小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

大阪大会の開幕ゲームで全力疾走

2011-07-14 01:29:23 | 新アマチュア野球観戦記
◇7月9日(土曜日)京セラドーム
大阪大会・開幕ゲーム
清教学園対泉尾工

 大阪大会の開幕ゲームだ。開幕式+次の試合が大阪桐蔭対関大北陽戦ということもあり、大阪大会としては異例と言ってもいい大観衆が京セラドームに集まった。「大阪大会としては異例の大観衆」と挑発的に書いているのは、7年前のことがあるからだ。04年7月30、31日に行われた大阪大会の決勝戦は記録ずくめにもかかわらず、観客が少なかった。
 藤井寺球場のラストゲームで、対戦するのは大阪桐蔭対PL学園。さらに、PL学園には当時1年生だった前田健太(広島)が、大阪桐蔭には2年生だった平田良介(中日)、辻内崇伸(巨人)がいて出場もしている。30日が延長15回の末、4対4の引き分け。翌31日(土曜日)は大阪大会としては初となる決勝戦の再試合。大観衆が押し寄せても不思議でない要素がいくつもありながら観客は多くなかった。大阪の野球ファンは阪神タイガースしか愛してないんだ、と思っても当然だろう。しかし、大阪の野球ファンは高校野球を忘れていなかった。
 さて、清教学園対泉尾工戦を取り上げるのにはもちろん理由がある。1回表、清教学園の1番打者・伊東拓(二塁手)が初球ストレートを打つと、打球はぐんぐん伸びてセンターの頭を越えて、フェンス際まで達する。その間に伊東は俊足を飛ばして二塁、三塁を回って、何とホームに生還してしまった。翌日のスポーツ紙を読むと、プレーボール・ランニング本塁打は大阪大会では史上初とのこと。全国でも珍しいと思う。
 この伊東に代表されるように清教学園の各選手は俊足揃いだった。打者走者の「一塁到達4.30秒未満、二塁到達8.30秒未満、三塁到達12.30秒未満」をクリアしたのは高校野球では稀と言ってもいい5人・9回。2番金田壮弘(左翼手)などは4回にセーフティバントを試み、ファールになったものの一塁到達タイムは3.59秒だった。この記録はプロを入れても今年のトップクラスと言っていい。
 試合は清教学園が6回コールド、12対0で快勝した。多田賢史、安井翔太(1年)の投手陣が安定しているのに加え、捕手・合田峻人が好リードと、二塁送球(イニング間)最速1・96秒の強肩で強力に彼らをサポートしている。ほとんど話題にならないが、上位まで勝ち上がっても不思議でないチームである。
 ちなみに、この日の2試合、翌日の3試合の計5試合中、ちんたら走る「一塁到達5秒以上、二塁到達9秒以上、三塁到達13秒以上」の鈍足は5人(7回)しかいなかった。大阪は1回戦でも高度な野球をやっていて、さすがだと思った。

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