった。

 江戸っ子たちの間でもこの祟りなす振袖の噂がもちきりで、老若男女が供養当日、本妙寺に集まった。
 それが明暦3(1657)年1月18日午後2時頃のこと。
 僧たちが庭火を囲んで声高く経を誦する間に、振袖が火中に投じられた。
 燃えさかる炎はたちまち紫の振袖を包むかに見えた。

 ところがそのとき、一陣の突風が巻き起こり、あっと言う間に振袖は空高く舞い上がった。

 下から見上げる人々の目には、まるで何者かが炎の振袖を着て大きく手を広げたかのように見えた…。
 人々は炎の振袖のぬしの手から逃れようと逃げ惑った。
 
 そして、一面に火のついた振袖は、八十尺といわれる本堂の屋根に引っかかった。
 火の粉が雨のように降り注ぎ、人々が大騒ぎする間に、本堂の棟木に燃え移った。
 
 間の悪いことに江戸の町は、二ヶ月半も雨が降っていなかった。
 こうして本堂から出た火は、その日のうちに江戸八百八町の大半を焼き尽くしたのだった…。
 さらに翌日には北の丸の大名屋敷を焼き、江戸城本丸の天守閣まで焼失させた。
 
 この「振袖火事」と呼ばれる明暦の大火の死者は十万八千余と言われている。


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譲二「次は、百花ちゃんの番だけど…。先に話をする?それとも肝試しに行く?」

百花「あの…、先に肝試しに行ってもいいですか?それが終わらないと落ち着いて話せそうにないので…」

譲二「いいよ。それじゃあ、行こうか?」

理人「あーあ、マスターだけずるいな」

譲二「俺はくじ運がよかっただけだよ」

一護「さっさと行ってさっさと帰って来いよ」

剛史「マスターと2人きりは危ない」

譲二「え?なんで?」

竜蔵「ジョージ、俺はお前を信じてるぞ」

春樹「佐々木、いつもと同じクロフネなんだから、何も怖くないからね」

百花「ハルくんありがと」

譲二「さ、行こうか?」


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みんなのヤジを受けながら、2人で二階への入り口に向かう。

譲二「百花ちゃん、手を握って行く?」

百花「いいんですか?」

そっと百花ちゃんの手を握る。

いつもの階段だけど、懐中電灯の灯りだけだと雰囲気が違う。

一足上がる度にギシッと音がして、百花ちゃんは俺の手をぎゅっと握っている。

ホント可愛いな…。

雰囲気を出すために、俺の部屋の戸は10cmほど開けてあった。

うん、これも何か覗いていそうで、いい感じだ。

百花ちゃんが俺の手にしがみつくようにしてくっついているので、そっと顔を覗くと目をつぶっているみたいだ…。
ますます可愛い。

譲二「さあ、着いたよ」

百花「あ、トイレの電気もつけちゃダメでしょうか?」

譲二「それくらいはいいんじゃない?あいつらからは見えないだろうし」


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 帰りも百花ちゃんの手をしっかり握って歩く。
ホント、今日はくじ運もよくてラッキーだった。

階段の一番下でそっと囁く。

譲二「手を繋いだことはあいつらには内緒ね」

百花「はい…。マスター、ありがとうございました」

薄やみの中、百花ちゃんがにっこり微笑むのが見えた。百花ちゃんは肝試しが終わってホッとしてるみたいだ。

4人目へつづく