◇9月9日(金曜日)晴れ
関西メディカルスポーツ学院1-0佐久コスモスターズ硬式野球クラブ
全日本クラブ野球選手権/大田スタジアム
関西メディカルスポーツ学院(以下、関西メディカル)のメンバー表を見て驚いた。監督が元近鉄の井戸伸年だということはわかっていたが、コーチに名を連ねているのが住友平と水谷宏。住友は弱かった阪急が西本幸雄の監督就任とともに強くなったときの正二塁手(通算511安打)、水谷はプロ通算こそ5勝12敗と勝ち切れなかったが、田淵幸一ドラフトで有名な68年の近鉄1位指名選手という点で忘れられない。
創部は今から5年前の2006年。相手チームの佐久コスモスターズ硬式野球クラブ(以下、佐久)も05年の発足だから似たりよったりだが、シートノックを見る限り練習量にだいぶ差がある。関西メディカルの選手はどこか球さばきがプロっぽいのだ。
試合が始まると、関西メディカル各選手の脚力に驚かされた。ストップウォッチで計測可能な打者走者の安打、ゴロ、バント20本のうち9本(4人)が4.30秒未満。5秒以上のチンタラ走りは0人。というより、最も遅いタイムがバントのときの4.88秒である(成功させたあとに体勢を崩したスリーバント)。対戦した佐久の4.30秒未満が1人1回だったことを見ても、関西メディカルの規格外の脚力が実感できると思う。
捕手の肩にも振れよう。久保祐太(敦賀気比卒・右左・170/68)が6回に二盗を阻止したときの二塁送球タイムは1.89秒。このタイムに信憑性を持たせるために、昨年の選抜大会での記録を紹介する。
2010年選抜1回戦・天理…………1.95~1.98秒(イニング間)
2回戦・花咲徳栄……2.06~2.07秒(イニング間)
2.15秒(1回)、2.49秒(5回) ※二盗刺
準々決勝・日大三……1.91~1.97秒
2.35秒(6回) ※二盗刺
昨年の同時期、雑誌『アマチュア野球』のドラフト候補一覧で、久保をC評価で掲載した。他誌でも似たような評価だろう。つまり、関西メディカルに昨年のドラフト候補がいるというところに驚いてほしい。他チームにそういう選手は1人もいない
投手の狩野翔平(右右・179/73)も20歳と若い(早生まれ)。大田スタジアムのスピードガンでMAX135キロだから、スカウトのガン表示なら138キロ、神宮球場なら140キロは出ていると思う。勝負球は落差の大きいフォークボールで、これを刷り込まれた佐久の各打者は高めのストレート(ボール球)にも手を出していた。走者を一塁に置いたときのクイックが1.15~1.19秒と速いのは元プロ監督、コーチの薫陶によるものだろうか。関西メディカルの選手たちはいい野球を教えられていると思った。