昨日は前期日程の試験でした。
お疲れ様。
受験生の増減に一喜一憂する前に、個性の見える問題作りをしなきゃいかんと思う。
本当に言語文化学科の総合問題は、これでいいのか。
大きなお世話だけれど、社会学科・法学科は、本当に、この国語でいいのか。
それはさておき。
また、テレビ番組制作会社の方から質問を戴きました。
小二田誠二様
始めまして。お世話になります。
(放送局名)の「(番組名)」という特番を制作しております(会社名)の(質問者名)と申します。
ただいま番組の方で、南蔵院と林泉寺にある「縛られ地蔵」の伝説について調査しております。
そこで、専門家である小二田准教授にお聞きしたい事がありまして、このようなメールを送るに至りました。
以下がその質問内容です。
1、大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったという話を耳にしたのですが、その地蔵の所在地や言われなどについての情報は全くないのでしょうか?
2、3つめの地蔵についての記述がある文献などがありましたらお教え下さい。
3、また、「お地蔵様が縛られるようになった由来」には、“大岡政談”で語られているような一般的に知られている話の他に、例えば「“庶民のうっぷんを晴らす為”に地蔵を縛らせた」といった説や「盗人が商人を殺した時にそこにいた地蔵を“口封じの為”に縛り上げた」など、地蔵が「縛られ地蔵」になった別の説というものはないのでしょうか?
お忙しい所大変申し訳ないのですが、ご協力して頂けたらと存じます。
また、何度か言語文化学科の方にお電話させていただいたのですがいらっしゃらなかったようなので、直接お電話でお話させて頂ける時間などがありましたら、教えていただきたく存じます。
宜しくお願い致します。
んー。私は何の専門家なんだろうぅぅぅぅぅぅぅぅうう。
で、私の返事。
御連絡ありがとうございます。
せっかくのお訊ねですが、ご質問の件につきましては情報を持ち合わせていません。
>1、大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったという話を耳にしたのですが、その地蔵の所在地や言われなどについての情報は全くないのでしょうか?
全く存じません。
http://koneeta.hp.infoseek.co.jp/zizou.html
をお読みになってメールをくださったのだと思いますが、ここにもありますように、そもそも、この地蔵は大岡とは関係ありません。
従って、「大岡がつくった」と言うことは私には考えられません。
大岡伝説を作った誰かが他にもこじつけた可能性は常にあります。
>2、3つめの地蔵についての記述がある文献などがありましたらお教え下さい。
こういう地蔵は、日本中にたくさんあるようです。
「日本伝説大系」などをご覧ください。
私は、そういう中で、「太平記」の壬生地蔵が「板倉政要」に流れたのかな、と思ったわけです。
江戸については拙稿にありますように『遊歴雑記』も参考になります。
>3、また、「お地蔵様が縛られるようになった由来」には、“大岡政談”で語られているような一般的に知られている話の他に、例えば「“庶民のうっぷんを晴らす為”に地蔵を縛らせた」といった説や「盗人が商人を殺した時にそこにいた地蔵を“口封じの為”に縛り上げた」など、地蔵が「縛られ地蔵」になった別の説と いうものはないのでしょうか?
これは、どこかでそういうことが言われているのでしょうか?
勉強不足で済みません。
1に書きましたように、想像しうるすべての「説」は、存在する可能性があります。ただ、その中で、残った物が、南蔵院の形である、と言うことしか私には言えません。
番組に活用できる情報が無くて申し訳ありません。
ただし、部分的な利用などがあると研究者として困ることがありますので、このやりとりはブログに掲載させていただきます(さしあたり、(質問者名)さんのお名前や会社名・番組名などは載せませんが)ので、ご承知おきください。
と言うところで現在。
丁寧でわかりやすい質問になっているのは良いと思います。
しかし、わたしにはわかりません。すみません。
やっぱり一番引っかかるのは、、
大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったと言う発想。
南蔵院の地蔵は本当に大岡が縛ったという前提なのかしらん。
「歴史・伝説・実録・小説──二つの地蔵譚から──」と言う論文は、短い割に気に入ってるので、もう一回読み直して欲しい所です。
面白いんだよねぇ、伝説が生まれる現場。
そして、伝説が、歴史になる時。
そこにこそロマンがあるので、本当かどうかなんてある意味どうでも良い。
返事の最後の方で「想像しうるすべての説」という言い方をしてるのは『桃太郎の誕生』のパクリです。すいません。
何が残り、何が消されたのかに興味があります。
どんな説があったかを探し出すより、新しい説を流してみたらいいのに。
お疲れ様。
受験生の増減に一喜一憂する前に、個性の見える問題作りをしなきゃいかんと思う。
本当に言語文化学科の総合問題は、これでいいのか。
大きなお世話だけれど、社会学科・法学科は、本当に、この国語でいいのか。
それはさておき。
また、テレビ番組制作会社の方から質問を戴きました。
小二田誠二様
始めまして。お世話になります。
(放送局名)の「(番組名)」という特番を制作しております(会社名)の(質問者名)と申します。
ただいま番組の方で、南蔵院と林泉寺にある「縛られ地蔵」の伝説について調査しております。
そこで、専門家である小二田准教授にお聞きしたい事がありまして、このようなメールを送るに至りました。
以下がその質問内容です。
1、大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったという話を耳にしたのですが、その地蔵の所在地や言われなどについての情報は全くないのでしょうか?
