のぶのぶの音楽雑記

演奏会のお知らせだけでなく、色々なことを書いていこうと思います。

加藤綾子 ソロリサイタル ヴァイオリニストのためのフィクション

2025-04-05 00:49:09 | 日記

いつもなら印象的な曲を取り上げて感想を書くんですけどね…今回はそんなことしてらんないくらい全曲凄かったんですよ。アンケートにも思わず全曲にチェック入れちゃったくらいだし(笑)

加藤さんのコンサートに行くのは4回目になるでしょうか?毎回感動・感心(関心)と言葉に出来ない何かを感じるコンサートなのですが…今日感じたのは、この人って独りで立ってる時が一番輝いてるんじゃないか?ということです。加藤さんが無伴奏の曲を弾いている時というのはまるで彼女が世界の中心のように感じてくるんですよね。分からん?なら彼女のコンサートに行ってみて。きっと分かるから。

演奏においてのハイライトはヴァインベルクでした。いやぁマジかなんなんこの人…と思わせる弾きっぷりながらも、加藤さんがプログラムに書いていたようにそこには確実にうたが「在る」んですよね。この前のコンサートのデュティユーを思わず想起してしまいました。

いや、この演奏の後にあと何やるの?と思ってしまいました。しかしながら、小栗舞花さん作曲(創造?)の新作「生前のバイオリン、こないだの人」…これが個人的ハイライトでありました。
席に座った時、うわぁー柱で見えんかも…って思ったんですよね。

(※演奏者より撮影の許可が出た時のものです)
しかし、実はここが特等席だったというのがこの曲で分かりました(笑)
この場でああだったこうだった、こんなことがあった、こう思った、ということを並べることは出来ます。その方が演奏者や作曲家も感想を読めるのも分かっています。が、これに関しては「言いたくない」という気持ちが一番強いのです。なんでしょうね…自分でもこう思ったのは初めてなもんで(笑)感覚としては短編小説を観た、というものに近いでしょうか。その場にいないと分からないかもしれませんが。

この曲(というより「作品」の方がしっくりくるでしょうか?1つのアートであったように思います)は再演熱望ですね。夜の部の演出もとてもとても気になりました。昼を見た上で夜を見ると印象が変わったことと思います。
また、加藤さん以外のバイオリニストが演った場合どうなるのか…?そんな想像も膨らみますし、すっかりこの作品の虜になりました。

昨年演奏した灰街さんの作品然り、新作が聴ける楽しみも加藤さんのコンサートの醍醐味になりつつありますね。次回はどんな出逢いがあるのか今から楽しみです←終わったばかりなのに気が早い😂

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Charon再結成!

2025-03-26 10:49:04 | 日記


もう頭がぐちゃぐちゃ過ぎてまともな文章書けないな(笑)
自分は高校でマイケル・ジャクソンを聴くまではクラシックしか聴かず、マイケル・ジャクソンからメタルやプログレにハマったって話はSNSで再三話してるからご存知の方も多いと思います。

メタルのきっかけはNorthern Kingsという、過去の名曲をフィンランドの人気メタルボーカリスト4人がカバーするという企画モノとの出会いでした。そのメンバーのバンドはNightwish、Sonata Arcticaと日本でも有名なバンドに、Teräsbetoni、Charonと日本ではまだマイナーなバンドのボーカリスト4人でした。どの声もかっこよく、曲のアレンジも素晴らしくあっという間にドハマりしたものです。中でも最も魅了されたのはCharonのボーカリスト、J.P.レパルオト。彼が歌うカイリーミノーグの「I should be so lucky」は原曲レイプと言ってもいいくらい大変なことになっており、しかしそこに私は完全に惹かれました。

そこでCharonが気になった私はYouTubeで色々聴きました。正直ピンと来なかったというのが最初の感想。ゴシックメタルというのも知らないし、「ん〜??」でした(笑)ハマったのはNightwishとSonata Arcticaでしたね。しばらくしてCharonの「Colder」、「Ride on tears」を聴いてハマりました。曲が幾分ポップなこともありますが、色々なバンドの色々な曲を聴くようになっていたから、というのが理由になりそうですね。そしてCharonのアルバムを短期間で全て集めるのです(笑)

