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角田光代「希望という名のアナログ日記」感想

2020-08-28 | 小説・漫画他

「希望という名のアナログ日記」
角田さんファンにとっては、面白いエッセイ集でした。
角田さんのプライベートなお話がいろいろ書かれていて、あの頃はああいう心理状態だった、そのころは落ち込んでいた、こういう作風にしようと努力していた、等彼女の作品を2004年くらいからずっと追ってるファンとしては、へえー!そうだったんだ・・・というのがあって、とても興味深かったです。
今回は、真面目に書かれたお話が多かったです。

「作品が厭世的すぎる。もっと希望のある内容を書け」と長年指摘されていたんですね・・・。確かに昔の作品はラストが宙ぶらりんだったり、あいまいなまま終わっちゃうって印象があったかも・・・。私が角田さんの小説を知ったのは「対岸の彼女」で、それがとても気に入ったので、それ以後の新作や、さかのぼって古い作品も読んできましたが、対岸~以後の作品はいつも面白かったのですが、対岸以前の小説は、2002年秋に発表になった「空中庭園」はとても面白かったのですが、他の作品で、これは!って思ったものはそういえばあまり無かったんですよね・・・。御免なさい・・・

59頁に、部屋の中での出来事ばかり書くといわれ、じゃあ部屋の外のことを書こうと29歳1996年に思った。
その10年後(2006年頃か)、生活の場の事ばかり書くといわれ生活と対極の事を書こうと思い、生活と対極の事って何だろうと考えたら「事件」だった。そうして書いたのが「八日目の蝉」だった、とのことでした。

小さいころから作文や文章を書くのが好きで、小説家になろう(ほかにできることが無く、選択肢がなかったため)と決意し、頑張った大学受験、大学生活などから、結婚、離婚に関しての角田さんの意識の変化とかも書かれていました。

24頁 41歳の時に離婚した(2008年?)入籍していた短い間と一番仕事が忙しかった時が重なっていた。結婚というものは放っておいても上手くいくものだと思い込んでいたが、仕事と同じに努力が必要だったと後で解る。結婚も恋愛も努力というのが必要だったと気が付く。再婚しようと思ったのは、結婚というもので努力してみたいと思ったから。努力の先になにがあるのか知りたくなった。とのことです。

あと、この「それぞれのウィーン」内で、36歳ころ(2003年ころ?「対岸の彼女」の前?)、無感動だったというのにびっくり。
そんな中、ウィーンで、フンデルト・バッサーの建物に感動するくだりがあって、そこ、私も行ったので、とてもうれしかった。
ウィーン・プラハ旅行6 フンデルト・バッサー建物編

それぞれのウィーン 文章一部 
そのとき私は三十六歳で、人生において、諦め、手放していることがあった。映画を観ても小説を読んでも絵画を見ても音楽を聴いても、心をつかまれて揺さぶられる、というようなことが、久しくなくなっていた。二十代のころにそうだったような、ああした生々しい感動は、この先もう得られないんだろうなと思っていた。新しいものではなく、若いときに衝撃を受けたいくつかの小説を読み返し音楽を聴き続け、そうして老いていくのだろうなと、諦めていた。この先も続く、感動のない人生には失望したけれど、しかたのないことだった。
旅も然り。夏も終わったころにようやくとれた夏休みのいき先に、ウィーンを選んだのは、とてもいいところだとだれかから聞いたからだった。たしかにとてもいいところなのだろうと、出発前に思っていた。でもきっと、「とてもいい」以上のことはないだろうな、とも。そのへんてこりんな建物を見つけるまで

ほかにも、マラソン、サンチャゴ巡礼などのお話もありました。
角田さんの25年間住んでいる場所ってどこなんだろう・・・。この前読んだ川上弘美さんのエッセイ本に、角田さんとばったり遭遇することがある、って書かれていたので、二人ともご近所なのかしら?
マラソンルートにある、緑が美しい集合住宅って、どんなのなんだろう?(カナダで会った女性が日本でそこに住んでいたことが解るお話もありました)
   →ちょこっと調べたら解りました。 西荻窪ですね。
杉並区の角田さんインタビュー 近所の都立善福寺公園と、そこから川沿いに伸びる都立善福寺川緑地が好きです。週末は、西荻窪から阿佐谷方面に向かってランニングしています。

このところ、数年かけて源氏物語を手掛けていた角田さん、久しぶりに角田さんの小説が読みたいなー。
最近始まった読売新聞の連載「タラント」も毎日読んでいます。

希望という名のアナログ日記  2019/11/1 角田光代

角田光代さんの本の感想
私はあなたの記憶のなかに
「坂の途中の家」
「平凡」
「私のなかの彼女」
「空の拳」
「口紅のとき」
「それもまたちいさな光」「月と雷」感想
「異性」「紙の月」
「曾根崎心中」「かなたの子」
「なくしたものたちの国」「ツリーハウス」
「水曜日の神さま」
「福袋」
「くまちゃん」面白かったです
「森に眠る魚」(ネタバレです 注意!)
「何も持たず存在するということ」
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
「ロック母」
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
「ドラママチ」 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み
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