けつあらい少女

　「じぶん、好きやろこれ！　萌え子やで萌え子！　これ、わしのかわりに読んでくれや」

　どこかのイベントに出かけてきた顧問が、萌え系キャラのチラシを持ってきはった。西成生まれのバリバリの大阪のおっちゃん。組合デビュー戦のリストラ粉砕闘争には辛勝したものの、報復として仕事を完全に干されていた時期に、応援してくださった大恩あるかたである。

　「萌え子」には若干の解説が必要。社外スタッフのひとりで、百合もＢＬも両刀使いの若手クリエイターくんのこと。名前を出せば知っている人もいるかもしれないね。名門美大をストレートで通った人だけに、その美麗なタッチはアニメやマンガを全く知らない老マイスターをも「これがいま流行りの『萌え』やな！」と驚嘆させたのであった。がんばり屋さんの所も、戦前生まれの顧問はいたく気に入り、孫のような感じなのだろう。「萌え子」もいつか檜舞台に立たせてやれと、以来、こうしてチラシやらグッズやら見つけては持ってきてくださる。

　「えーと、あなたは一人じゃない。2月11日、12日……」

　「ほんま好きなやっちゃなあ。声出して読んどるで、このおっさんは！　萌え萌えでっか？」

　「ぼちぼちでんな、……てか、何でやねん！　かわりに読めとおっしゃいましたやん！　また眼鏡忘れはったかと」

　「いまかけとるわ！　ちゃうちゃう、この漢字読まれへんねん。『けつあらい少女』か？　どんな話やねん、えっ！」

　けつあらい少女って、それなんてエロゲ？　お尻だって洗いたい、ちゃう、洗ってほしい戸川純さんですか。

　しかし、簡体字ぽいゲバ文字風で「尻洗」、けつあらい、そうも読めなくもないなあ。意外に革命の季節は近いのかもしれないと一瞬思った。時代は変わる。「萌え子」もがんがれ！

　正解はこちら。ハマりそうだから避けているけれど、タイトルくらいは知っています。この「魔法少女」、そういわれてみたら、たしかに「尻洗少女」にみえますね。








2022年5月1日の追記。2013年10月公開の「｢新編｣叛逆の物語」で結局まどマギにドはまりして、結局、円環されてしまった…