しかし、私がCharonを知ったのは2010年あたりだったでしょうか。その頃にはあまり活動していなかったんですよね。ライブDVDなんかも出ていません。最高に彼らにハマっていた2011年、そこそこ大きなツアーと一緒に発表されたのが「解散」でした。なーんか…めちゃくちゃ泣いたの覚えてるな(笑)浪人中でして、情緒不安定ってのもあったかもしれないけど、心からショックだったんですよね。久しぶりにリアルタイムで見たレパルオトはすっかりハゲて痩せこけてたし。声は変わらなかったけど。ツアーのライブの隠し撮りや公式映像がYouTubeに転がり始め、毎日チェック。見た目こそ変わったけど、音楽は相変わらずだし、イキイキしてる。ほんとにお前ら解散するのか?って思うほど。

彼らはあっけなく解散しました(笑)その時たしかに自分の中から「何か」が消えた感覚を今も覚えてます。もう彼らの新曲を聴くことはないと思うとすっかり落ち込んだなぁ。

14年だぞ?あれから。その間、レパルオトがメインのHarmajaとか追いかけたけど、「お前はメタル歌ってる時が一番イキイキしてるじゃねーか!」って俺はずっと思ってたし言ってきたから!(笑)2015年にハロウィンイベントでCharon組んで数曲歌ってた時、めちゃくちゃノリノリだったじゃん!あれか?50歳の節目だからここまで待ったのか?それにしても待たせ過ぎだろ…14年って…俺の人生の約半分ぞ?(笑)
もう日本に来てくれなんて贅沢言わないし、アルバムを定期的になんてことも望まない。不定期でもいいから新曲発表やライブを細々とでいいからやってくれ…もう解散なんて言わないで。
「音楽に救われた」みたいなことあまり好きじゃないんだけど、Charonの音楽は俺にとっては間違いなくそういったものだから。

はぁぁぁ…再結成はとてつもなく嬉しいんですよ。でも、また解散するんじゃ…っていう恐怖も付き纏うんだよな。でも、それはその時落ち込めばいいんであって、今はとにかく再結成を素直に喜ぼう。祝福。今夜は飲もう…いや、ココ最近毎晩飲んでる(笑)
お祝いだ。おかえり!Charon!
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演奏の大変さ

2025-03-24 15:58:18 | 日記


まぁ当たり前なタイトルですが(笑)
1ヶ月ちょっとで3つのコンサートをやりました。演奏した曲を書き出してみましょう(ざっくりなので、作品番号など省いてます)。

2月16日・大阪でのソロコンサート
実は、ゲストのいない完全ソロは2年2ヶ月ぶりでした。
リューベック:プレリュードとフーガ
ブクステフーデ:プレリュード
ブットシュテット:フーガ
バッハ:平均律1巻22番
オブーホフ:互いに愛し合いましょう
ヴァイス:シャコンヌ
パッヘルベル:シャコンヌ
ビーバー:パッサカリア
リスト:バッハ変奏曲
〜アンコール〜
ヘンデル:サラバンド
スカルラッティ:ソナタk32
バッハ:平均律1巻1番プレリュード
バード:フルートと太鼓
80分弱

2月21日・バロック歌曲コンサート
パーセル:もし音楽が愛の糧ならば
ヴィオールをかき鳴らせ
男は女のために作られて
しばしの間の音楽
お聴き、大気にこだまして
カッチーニ:アマリッリ(3種類)
フィリップス:アマリッリ(ピアノソロ)
ファーナビー:古いスパニョレッタ(ピアノソロ)
40分(演奏のみの時間)

3月23日・動物コンサート
去年の6月にやったものですが、元々「45分で全体力を使い果たす」をモットーに組んだプログラムです😂
miro:猫ふんじゃった変奏曲
サンサーンス:ライオンの行進
ケルル:かっこう
ブルグミュラー:つばめ
バッハ=ペトリ:羊は安らかに草を食み
ロワイエ:スキタイ人の行進
リムスキーコルサコフ=シフラ:熊蜂の飛行
ボワモルティエ:のみ
ゴットシャルク:タランテラ
〜アンコール〜
ベートーヴェン:エリーゼのために
約45分

いやぁ…思ったより大変でした。曲数だけで言えば30数曲ですが、ソロと伴奏は大違いですね。しかも本領のバロックなので気合いも入ります(笑)自分の勉強にもなりました。

