天候:今日も
二日目、午前3時半起床。・・・あまりに早かったようなので30分睡眠を延長
それでも5時前には出発。
今朝も満天の星空、絶好の快晴が期待できそうだ。
横尾谷を渡った所で先行する年配の男女二人組を発見。けっこう荷物を背負っている。
追いついて聞くと、本日は「雲稜」で屏風の頭へ抜けると言う。我々は昨日の続きで「東壁ルンゼ・上部」なのでカチ合うことはない。
前後しながら、T4尾根基部へ到着。
お互いに準備をしながら「先、行きますよね?」と訊ねてみると「ウチら、遅いんでドーゾ。」というお言葉。いやぁ、ウチらもけっして速くないけど・・どうもすみません。m(_ _)m
で、T4尾根。まずはJu9cho氏から取り付く。
【T4尾根】
1ピッチ目 30m Ⅳ Ju9cho氏リード
出だしの一歩、アンダー・ホールドを使ってスラブに乗り上がる所がチョイと小難しい。(翌日見たら少し左が階段状で、そちらから簡単に上がれそう。)
後は快適なフェースで、朝のウォーミング・アップに手頃な感じ。
2ピッチ目 40m Ⅴ- 私がリード
フェースの傾斜が段々キツくなってきて、コーナーからスラブに乗り移る所がポイント。
ちょい手強いが、キョンやステミングを使って、うまくフリーで越えれた。ホッ。
その先、しばらくブッシュの中の土混じりルンゼ状をコンテで登って行き、最後にまたちょっとした岩場を登ると取付のT4となる。
予定では「東壁ルンゼ・上部」のつもりだったが、見てみると昨日の二人組がどうやら途中でビバークしたらしく、まだ上部1ピッチ目に取り付いている最中だ。
しばしJu9cho氏と作戦会議をし、昨日の様子だと我々も渋滞敗退となりかねないので、急遽「雲稜」にルート変更する。
もちろん、後続の「雲稜」に取り付くお二人にはその旨伝えて了承してもらった。
T4に着くと、すぐ目の前が「雲稜ルート」
【雲稜ルート】
1ピッチ目 45m Ⅴ Ju9cho氏リード
正面右手コーナー沿いにJu9cho氏がロープを延ばす。
他パーティーの記録では途中のハング下でピッチを切って二分割することも多いようだが、Ju9cho氏も「落ちたら止めてよ。」と言いながら快調に飛ばす。
結局、50mほぼ一杯のコーナーを上がりきった先のテラスでピッチを切る。
フォローした感想としては、最初の大きなハングは見掛け倒しでホールドがしっかりしていて簡単。
二番目の地味な小ハングの方が手強く、最後、コーナーに上がる所がこれまた岩が剥がれそうで、精神的にちょっと怖いが、全体的にダイナミックな登りで楽しめる。
Ju9cho氏、お見事です。
1ピッチ目を行くJu9cho氏
2ピッチ目 40m Ⅴ(A0) 私がリード
トポではここから右斜め上のピナクルへ向かい、そこから今度は左斜め上の扇岩テラスへ向かうジグザグ・ピッチとなっている。
ビレー点すぐ上にリング・ボルトが見えるが、その先がはっきりしない。
で、右手に続く残置ピンを頼りにトラバースを開始。途中、バンドがすっぱり切れ落ちた箇所があり、ホールドも微妙。
本当にこのルート取りでいいのかちょっと迷うが、行く手にも残置ピンが見えるので、スリングも使いながらA0突破。
しかし、その後で次第にピンが少なくなり、予想外のランナウトとなる。
多少、ホールドが細かかったが、何とかピナクルを経由し、扇岩テラスに到着。
ルートが屈折しているので、最後は綱引きをしているようにロープが重かった。
ちょっとランナウトした垂壁
途中のピナクルから見た扇岩テラス
扇岩テラスに上がってきたJu9cho氏
ここからは隣の東壁ルンゼを登っているパーティーの姿が良く見える。彼らが核心のA2ピッチで苦戦している間に我々の方が上に出てしまったようだ。
