コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

『日ごとの富士』を読みます。(演習情報)

2013-03-22 08:00:40 | 
2013年度授業関連情報です。
既に私の担当分の時間割は公表しています。
授業開始前に、若干情報をアップします。

ということで、第一弾。
日本文学演習I【『日古登能不二』を読む】シラバス)。
いつもは黄表紙でやっていたんですが、色んな理由で、今年はご当地物テキストを使用することにしました。
黄表紙の面白さは捨てがたいんですが、それは1年生向け・2年生向け科目で。

「色んな理由」の一つは、“フィールドワーク的な授業の復活”です。
これまた「色んな理由」があって、「静岡の文化」を2年続けて休んでいますが、やっぱり静岡を教材とする授業はあった方が良いだろう、ということ。12年度、『おくのほそ道』で、出身地を紹介してくれた報告が生き生きしていて面白かったこと。
江戸時代の普通の地誌や日記では面白くないし、紀行文では地域限定にならないし、と言うので、この本。

もう一つはちょっと後付けなんですが、来年度後半、日文の共同研究室が使えなくなると、黄表紙の演習は不可能だろうという心配。その点、ご当地物なら大学・地域の図書館でかなり資料が揃うし、何より現地に行けば良いのだし。

と言うわけです。

さて、それで、テキスト『日古登能不二』ですが……。
「ひごとのふじ」と読みます。書名の由来は序文にあります。

これ、静岡に住んでいる人の実感。特に、よそから来ると本当にそうだなあ、と思うのです。
この序文で、この作者の仕事や執筆動機がわかります。

その上で、翻刻本の目次は以下の通り。









この本は、文化4年から5年にかけて、1年間駿府勤番であった池田安平という武士の著作(おそらく自筆原本のみ。どこかに筆写本があれば嬉しいのだが……)で、昭和8年に翻刻刊行されたものの、原本は戦災か大火かで消失してしまい、その翻刻本のみが残る、という、静岡では時々目にする類の貴重な資料の一つです(戦前の先人たちは本当に素晴らしい仕事をしています)。これを、昭和53年に復刻したのが今回のテキストで、限定300部ということもあり、簡単には入手できないので、コピーを使用します。

私は、静岡に来たその年に購入し、時折開いていました。卒業論文で扱ったこともありましたが、授業で本格的に扱うのはこれが初めて。春休みに入って最初から読み直して、改めて面白いなあとおもうのです。

単純な話、一日の歩行距離があり得ないくらい長い。山も川もどんどん分け入っていく。そのうえで、詩歌を作る、酒を飲む。遊郭や祭礼、茶摘み風景の思いがけないわびしさは、江戸や京都を知っている文化人ならではの視点で、逆に静岡の自然に対する率直な驚嘆は現代の我々と全くかわりません。名所巡りだけで無く、山梨稲川など、駿河の文化人との交流もあり、興味は拡がるばかり。

授業でどこまで細かく注釈をつけられるかはまだわかりませんが、地域の皆さんのご協力を仰ぎながらまとめてみたいと思っています。

可能な限り、経過も紹介していく所存。
演習は市民開放授業等の対象にはなっていませんが、よろしくおつきあいの程。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『死霊解脱物語聞書』その後など | トップ |  【 江戸に、(≧◇≦) 】 (... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
テキスト (こにた)
2013-03-22 16:03:18
市内馬場町「あべの古書店」に3冊在庫があるそうです。
興味のある方は是非!
返信する

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事