動物は過去に2度やったものではありますが、曲間にクイズを入れるというのが結構大変なもので(笑)単純に演奏自体も大変なんですが。

基本1つのコンサートのために余裕を持って準備をするタイプ(というか、そうすることでしかまとめられない不器用😂)なので、1ヶ月ちょっとでこんなにバラバラなものを準備したのは初めてでした。私は演奏を生業としているわけではないので、正直いっぱいいっぱいでした。特に動物のように、前にやったことあるから、という理由ですぐにまた弾ける。などということは全くあるわけなく。むしろ、もう一度作るのがいかに大変かは演奏される方なら頷いていただけると思います。

一度冷えたご飯をレンジで温めても、元の美味しさにはなかなかならないじゃないですか?冷凍の場合なんか半解凍ぐらいだったりなんかして(笑)そうすると本当に良いモノを作るのって大変なんですよね。頭で分かってはいてもどうしてもね。いやぁ…57キロの体重が51キロまで落ちましたよ(笑)

さて、一息付く間もなく次のコンサートの準備です。男4人というむさ苦しい連弾や2台ピアノのコンサート、6月のResonanCeのコンサート。今年はもう1つ、とっておき秘蔵のお知らせが出来そうです。それはまたそのうちに。
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バロック歌曲コンサート

2025-02-27 07:46:19 | 日記



2月21日、バロック歌曲のみのコンサートの伴奏をさせていただきました。「え、伴奏やるの?珍しい」と案の定いろんな所から言われましたが、「モダンピアノの伴奏で歌いたい」という内容に共感して引き受けさせていただきました。

前半はパーセルの歌を5曲。後半はカッチーニ作曲のアマリッリを色々な編曲でというマニアックでもありかなひ尖った内容。うーん…好き(笑)
そもそも、声楽科入門のようになっているイタリア古典歌曲集…たしかに美しいですが、ほとんどが中期~後期ロマン派のパリゾッティさんが編曲した伴奏です。しかし、どうもそれを原曲と思われる方も多い印象があります。さすがにカッチーニのアヴェ・マリアに関しては浸透してきた感じはありますが(笑)

さて、だいぶ前にパーセルはResonanCeで取り上げましたが、こんなにまとめて演奏するのは始めてです。ピアノで演奏するのも1曲しかやったことありませんでしたし。曲は全てソプラノの八木下さんにお任せ。曲を受け取って驚いたのは、パーセルのグラウンド。ソロの作品にもグラウンドはいくつかありますが、まさか歌ものまでそういう構造になってるとは驚きでした。
ウェルギリウスについて考える時、いつもパーセルがよぎります。今回の演目には入っていませんが、パーセルの根底にはそのような文学知識があったのだろうと思います。それはオペラなどに限らず、です。

合わせを重ねる度に、リコーダー欲しいなぁとか弦欲しいなぁとか思うようになりましたが、そこら辺がカバー出来ねばと思い奮闘しました。スコアを見たり色々聴いてみたのですが、パーセルの奥深さには驚きの連続でした。それは思想的な意味ではなく音楽的な意味においてです。あと20年長生きしたらどんな音楽家になっていただろうとつい思ってしまいました。

さぁ、後半はカッチーニのアマリッリ祭り。その前にイギリスからイタリアへの架け橋として私がソロでファーナビーの「古いスパニョレッタ」を。イギリスの作曲家が書いたシチリアーノということで繋げました。

それからまずはパリゾッティ版のアマリッリ。アマリッリとしては一番耳にする版ですね。次に原曲に近いアレンジのものを。たしかにリュートやギターで爪弾く方がいいのでしょうが…そこはピアノの力を信じて(笑)奥さんの解説もだいぶお客さんに伝わっていたように思います。

次にピーター フィリップスというこれまたイギリスで活躍した作曲家が編曲したアマリッリをピアノソロで。この時代、すでに歌ものを器楽に編曲するというのはあったんですよね。当時の装飾の一例にもなりますね。そういう意味でも取り上げたかった曲でした。

最後に取り上げたのはパリゾッティより少し後のフロリディアという作曲家による編曲。これがまぁ色んな意味で面白い編曲でして…覚えたての和声を使いたがる若者のような編曲(笑)もはやピアノソロじゃない?ってくらいのやり込み度。それに合わせる奥さんの歌い方に、本番もニヤニヤが止まりませんでした(笑)