(後で他のトポを見たら、この2ピッチ目は出だしアブミを使って直上もアリと書いてあった。いずれにしても途中のフェースはホールド細かくⅤ級テイスト)
東壁ルンゼ上部2ピッチ目のパーティー
3ピッチ目 35m A1 Ju9cho氏リード
垂壁の人工ピッチ。フリーでは5.11aとのことだが、一瞬でできる気がせず、そそくさとアブミを取り出す。
ここも頭の飛んだボルトや3mmスリングが連続したりするが、昨日の東壁ルンゼ下部でのリハーサルのおかげでそれほど恐怖感は感じない。
垂壁をリードするJu9cho氏
フォローする私
4ピッチ目 30m Ⅳ+、A1 私がリード
ここもフリーでは5.9+とか5.10-とかなっているので、あわよくばと思っていたが、何だかこの辺りだけ岩が風化してボロボロ。
あまり思い切ったムーヴもできないので、まずはA0ステミングで上がっていく。
頭上にはやはりボロボロ崩れそうなハング帯が被さっているので、途中から右へアブミ・トラバース。
3mほど右へ行き、そこからアブミで直上。ハング下の剥がれそうなガバにたどり着いたら再び狭いバンドを右へトラバース。
わかりやすく言えばアミダくじ式に右上右上へ進む感じか。
登っている時はそれほど感じないが、ビレー点からフォローしてくるJu9cho氏を見ると何とも高度感があり、シピレるピッチであることがわかる。
リードする私
フォローのJu9cho氏(右上の白ヘルメット)
高度感溢れるピッチ
5ピッチ目 25m Ⅳ+ Ju9cho氏リード
後はこの上、スラブのフェースを残すのみ。
たしかⅤ+と書いてあったが、Ju9cho氏リードの番なのでホッとしていたら、ロープの流れが悪くなるとのことで途中で短く切られてしまった。
まぁ、その手前のピッチで私が短く切ったからいけないんだけど・・・。
出だしのフェースはクセが無く、快適で気持ちの良いスラブ。
背後には常念岳方面の景観
6ピッチ目 35m Ⅴ+(A0) 私がリード
引き続き、立ったスラブのフェース。
核心の思える箇所はクラックの中のホールドがヌメッている。
その上、ステミングが連続し、股関節の硬いオジサンには何とも厳しい。
結局、落ちるのがイヤで、痛恨のA0をしてしまう。
もう少しフレッシュな状態なら意地でもフリー突破したかったが、さすがにここまで来るとエネルギーも少なめ。情けない・・。
この上がムズいっ
しかし、その上、傾斜が緩くなってからもなかなか気が抜けないスラブが続き、ヒィヒィ言いながらロープを延ばす。
二つ先の懸垂支点まで上がり、Ju9cho氏を迎える。
この先は残置ハーケンは見えるもののⅡ~Ⅲ級程度の草付き階段状となっており、同ルート下降の場合は最後は割愛となっているので、ここを終了点とする。
上部スラブのピッチ
ここにて終了
取付からここまで約5時間弱。
毎度のことながら、途中でけっこう写真を撮ったりしたので、このぐらいの登攀タイムでも一応、及第点をいただけますかな。
常念岳などの展望を楽しみながら一休みした後、下降開始。
ルートがけっこう屈折しているため、扇岩テラスへは斜め懸垂などを強いられ、暗くなってからだと下降はけっこう厳しいと思う。
結局、後続のお二人さんには追いつかれることなく適度に間を空けて登ることができたし、隣の東壁ルンゼのパーティーも無事に上へ抜けたようだ。
扇岩にて一休み
T4へ。
翌日に備え、またまたT4尾根基部にギア類をデポ。
本日は明るいうちにベースへ帰還。ビールで祝杯を上げ、早々にシュラフに潜る。
夕暮れの横尾。またテントが増えている