ふだん山ばかり行ってると海が恋しくなるのか。それともほんの少し島流しの気分になって自分をリセットしたいのか。
しかしながら、直前の悪天候でまたしても見送り。結局、二日間で一番手軽な伊豆大島へ変更することとなった。
大島は5年振り五度目である。
前夜発の大型客船「さるびあ丸」は運休ということで、往きはまずJRで熱海まで行き、熱海港からジェット船で大島へ向かうことにした。
時速80km。揺れも少なく、船旅の旅情を感じることもなく、小一時間で島の北側にある岡田港へ到着する。
ちなみに春から夏だと西側の元町港への発着が多いが、西風が強い秋から冬は岡田港が使われることが多い。
東面の砂漠コースから三原山へ登り、下山後は南端にある懐かしのトウシキキャンプ場に泊。
一気に大島の好感度アップ!
バスで元町港に着き、「らんぶる」というレンタサイクル屋で50ccのスクーターを借りる。24Hで4,500円。
本当はもっと安い「モービル・レンタカー」という店があったのだが、今はバイクはやめてしまって車だけとのこと。(ネットではまだ継続しているようになっているが。)メット、グローブはタダで貸してもらえた。
今回は楽してバイクにしたが、当然自転車もある。前回来た時はマウンテンバイクが主流だったが、今はむしろ細いタイヤのオンロード車(クロスバイク)が多いようだ。
まずはデフォルメしたゴジラの石像がある「長根浜公園」へ。
少々風が強いが、青い空と海岸線の一本道が気持ちいい。
パームラインを走り、島北端の「大島灯台」を見学。
再び岡田港へ立ち寄り、先ほどの元・あんこ椿のお姉さんを拝んでいこうと思ったが、今度はいなかった。・・・残念。
辺りは一面荒野といった感じで、いかにも仮面ライダーやヒーロー戦隊もののロケで使われそうなイメージだ。
こんな季節はずれの平日に登っているのは自分だけだろうと思ったが、それでも上部のお鉢巡り一周路に出ると、ポツポツと単独登山の人が目に付いた。
以前、神津島の天上山に登った時もそうだったが、西陽を浴びた太平洋にポツポツと浮かぶ伊豆の島々の姿が神々しい。
標高は高くないが、島の山は内地の山とまた違った隔絶感がある。
適当に下りていくと往きとは違う「テキサスルート」と呼ばれる道に入ってしまい、しかたなくそのまま下る。
テキサスルートは意外と長く、登り始めが遅かったせいで道路に出た時には真っ暗になってしまった。
バイクを置いた地点まで3~4km離れているが、歩くしかない。
月明りの下、トボトボと暗い道を歩く。まだ夕方5時過ぎだが、島の夜は早く、車一台通らない。
それでもバイクの地点まであと1kmほどに近づいた所で、偶然通りかかった地元の人にピックアップしてもらえた。
こんな真っ暗な道を明かりも点けずに一人歩いているのがいて、向こうもちょっと不気味に思ったかもしれない。すみません。
近くに店など無いが、トイレ、シャワー、かまど完備で料金は無料。広い敷地は全面芝生で整備され、なかなか気持ち良い所だ。
夜になっても風が強いので、石垣を防風壁にして自分もシェルターを張る。
銛で突いたらしいが、こんな大きな鯛やカワハギを獲ってしまうとは、なかなかスゴイ!
辛うじて開いていたスーパーでワインと簡単な惣菜を買い、この日は普段と変わらない山メシとする。
昨日は一日中風が強くて難儀したが、一夜明けると多少治まったようだ。
キャンプ場のかまどを覗くと乾いた薪が放置されたままになっていたので、しばし暖を取る。
朝のコーヒーが旨い。
海際は黒い火山岩の断崖となっているが、少し東側に寄った斜面から海に降りられるようになっている。
バイクへ返しに行く前にガソリンを満タンにするが、島一周でも40kmほどなので補充したのは1Lちょっと。ガス代はトータル200円ほど。
昼飯は地元の定食屋で大島名物の「べっこう寿司」。
大島はアップダウンが多いものの島一周道路がほぼフルマラソンの距離なので、最近はランナー客が多いようだ。
御神火温泉にはあのシドニー五輪の高橋尚子さんも練習で訪れていたよう。
船のデッキから遠去かる島を眺めながら飲むビールがしみじみと旨い。
地元・横浜の夜景も海からだとまた新鮮である。