私が子供のころは、近所に「ご隠居」と呼ばれる老人が一人や二人はいました。
中でも、大勢の家族に囲まれて、精神的にも経済的にも豊かで悠々自適に暮らしている
人たちは「楽隠居」などと呼ばれて、羨ましがられていたものです。
私の楽隠居のイメージは、日当たりのいい縁側に座って、猫の頭をなでながら
こくりこくりと、居眠り・・・
なんとも平和な光景です。
そこで、私の知人たちで「楽隠居」は誰だろう?と考えてみたところ、
残念ながら一人も思い当たりませんでした。
子供や孫と同居していても、息子の妻とは犬猿の仲の義姉。
やっと夫婦二人の穏やかな生活を手にしたと思ったら、娘が離婚して、子供を連れて
戻ってきてしまったという友人が3名。彼女たちは今、仕事を持つ娘に代わって、孫の
幼稚園や学校の送り迎えなどの世話に忙殺されている。
お金には不自由のない友人は子供がおらず、伴侶にもすでに先立たれてしまって、孤独。
そして私はといえば、子供もお金もなく、夫とは心がすれ違ってばかり・・・
お~い! ご隠居さまはどこにいるの?