「静大フェスタ」という、大学祭連動の、教員ベースの広報企画があります。
これの成り立ちを言い始めると色々暗くなってしまうので、それはまた別の機会として、ここ数年、私の授業絡みで出展しています。
展示物は、おもに言語文化学科1年生を対象とした、江戸文化入門のような授業で、受講生たちが提出した成果物と、授業で紹介した、幕末から明治頃の文物の本物で構成してあります。
授業そのものは、歌舞伎や浮世絵など、江戸時代の庶民文化を色々紹介して愉しみ方を伝える内容です。ただ、最終レポートにあたる課題は、この授業を受講していない同世代の人たちに、自分が授業を通して感じた江戸文化の魅力を伝えるような物を作る、と言うものです。もちろん、その結果として、情報整理、調査報告があっても良いのですが、せっかく江戸時代の人たちの表現方法に触れたのだから、その方法で作ってくれればさらに良い、というわけです。
授業に出ていれば、江戸文化の「内容」の情報が蓄積していきます。それらは、古い時代の物を少し知ることが出来た、と言うところで止まってしまいがちです。しかし、そこではなくて、当時の人たちが、自分たちの伝えたい「内容」をどうやって伝えていたのか、と言う「方法」に目を向けると、「今」との接点が出て来ます。
まずは「江戸の文化」を現代の方法で表現する。次に、それを「江戸のやり方」で表現してみる。更に進めば、「現代の文化」というか、直面している何かを、「江戸のやり方」で表現することも可能で、そのような作品も少しあります。
このように、「内容」と「方法」を学ぶ事、あるいはそういう学び方を知ることで、古今東西の文化や表現を、どうやって「今/ここ」に活用できるか、ということを身につけて欲しい、と言うのがこの授業の目標です。
大学生にもなって子供の工作みたいなことをやるのか、と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、実際にご覧頂ければ、学生たちの受容と創造の力に驚くことと思います。
予算の少ない地方国立大学で、「アクティブ/ラーニング」「PBL」と言っても限界があります。まして、言語文化。日本文化をどう発信するか、と言う話になると、映像コンテンツや最新のVRなど、コンピュータありきで考えてしまいそうになります。しかし、江戸の人たちだったらどうしただろう、と考えてみると、色んな工夫のしようが見えてきます。
学生たちの自在な発想をお楽しみ頂ければ幸いです。
そんなわけで、今年も私の持っている「本物」も展示します。ことしはなぜか双六特集。
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