新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

台風の日は休もう

2019年09月10日 | ニュース

 台風一過。被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

 千葉県市原市のゴルフ練習場の支柱が倒壊したニュース映像には、ちょっと言葉を失った。倒れた支柱が民家の屋根を真っ二つにし、家を押しつぶし、中にいた住人の女性が重傷を負ったという。命には別状がなかったのが不幸中の幸いだ。写真を見ると、ゴルフネットの支柱には、根元から折れたのか、基礎らしき基礎もあるようにも見えない。手抜き工事が原因ではないのか。

 ボールが飛んでくる危険だってある。住宅地のど真ん中に、ゴルフ練習場なんて作ってもよいものなのか。調べてみると、建築物には、用途地域による「用途制限」があり、「ゴルフ練習場」を建てていいのは、「第二種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」である。第一種と第二種の「低層住居専用地域」「中高層住居専用地域」には建設できず、「第一種住居地域」には面積や階数等の制限がある。

 倒壊したと思われるゴルフ練習場周辺の地図を見ると、住宅も商業施設も工場も混在する「第二種住居地域」に相当するエリアのようだ。工場か何かの跡地だったのかもしれない。しかし、こういう事故を見るたび、震災や台風の経験がちっとも活かされていないと思う。

 電車の運転再開を待って、駅で待機する人たちの映像も、ニュースに流れた。「そんなに仕事が好きなら、会社の近くに住めばいいのに」と思ったけれど(特に仕事好きではないが、私は徒歩圏内に住んでいる)、私もかつては千葉都民だった。千葉県から通うのは、江戸川を渡るだけでも大変だ。「コミケのようだ」といわれた津田沼駅の長蛇の待機列には、知人や友人もいたかもしれない。あんなに長時間、炎天下にいて、熱中症で倒れたり、体調を崩した人もいたかもしれない。労働組合を長年やってきたが、労働者にこんな負担を強いて、こんな危険にさらす企業の経営者は許せないし、無能だと思う。

 人それぞれ、いろいろ事情があり、出勤せざるをえない人もいるのだろう。大型台風が上陸した日に取材があり、取材先には全館退館命令が出ていて、館内にはインタビューィと代理店の営業と私と警備員さんの4人しかいないということもあった。申し訳なかったが、売れっ子で、その日しか空いておらず、その日を逃すと、次いつアポが取れるかわからなかった。ビジネスでは、そういう絶対に外せないタイミングというものもあるだろう。それはわかる。

 しかし、そういうことは滅多にあるものではない。あの待機列の中で、本当に緊急の仕事がある人は、5%か10%もいたらいいほうだと思う。残りの人は、上司・同僚・お客さんが出社するから、同調圧力で仕方なしに出社しているだけではないのか。病院で働くドクターやナースのように、急患や急変に備えてどうしても出勤しないといけないとか、緊急性の高い人たちは、ごく一握りだろう。意味もなく出勤するのはエネルギーの浪費であり、社会的損失である。多くの企業にとっては、労働者を無駄に疲労させ、危険にさらすだけである。

 若い頃、台風の中、全身濡れ鼠になりながらクライアントを訪ね、「よく来てくれたねえ」とねぎらってもらったこともあった。しかし、今はそういう時代でもあるまい。私がクライアントの立場でも、取引先の営業さんに、けがをされたり風邪をひかれたりしては困る。休日手当に危険手当を上積みするというならともかく(それでもいやだという人はいるだろう)、ゼニも払わず、大変な思いをさせて職場に出てこいなんて、図々しすぎる。

 台風が来たら、みんなで休もう。飲酒運転や煙草のポイ捨のように、台風時や大雪時の出勤も、過去の悪習として社会的に葬り去っていかねばなるまい。


最新の画像もっと見る