更科そば(御膳蕎麦)を試作しました。
今回試作したのは、そば粉(更科粉)800ℊに小麦粉200ℊを加えたいわゆる二八蕎麦です。
更科粉はそばの実の中心の胚乳部だけを取り出した粉です。高純度のでんぷん質のため、純白でさらさらとしています。
まずは更科粉を正確に800ℊ秤量し、木鉢に移します。
そば粉を平らにならし、沸騰させた湯を粉全体にかけていきます。
熱湯を用いるのはそば粉のでんぷんを糊化(α化)して粘性を引き出すためです。高純度のでんぷん質である更科粉を打つ際には欠かせない手法です。これを「湯ごね」と言います。
余談になりますが、湯ごねに対して「水ごね」という手法があります。これは、小麦粉のたんぱく成分(グルテン)や全粒粉(そばの実を丸ごと挽いた粉)に含まれるわずかな水溶性たんぱく成分が、水に溶けると粘りを生じそば粉をつなげる働きを引き出す方法です。
要するにそば粉をつなげる力としてたんぱく成分を利用するかでんぷんを利用するかということになります。
しゃもじで粉を手早く返しながら混ぜていきます。熱湯なので直接触ることが出来ません。
手で粉を触れる温度まで下がったら、強制的に水分を吸わせるように握るようにして混ぜます。
水分が行き渡ったら生地をビニール袋に移し10分ほど蒸らします。生地全体に水分がよく回ることになります。
蒸らしている間に、小麦粉を200ℊ計っておきます。
そば粉に小麦粉を加え、
生地の状態を見極めながら加水していきます。
手のひらの腹で生地をちぎるように練って粘りを出していきます。
ある程度粘りが出たところで、生地を二つの塊に分けて、
さらに練り上げていきます。
二つの塊を一つにまとめ、両手でしっかりと練り込んでいきます。
くくり(菊練り)という作業により生地をまとめているところです。
くくりが終わると次にそば玉を円錐形に整えます(でっちあげ)。
円錐形になったら、円錐の頂点を下向きにして円盤状に押しつぶしていきます。
木鉢での作業はこれで終了です。
ここからは延しの作業に入ります。
まずは手を使っての丸出しの作業(鏡出し)です。
ある程度の大きさになったら延し棒を使って丸く延します。
丸出しを終えたら、生地を麺棒に巻き付けて四角形にしていきます。(四つ出し)
四つ出しのあと、幅出しや本延しによって、均一な厚さと形のそろったそば生地にします。
生地をたたみます。
切ります。
一般的に江戸流では切り幅は1寸(3㎝)を23本(1.3㎜幅)に切りますが、少し細目にしたいので、25本(1.2㎜幅)を目安に切ってみました。
こんな感じに仕上がりました。
早速茹でて試食をしました。
食感に関しては、小麦粉を二割入れているにもかかわらず、意外とつるっとしたなめらかさではなく、麻布十番「永坂更科 布屋太兵衛」で食した十割の更科そばに近い感じでした。食感を楽しみつつ旨味も味わえるおそばでした。暑い夏にはもってこいの一品になりそうですが!?
今後、三つの課題を掲げて試作に取り組んでいきたいと考えています。
①小麦の比率をゼロにすることが出来るか?
②更科粉の選定のため複数の製粉会社の粉で試作する
③変わりそばを試作し完成させる
早期に正式メニューに加えることを目指します!!
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