全体を通して、お客さんが楽しめる会だったように思います。要所要所でお客さんの頷きが大きく、言いたいことを伝えられているんだなぁとピアノ側から見ておりました。若い歌手の方々がこういった活動をされるの、とても嬉しく感じます。自分の勉強にもなりました。
ご来場くださいました皆様、ありがとうございました!
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初めての大阪公演

2025-02-24 09:14:39 | 日記

初めて大阪でコンサートを開きました。尊敬する音楽家の方やSNSで繋がっていた方、オンラインレッスンの生徒さんにお会い出来たのはとても嬉しく、今後も定期的に同じ場所でコンサートをしていこうと思いました。
総持寺という駅から歩いてすぐの会場は静かで響きも良いところでした。
バッハ以前、バッハ以後というテーマのコンサートでしたが、主にバッハ以前でほとんどがオルガンのための曲でした。中でも最初に持ってきたリューベックは演奏するにあたってとても頭を悩ませました。ブクステフーデのオルガン曲を弾くのと同じように、やはり足鍵盤までカバーしてフーガを弾くことの大変さ!かなり前から練習していましたが、手の内に入るのに時間がかかりました。北ドイツの風味を持ちながらイタリア的な様式を持つプレリュード。これは最後のリスト、またはアンコールのバッハへと繋がりを持たせたい意味でどうしても最初に演奏したかったのです。

2曲目のブクステフーデはある意味孤高な曲。ブクステフーデのプレリュードの典型的な形ではありますが、他の作曲家にはほとんど見られない。キリストの降誕ということを考えましたが、リューベックという異端の地で果たしてブクステフーデは何を考えて作曲をしていたのか?バッハはブクステフーデの何に惹かれたのか?ブクステフーデの音楽を奏でる度にそのようなことを考えてしまいます。代表作「我らのキリストの御身体」の作曲経緯…手紙のやり取りを見る限りリューベックでは一度も演奏されていません。なんならブクステフーデは教会に黙って作曲し、複写もせずスウェーデンの宮廷に送っています。スウェーデン大使館に問い合せたのですが、出納記録は残っていませんでした。謎が深まります。大阪で弾いている時も集中しつつも常にそんな謎がどこかにチラついていました。

ブットシュテットとバッハはドミソとレファラ繋がりで。この著作について、マッテゾンの話を出せば少しは笑い話にでもなったかなぁと後々反省。平均律はやはり重たいテーマ。先ほどのブクステフーデの「我らのキリストの御身体」と重なる曲と考えています。「神秘主義として演奏したいわけだ(ニヤリ)」と恩師に言われたのを今も強く覚えています。まさにそのように考えています。

前半最後はオブーホフの「互いに愛し合いましょう」。ある意味十二音技法と言える曲をあえて平均律の後にくっつけました。そしてオブーホフは神秘思想家であったというのも自分の中では繋がりだったりもします。本当に美しい曲です。

後半はヴァイス、パッヘルベルのシャコンヌ。ビーバーとリストのパッサカリアというシャコンヌ祭りですね。シャコンヌとパッサカリアの違いというのははっきりは言えないのでしょうが、演奏する人間からすると感覚としてではありますが、パッサカリアのほうが厳格です。常にテーマがいます。シャコンヌは気まぐれに消えたり戻ったり…自由な感じを受けます。
ヴァイスは次の時代に向かっているような印象がありますが、それでも「シャコンヌ」を書いたことに意味があるように思っていました。何故かギターのために移調された楽譜(イ短調)ばかり…いや、これは絶対に移調しちゃいかん…と思い、自筆譜から自分で書き起こした譜面です。一昨年のことです。タブラチュアからの書き起こしは大変でしたが、同時にピアノで演奏する可能性も感じながら書いたのを思い出しながら演奏しました。それにしてもヴァイスの自筆譜は綺麗!

