手話通訳者のブログ

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禅と手話

2017-01-04 07:29:07 | 手話
禅僧が弟子と向きあっている。
禅僧がいきなり手を「パン!」と鳴らして、弟子に問う。

今、鳴ったのは、右の手か、左の手か。

弟子は答えられない。
禅僧はさっといなくなってしまう。自分で考えて自得せよ、ということだ。
禅は奥深いもの。解答なんて薄っぺらなものは存在しない。

30年前、手話通訳者(有資格者)になったばかりの頃、ろう者の手話が全く読み取れず、苦しんでいた。
カリスマ手話通訳者に救いを求めた。
ろう者の手話が全く読み取れません。どうすれば、読み取れるようになりますか?

カリスマ手話通訳者は厳しい方である。手とり足とり教えてくださるような方ではない。
教えてくれなかった。でも、助言は欲しい。食い下がった。

「手話は絵だからね」

答えてくれたものの、全く理解できなかった。もっと詳しく教えて欲しかったが、それ以上は何も言ってくれなかった。
今は、なんとなく、解る。
30年も経って、なんとなく解る程度なのだから、情けない話だ。
一生かかっても、明快に解ることはないかもしれない。

つくづく思う。カリスマ手話通訳者は厳しい人だ。

地元主流派手話通訳者たちは、舌鋒鋭く「たいし」を批判してくる。
一見、あの人たちは「厳しい」人に見える。
でも違う。
野良犬が吠えているようなものだ。厳しさのカケラもない。