2、3つめの地蔵についての記述がある文献などがありましたらお教え下さい。
3、また、「お地蔵様が縛られるようになった由来」には、“大岡政談”で語られているような一般的に知られている話の他に、例えば「“庶民のうっぷんを晴らす為”に地蔵を縛らせた」といった説や「盗人が商人を殺した時にそこにいた地蔵を“口封じの為”に縛り上げた」など、地蔵が「縛られ地蔵」になった別の説というものはないのでしょうか?
お忙しい所大変申し訳ないのですが、ご協力して頂けたらと存じます。
また、何度か言語文化学科の方にお電話させていただいたのですがいらっしゃらなかったようなので、直接お電話でお話させて頂ける時間などがありましたら、教えていただきたく存じます。
宜しくお願い致します。
んー。私は何の専門家なんだろうぅぅぅぅぅぅぅぅうう。
で、私の返事。
御連絡ありがとうございます。
せっかくのお訊ねですが、ご質問の件につきましては情報を持ち合わせていません。
>1、大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったという話を耳にしたのですが、その地蔵の所在地や言われなどについての情報は全くないのでしょうか?
全く存じません。
http://koneeta.hp.infoseek.co.jp/zizou.html
をお読みになってメールをくださったのだと思いますが、ここにもありますように、そもそも、この地蔵は大岡とは関係ありません。
従って、「大岡がつくった」と言うことは私には考えられません。
大岡伝説を作った誰かが他にもこじつけた可能性は常にあります。
>2、3つめの地蔵についての記述がある文献などがありましたらお教え下さい。
こういう地蔵は、日本中にたくさんあるようです。
「日本伝説大系」などをご覧ください。
私は、そういう中で、「太平記」の壬生地蔵が「板倉政要」に流れたのかな、と思ったわけです。
江戸については拙稿にありますように『遊歴雑記』も参考になります。
>3、また、「お地蔵様が縛られるようになった由来」には、“大岡政談”で語られているような一般的に知られている話の他に、例えば「“庶民のうっぷんを晴らす為”に地蔵を縛らせた」といった説や「盗人が商人を殺した時にそこにいた地蔵を“口封じの為”に縛り上げた」など、地蔵が「縛られ地蔵」になった別の説と いうものはないのでしょうか?
これは、どこかでそういうことが言われているのでしょうか?
勉強不足で済みません。
1に書きましたように、想像しうるすべての「説」は、存在する可能性があります。ただ、その中で、残った物が、南蔵院の形である、と言うことしか私には言えません。
番組に活用できる情報が無くて申し訳ありません。
ただし、部分的な利用などがあると研究者として困ることがありますので、このやりとりはブログに掲載させていただきます(さしあたり、(質問者名)さんのお名前や会社名・番組名などは載せませんが)ので、ご承知おきください。
と言うところで現在。
丁寧でわかりやすい質問になっているのは良いと思います。
しかし、わたしにはわかりません。すみません。
やっぱり一番引っかかるのは、、
大岡越前は、林泉寺と南蔵院の他にもう一つ、「3つめの縛られ地蔵」を作ったと言う発想。
南蔵院の地蔵は本当に大岡が縛ったという前提なのかしらん。
「歴史・伝説・実録・小説──二つの地蔵譚から──」と言う論文は、短い割に気に入ってるので、もう一回読み直して欲しい所です。
面白いんだよねぇ、伝説が生まれる現場。
そして、伝説が、歴史になる時。
そこにこそロマンがあるので、本当かどうかなんてある意味どうでも良い。
返事の最後の方で「想像しうるすべての説」という言い方をしてるのは『桃太郎の誕生』のパクリです。すいません。
何が残り、何が消されたのかに興味があります。
どんな説があったかを探し出すより、新しい説を流してみたらいいのに。
そんな腐女子を喜ばせるようなことを...
確かに「いつ」ということを不問にする限り、「考えられる限りの説は存在しうる」というのは確かですね。
でも、都市伝説捏造実験はおもしろいですよね。
そうそう。
今作っても良いわけです。
それが流通できるかどうかは別。