新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

ある老舗にて

2010年12月05日 | 毒男のグルメ
グルメ話題続き。きょうは少しシリアスかもしれない。

ある老舗の大旦那さんから、よしなしごとに対して、ご丁重なお礼状をいただく。戦中世代の折り目正しさ。到底まねができない。

お手紙によれば名店も不況の煽りを受けて、業績は思わしくなく、将来が心配で仕方ないらしい。そういえば私もすっかり足が遠のいている。思い立ち、ランチどきに足を伸ばす。

日本料理の基本はだし。吸い物を一口いただき、味は落ちていないので一安心。先代から受けついだ伝統の味を、しっかり守り抜いている。手を抜かず、素材も手順もごまかしがない。若旦那は真面目で律儀である。

しかし華がない。ヘルシー志向の新メニューの精進湯葉天丼には、がっかりした。病院食のような物足りなさ。京都の観光客相手のお店なら、これでもいいだろう。しかしここは「実」で勝負の大阪である。

湯葉は普通に汲み上げか、刺身に限る。煮炊きに用いるにしても、熱を通しすぎたら風味も食感も損なってしまう。天ぷらなど邪道ではないのだろうか。

いや、それは私の固定観念かもしれない。だったら良い意味で、裏切ってほしかった。湯葉はどろどろに融けてしまい、得体の知れないものを食べさせられた後味の悪さが残る。たとえるなら、芯まで火が通ってしまった甘くないアイスクリームの天ぷら、磯の香りも食感もない牡蛎フライ。

この言い方はきつすぎるかもしれない。しかし滋味ある本物の素材を用いながら、生かし切れていないのが、残念で腹立たしいのだ。大豆に謝れといいたい。

顧客は年齢層が高い。店内を見回し20人いた客のなかで、私が3番目くらいに若かった。私より若くみえた男女は、会社の上司に連れられてきたらしい。その人達がファンになって、部下や後輩をまた連れてきてくれたらいい。かつての私もそうだったように。しかし彼らは満足して帰っただろうか。

常連さんは大事である。しかし客は薄情で、商売は非情なものだ。先代には大勢のファンがいたが、鬼籍に入ったり、存命でももう代替わりしている。ドラッカーを持ち出すまでもなく、事業の目的は顧客の創造である。新しいファンをつかんでいかなければ先細りで衰退してしまう。

伝統や格式は守り抜きながらも、もう少し若い世代にも手の届きやすい価格帯で、華や夢のある新メニューは作れないだろうか。食後のお茶をいただきながら、いくつかの企画が思い浮かんでは、消えていく。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (氷川 渉)
2010-12-05 20:13:16
昨日、今日と課内旅行でゲゲゲな街方面へ。宿は皆生温泉。

かつての高級旅館でしたが、「失われた20年」の影響で、リーゾナブルな旅館に変身していました。食事が大変美味しかったです。

今は3万以上では、売れないそうです。また、今の時代に社員旅行なんて、まずないそうです。
返信する
Unknown (氷川 渉)
2010-12-05 20:23:52
あと。宴会最後に「〆」の言葉を幹事から求められました。そんな歳になったのだ、と思いました。
返信する
Unknown (くろまっく)
2010-12-06 10:18:00
いいなあ。ゲゲゲの街は一度行きたいです。
確かに国内より海外の方が安あがりなんですよね。予算的に倍はちがってくる。宴会なしで素泊まりなら、グンとお安くなるんですが、オヤヂ集団が抵抗。女子や若者はいやがる。
いま企画しているのも日帰り旅行です。

返信する