小関順二公式ブログ

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日米親善試合で圧倒的に目立った横尾俊建

2011-06-20 16:00:44 | 新アマチュア野球観戦記
◇6月19日(日曜日)内海・島岡ボールパーク
日米親善高校野球試合・東京大会
東京選抜対アメリカ

 日米親善高校野球・東京大会が6月19日(日曜日)、明治大学の内海・島岡ベースボールパークで2試合行われた。アメリカチームのメンバーは「アーバン・ユース・アカデミー」から選出された18人。同アカデミーはMLB(大リーグ機構)が野球振興のために設立したもので、元メジャーリーガーが指導に当たっていることでも知られている。
 メジャー関係者は高校時代に“ある程度のまとまり(完成度)”を得ることをいいことだと思っていないのか、来日するチームは常に未完成。このアメリカチームを東京選抜チームは粉砕した。第1試合が7対3、第2試合が10対1というスコア。どんな選手が出場したのかまず紹介しよう。

◇第1試合のスターティングメンバー(名字前のカッコ内数字は守備位置)。
(6)松本  剛(帝京3年・右右・180/80)
(D)川内 翔太(国士舘3年・右両・180/75)
(8)畔上  翔(日大三3年・左左・177/80)
(5)横尾 俊建(日大三3年・右右・176/82)
(3)稲村 大典(桜美林3年・右左・174/78)
(4)桝澤  怜(八王子3年・右右・180/75)
(9)高山  俊(日大三3年・右左・181/79)
(7)岡  雄大(国士舘3年・右左・178/70)
(2)山岸  育(二松学舎大付3年・右右・173/80)

 投手……吉永健太朗(日大三3年・右右・182/80)、溝口太一(佼成学園3年・右右・171/66)、鮎田純一(安田学園3年・左左・176/70)、伊藤拓郎(帝京3年・右右・185/85)、三竹芳孝(実践学園3年・右左・170/60)

◇第2試合のスターティングメンバー
(4)板山祐太郎(成立学園3年・右左・178/69)
(3)金子 凌也(日大三2年・右左・180/75)
(8)畔上  翔(前と同じ)
(D)横尾 俊建(前と同じ)
(2)降幡 優巳(八王子3年・右左・174/66)
(6)松田  進(国学院久我山2年・右右・184/69)
(5)川内 翔太(前と同じ)
(9)上西 達也(明大中野八王子3年・左左・174/70)
(7)岡  雄大(前と同じ)

 投手……吉本祥二(足立学園3年・右右・186/75)、谷昴輝(東海大高輪台3年・左左・175/62)、川口貴都(国学院久我山2年・右右・180/82)、小野央也(早大学院3年・右右・185/75)、鈴木誠也(二松学舎大付2年・右右・180/80)

 一言で言えば、いいメンバーだった。アメリカチームに対しては相手が強かろうが弱かろうが、バント、盗塁を多用し、ディフェンス陣に揺さぶりをかけて勝機をうかがうのがそれまでの日本チームの常道だが、この東京選抜は力で対抗、圧倒した。
 第1試合の1回裏、無死一塁のチャンスを併殺で潰したかと思われたあと畔上が技ありの二塁打で出塁して、打席に立つのは4番横尾。
 横尾は春の選抜時、グリップ位置が「耳から肩下まで下がる」ヒッチ癖があった。良くも悪くも中村紀洋(横浜)に似たパワーヒッティングに特徴があり、打球方向はセンターから左に集中した(11本の打球のうち左方向は7本。放った3安打すべてが左前打)。しかし、この2試合は様子が違った([]内は打席数)。
◇第1試合……[1]中二塁打、[2]三直、[3]二飛、[4]三ゴロ、[5]左前打
◇第2試合……[1]中二塁打、[2]右飛、[3]中飛、[4]一邪、[5]一邪
 ヒッチ癖は少し残っているが、最初に構えたグリップ位置が肩下なので、大きく下げることはできない。これが大きなアッパースイングを抑える要因になり、さらにボールを手前まで呼び込める要因になっている。センター方向への打球が増えたことを理屈で納得できるのが嬉しい。
 力は元々日本人離れしている。第1試合の二塁打はセンターの頭を悠々と越えていく打球で、第2試合の二塁打は中堅まで125メートルある内海・島岡ボールパークでなければ、どこでもバックスクリーン直撃の大ホームランになっていただろう。バットにボールが吸着したような状態になり、これを強引にパワーで押し込んだという打球。思わず見惚れた。
 横尾以外でも畔上、金子、松本の力強い打球が目立ち、選出する側が“技巧色”を求めすぎなければこういうチームは他道府県でもできるのだなと確信した。
 ストップウォッチで目立ったのは岡。国士舘らしい足の攻撃で相手を揺さぶった。
[1]バント安打4.10秒、[2]遊ゴロ4.26秒、[3]バント3.96秒、[4]三ゴロ4.28秒
 全打席で俊足の基準「一塁到達4.30秒未満」をタイムクリアしているのがわかる。走らないことが常態化しているアメリカ人にしてみれば、脅威だったろう。
 捕手では山岸の強肩が目立った。イニング間の二塁送球で最速1.87秒を記録したのだ。アメリカチームのレナ・マルティネスも真剣にイニング間のスローイングに取り組んでいたが、最速は2.01秒。山岸の肩は両チームの出場捕手の中では圧倒的にナンバーワンだった。長くなってしまったので、投手編は別に紹介する。


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