◇湘南学院3-2三浦学苑
秋季神奈川大会3回戦/横須賀スタジアム・晴れ
横須賀の球場で横須賀の高校同士がベスト8進出を懸けて戦う、横須賀出身者には堪えられない一戦である。帰巣本能だけでやって来たわけではない。報知高校野球(2011.9-No.5号)中の“秋を彩るNew HEROES”というコーナーに、三浦学苑の秋元秀明投手(2年・右右・185/75)が取り上げられ、見出しの言葉が「未知数」、その下の言葉が「投手としての才能」とあったのだ。140キロ級の剛腕とか、高校通算30本とか、景気のいい言葉で形容されるのが普通である。逆に、見たいと思った。
投球フォームはいい。バックスイングの内回旋、ヒジを起点とした腕の振り、さらに左肩が開かないという投手の基本的な美点を備え、カーブは縦に大きく割れ、角度、落差とも申し分ない。ただし、ストレートに打者を威圧する速さ、ボリュームがない。せっかくのカーブも打者の腰を折るような緩急がつかないので、打者はカーブのタイミングで待ってもストレートに間に合ってしまう。確かに未知数だよなあ、と納得した。
湘南学院の先発・立川慎(右右・178/66)は1年ながら秋元より体作りが進んでいる印象を受けた。体ができている分、ストレートに速さ・ボリュームがあり、カーブの落差、角度も見応えがあった。
投手フォームもいい。秋元同様、基本的な3要素を備え、コントロールにも安定感がある。ピンチのときほど右打者胸元へのストレートが多くなるところなど1年生らしくなく、1球だけ打者近くで鋭く落ちるフォークボールのような球もあった。5回で降板したが、被安打5、失点1は十分及第点を与えられる内容である。3年になったら騒がれる選手になっていると思う。