パッヘルベルとビーバーは同じテーマですね。モーツァルトやベートーヴェンにも顔を出すテトラコルド。何度弾いても(特にビーバー!)精神的に疲れる曲を続けて演奏。ビーバー終わったらもう帰りたい!となる(笑)何年経っても変わらない…慣れない。ビーバーのパッサカリアでの神経衰弱は凄まじいです。

ラストにはリストのバッハ変奏曲を。久しぶりに大曲に取り組みました。リストの見方を180°変えてくれた曲です。10年前、恩師の「リストだってバカじゃないんだよ。バカみたいな曲をバカみたいに弾くからバカみたいに思われてるだけで。大変誤解されてる作曲家だよな~」という言葉。その恩師と最期に会った時の会話もリストでした。亡くなる少し前の講義ではまさにバッハ変奏曲についての話も。ゲマトリアで分析したらバッハとの思想の違いが出るかもしれないね、と。この度、一から丁寧にゲマトリアで譜読みをしてみました。たしかにド頭から色々ありました。リストの宗教的作品にはゲマトリアがよく使われているように感じます。それはリストがフリーメイソンだったことと関わるのか…それは分かりませんが、そういった考えを知っていたことは間違いないでしょうから(周りの交友関係などから)、慎重に読めば演奏する手がかりになると思っています。派手なイメージのリストですが、この作品を演奏するにあたって本当にリストという作曲家の見方が変わりました。

アンコールはバッハ生誕340年にちなんでヘンデルとスカルラッティ。どちらも美しい歌であり流麗なダンスです。そして、プログラム最初のリューベックに還るトッカータ風プレリュードの平均律1番。最後にオマケでバードのフルートとドラムを🪈🥁

約2年ぶりのソロ公演でした。今年は約3年ぶりに東京でもほぼ同じ内容のコンサートをやる予定です。一応音律やなんかを詳しく調べた上でピアノで演奏できるかを吟味しているつもりです。違和感なく聴いていただけたら私にとっては嬉しいです。オルガン、チェンバロ、クラヴィコード、今ではヴァイオリン、リュートのものまで演奏するようになりました。どの面に注目するかでピアノでの演奏の可能性が広まるように感じるとともに、たくさんの方にピアノでの古楽を聴いてもらいたいという気持ちが常にあります。細々としかしコンスタントに活動出来たらなと思う大阪公演でした。





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本年も大変お世話になりました。

2024-12-31 21:15:19 | 日記
2024年も残りわずかとなりました。
直接お会いした方も、ネット上だけの方も1年間ありがとうございました。

来年はすでにいくつか演奏会が決まっており(情報解禁次第お知らせいたします)、ソロにも力を入れたいと思っております。

さて、私はバッハ以前の音楽(チェンバロ、クラヴィコード、オルガンのための音楽)をモダンピアノで演奏する、という活動をしています。ありがたいことにブクステフーデ、パッヘルベル、ラインケンのCDを出させていただくなど細々ながらも活動出来ていること、本当にありがたく思っています。

昔から「人前で何かをする」というのがあまり好きではない自分ですが、ブクステフーデを中心にモダンピアノでのプレ・バッハを聴いてもらいたいという一心で続けてきました。
先日、ふと立ち止まって色々考えてみました。ここ数年、古楽器の奏者の方にも聴いてもらいたい、と考えていたように思います。しかし、元々は「ピアノ弾き」に聴いてもらいたいというところがスタートでした。

なぜピアノ科の一番古い作曲家はバッハなのか?というのが音大に入った時一番感じたことです。入試課題にはどの学校も平均律。しかしその根拠が分からなかったものです。バッハはたしかに様々なスタイルで作曲しました。イタリア(風)、フランス(風)、イギリス(風)...だからといってバッハを弾けば全てを掴めるわけではありません。バッハ以前を弾こうとした時、周りからは「いや、その時ピアノは無かったから」と言われました。いやいや...バッハもじゃろがい。もっと言えばその理屈ならショパンだって今のピアノじゃダメじゃろ。偏屈かもしれませんが、私にとってそれは納得のいく理由ではありませんでした。

私に居場所を最初に与えてくれたのはResonanCe(レゾナンス)でした。ご存知ない方がほとんどでしょうけれども(笑)ピアノ×ソプラノ×ピアノという変なグループです。YouTubeぜひ見てね。ResonanCeは最初、古い音楽と新しい音楽でコンサートをやりたい、と私のワガママを叶えてくれたグループです。私が勝手に恩を感じているグループであり、なんだかんだもうすぐ結成7年になります。このグループが無ければ今のソロ活動は無かったでしょう。よほどのことがない限り、私は他のグループに加入したり結成することは無いです。まぁ逆に言えば、何か組んだらよほど心が動くことがあったってことで(笑)巡り巡ってレゾのおかげでCDを出すことも出来ました。レゾには感謝でいっぱいです。

