コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

歴史的。

2009-12-30 23:27:31 | 
去年も“鑑賞”の最後は映画だった
今年も、サールナートホールで、しかも音楽に絡む映画。
パイレーツ・ロック

材料もテイストも違うけれど、両方とも、一年の最後にこの映画を観られて良かったと思えるから幸せだ。


歴史的な背景は、ピーター・バラカンがラジオで熱く語っていたのを聴いたし、サントラCDも先に買ってあったんだけれど、これほどまでに“やられる”とは思ってなかった。

全体を通してしまえば予定調和的だし、ハチャメチャだし、さすがPG-12だし(12歳未満とは思えなかったけど、母+息子っぽい客がいたな~。内容解ってたのかな~~)。
しかし、一人一人の役者、小さなエピソードが、どれも妙にマッチして、音楽のかぶせ方も絶妙で、不思議な“リアリティ”がある。
脚本も洒落てるし編集もいいんだと思う。

去年も書いたことだけれど、やっぱり、“愛”と“尊敬”があって、佳い作品があるんだな、と、改めて。
一つ一つの話は、どれもみんな“不道徳”なのに、メッセージは明らかにヒューマンなんだから、たいしたもんだ。

残念ながら蘊蓄を語るほどの知識は持ち合わせないのだけれど、笑わせどころ、泣かせどころのあれやこれや、それから、権力とロックの関係とか、語りたいことは山ほどある。
しかしそれらはきっといくらでもみんなが書いてるだろうから、まぁ省略。

これも狙ってるんだろうなぁ、とは思うんだけれど、妙に印象に残ったのは、レコード棚、というか、レコード盤の出てくるシーン。
水没のシーンで、まさか本物じゃないよな、とか思いながら妙にしんみりしてしまった。そして、ボブの箱。

私の家にもレコード盤があるけれど、もう何年も前にCDの方が多くなってしまった。
まだCDを買い続けているけれど、これからはダウンロードに変わっていくだろう。
12インチ、紙ジャケットの方がよかったよね、とか、アナログ盤じゃなきゃね、とか、そういう郷愁の話をしようとしているのではない。

船は沈んでも、レコード盤は沈んでも、人は助かったし、ロックは生き延びた。
でも、本当に、まだロックンロールは“健在”なんだろうか。
ロックは歴史になった。
いい年の大人が聴く音楽だ。

輿論を操作し、気に入らない物は“違法”ということにしたてて排除しようとする権力に対して、命を懸けて異議申し立てをしている人たちは、どこにいるんだろう。
それを意気に感じて集結する人々はどこにいるんだろう。

暴走するモラル・マジョリティ、ポリティカル・コレクトネスの、そして“事業仕分け”の、総てが“コレクト”なのかどうか。

懐柔され、商品になったロックはいらない。
ロックの精神はまだ終わってはならない。
そして、“ブンガク”は倫理に奉仕する副読本ではないのだよ。

今、おまえはロックしているか、と言う問いが、沈んでいくレコード盤からきこえてくる気がした。

来年も“不道徳”な“抵抗勢力”で行きます。

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