◇11月9日(水曜日)くもり、寒い
セガサミー 3-0 JR東日本
関東選手権大会・準決勝/大田スタジアム
朝、新聞を読んでいたら「関東選抜リーグ」の試合結果が出ていて、驚いた。明治神宮大会まで試合がないと思っていたからだ。数日前、日本野球連盟(社会人野球の連盟)のホームページを覗いたときは告知されていなかったのに、と恨めしくも手早く朝食をすませ、いそいそと家を出て、大田スタジアムへは12時少し過ぎに着いた。
準決勝の第2試合、JR東日本対セガサミー戦は既に3回裏、セガサミーの攻撃に入っていた。JR東日本の十亀剣投手(去るドラフト会議で西武1位指名)はネット裏でビデオ撮影していたので今日の登板予定はなさそう。前日の富士重工業戦では来年の候補、戸田亮(23歳・JR東日本・右右・181/75)も完封勝利を挙げているので、これも登板はない。この時点で野手に興味の大半を移した。
都市対抗の決勝でサヨナラ勝ちの発端を開いた石岡諒太(19歳・JR東日本・中堅手・左左・187/84)に注目したが、依然として背骨がシャンとしておらず一本立ちにはまだ時間がかかりそう。もう見たい選手はいないなと思っていると、日刊スポーツWebサイトのtwitterでおなじみの「ふくださん」から、「セガサミーの木村(佳吾。23歳・右右・187/75)ってすごいコントロールしてますね」と言われ、ようやくそのよさに目が止まった。
左肩が開かない良いフォームをしているのに見逃していたのは、大田スタジアムの球速表示が前にも書いたようにスカウト氏たちのスピードガンより約4キロ遅く表示されるのと、木村と同姓の木村宜志と思い違いをしていたためだ。
木村宜の名誉のために言っておくと、2人の木村は長身であるところや左肩が開かないところ、さらにストレートに一定の速さはあるが、ボールの角度と緩急を交えた配球で勝負するところなど似ている部分が多い。宜志が28歳というだけで、私は木村のプロ入りがないと判断し、人まちがいをした佳吾に興味が持てなくなったというお粗末。投手をスピードのあるなしで判断する幼児性も依然として残り、この日は反省するところが多々あった。
木村佳はアウトローのコントロールが抜群だった。この試合の被安打は7本だが、私が球場入りしてからは6回を2安打、6三振、無失点に抑えた。こういうピッチングを見せられると、プロ解禁年の来季は「ドラフト候補」として名前を挙げないわけにはいかない。ちなみに、この日は7安打完封に抑え、大田スタジアムのスピードガン表示に映し出したストレートの最速は138キロだった。
◇セガサミー 3-1 JX-ENEOS
関東選手権大会・決勝/大田スタジアム
決勝は最初から腰を据えて見たため、多くの選手のよさに目が止まった。
セガサミーの先発、大山暁史(23歳・左左・168/67)は9回完投して、強豪・JX-ENEOSを8安打、1失点に抑えた。ストレートの最速は139キロで、変化球は114、5キロの縦系カーブ、120キロ台前半の横変化と小さい斜め変化で落ち込む2種類のスライダーを備え、これらに小気味いいストレートを交えて打者を圧倒した。ストレートにもう少し速さとキレが出てくれば、来年はドラフト候補として名前が挙がってきそうだ。
4人の投手をつぎ込んだJX-ENEOSでは、3番手の北原郷大(23歳・右右・179/82)と4番手の大塚椋司(21歳・右右・178/78)に注目した。
北原はこの試合、唯一の140キロ台(141キロ)を記録して、さすが亜大4年時の昨年、ドラフト候補に挙がっただけのことはあると感心した。ただし、相変わらずコントロールが安定しない。高めボール球のストレートを振らす力はあるが、上のレベルに行けば通用しない球。始動の大きいねじりや、右腕が背中のほうまで入る大きすぎる腕の振りなど、あと1年でどれだけフォームをコンパクトにできるか、今後を占う試金石になりそうだ。
大塚は左肩の早い開きをなくそうとしている段階。“腕を振る”ことより、そっちに目が向いているので、ピッチングフォーム全体に固さがあるのは仕方がないところ。それでも120キロ前後の縦割れスライダーを前面に押し立て、9回を3者三振に斬って取ったのはさすが今年のドラフト候補。来季、盤石な候補になった姿を早い段階で見たい。