一穂ミチ「ツミデミック」感想

一穂ミチさんの本は、スモールワールズを読んだことがありますが、これが2冊目。
直木賞を受賞したのですね。
確かに面白かったし、良く出来ている(文章が上手！）って思いましたが、短編集なのが何故だか惜しい・・・。

コロナがからんでいるお話ですが、色々なジャンルでそれぞれ違った味わい？の作品で、引き出しが豊富なのねー。

『特別縁故者』が一番面白くて好きでした。
トータル4つ★


★今日は、以下全文ネタバレであらすじ書いています★注意です



『違う羽の鳥』
居酒屋の客引きのバイト中出会った若くて派手な女性。
彼女が名乗ったのは、中学時代に自殺した同級生の名前だった
（ちょっと謎なお話）

『ロマンス☆』
ある日、ものすごいイケメンのデリバリーサービスの配達員を目撃する。
彼にまた会いたい(見たい）とサービスを頼むが彼は来なかった。
それ以後、何度も注文してしまい・・・
これは・・狂気ですね・・・

『燐光』
死んでいたことに気がつく主人公。
映画ゴーストの様に、こちらからは見えてるんだけど、あちらからは見えず、触っても声を出しても届かない。
そんな中、かつての親友と当時交際していた教師が・・・
妊娠して産もうと思っていた彼女を彼が突き落としていたとは・・・

『特別縁故者』
これが一番面白かったというか、好きだな！
コロナでやむなく料亭を解雇された男の話。
息子が知り合ったご老人。息子が古い聖徳太子の1万円をもらってきた事がきっかけで、訪問してみると、一人で暮らしてで孤独そうだ。　下心ありつつも、手作りの食事などを定期的に運ぶことになって顔見知りになる。
妻が倒れ、借金も家賃滞納もあるわ、入院するわでお金が要りようになってしまい、おじいさんにお金を貸して欲しいとお願いするも、断られて、それどころか家政婦とつるんで悪い計画を企んでいると勘違いされていて大ショック。
が、強盗に襲われそうになっている？のに気がつき、かけつけたお陰でおじいさんは救出される。
なんとおじいさんは、この辺りの地主で大金持ちだった。
彼へ、普通に使えないという万札と、心に沁みる応援の手紙を・・・。

『祝福の歌』
高校生の娘が妊娠し絶対産むという。
達郎は定期的に母親のマンションへ通っているが、隣の部屋に住む女性の様子がおかしくてみんな心配している。
なんと、母親は実の母ではなかった！（よく今迄解らずにいたなあ）
隣人は代理出産をお願いしていて、ウクライナ侵攻により産まれた子供と会えなくなってしまって精神的に壊れたようだ。

『さざなみドライブ』
SNSを通じて知り合って今日集まったのは、みんなで一緒に死ぬ仲間だった。
主人公は、こうなったらいいのに・・・と書いた内容が現実になってしまうというのを何度も経験している。

ツミデミック 2023/11/22
一穂ミチ

スモールワールズ