本当に弾きたい曲を弾いてきているんですよね。しかし、ピアノで演奏できるかどうかは吟味しています。やはりモダンピアノとの相性と言いますか、その曲のポテンシャルを最大限に発揮出来るのはオリジナル楽器だけでは?と感じるものも少なからずあります。また、自分の演奏の軸となる「ゲマトリア」が反映されるかどうかも曲を選ぶポイントとなっています。聴いた方がこれらの中でどこかに共感してもらえれば、それ以上嬉しいことはないですね。ぜひ一度はその耳で体感してください!とは思うけれども、全ての人に受け入れられるとは毛頭思っていません。ただ「お、ブクステフーデ良いじゃん」だったり「バッハより前の曲もピアノで弾けるんだ」だったり「え、ゲマトリアってなに?」と思ってくれる人が少しでも増えてくれたらありがたいです。

ちょっと長くなりました。なぜピアノの一番古い作曲家はバッハなのか?という疑問を持った初心に帰って活動していきたいと思います。同時に生徒さん達と一緒により音楽を深めていけるよう、音楽活動とレッスンをもう一度見直して2025年を歩めればと思います。
どうぞ良いお年をお迎えください。
また来年もよろしくお願いいたします。
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実家のピアノ発表会

2024-12-09 14:17:31 | 日記





毎年恒例、実家のピアノ教室の発表会。
今年はいつもと違う会場でした。フルコンのスタインウェイに500人も入る大きなホール。実家の教室の生徒さんの中にはこのピアノに触れるのを楽しみにしていた子もいたそう。そりゃたしかに、フルコンどころか家にピアノがあること自体普通ではないのですよね。

私が東京で教えている生徒さんも3人、わざわざ郡山まで来て出演してくださいました。ありがたいです。3人は先月開催した私の発表会にも出てくださったのですが、3人ともその時よりずっと素晴らしい演奏をしてくださいました。長い移動などで疲れもあったことと思いますが、そんなことを感じさせない演奏でした。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番の1.2楽章
ショパン:ノクターンOp.55-1
リスト:伝説2番

レッスンでは少し口うるさかったかもしれません。しかし、皆さん喰らいついてくださいます。そのような方にレッスンをさせていただけるというのは本当に幸せなことなのだと思います。

1人の作曲家を深めるのは本当に大変ですね。その人の数十年を数時間本を読んだり曲を見ても何にもなりません。今日、「分析」というものは曲の形式や和声について費やされているように思います。しかしそれは単なる「譜読み」にすぎません。つまり「分析」というものがあまりにも浅く空虚なものになっているように感じるのです。

レッスンをするにあたり、上記の曲の譜読みをしていくとそれぞれに大変な問題が浮かび上がりました。ベートーヴェンもショパンも晩年と言われる年代に差し掛かっていますし、リストは宗教的な面が強くなりつつある時代です。しかしその思想や哲学、宗教観を知るだけではやはり音楽にはなりません。ではどうやって音楽としていくのか。そこが問題でレッスンで伝えていくところだと思っています。譜読みや分析は教えるための根拠なので、わざわざそれを説くことはしませんが、質問などがあればお話します。

しかし、結局のところそれを超えた響きを目指してほしいのですよね。もちろんそれはとてもとても難しいことなのですけれど。意見が合わないことや反論なんかはもちろんあって構いませんし当然のことと思っています。それならもちろんその方向で一緒に考えます。

演奏なんてものはものすごく時間をかけて練習したものがあっという間に終わってしまうものですが、好きで弾いている方には演奏者本人も心に残る演奏が出来るようにしてあげたいなといつも思っています。もちろんその過程もたのしんでもらいたいですが、やはり人前で弾くことの感覚というのは新鮮であってもらいたいです。慣れは良いですが、それが麻痺にならないように。

発表会を終えると「先生のおかげで…」という流れがありますが、それは何より本人が頑張ったからそのような結果が生まれたのだといつも思います。
ピアノはその鍵盤を押せばその音が出ますよね。なので楽譜が読めるようになり、ある程度の理論なんかが分かれば独学でも出来るものなのだと思います。ですので私は、独学では到達出来ない演奏が出来るようにしてあげられなければいけません。やり甲斐はありますが、同時に責任を改めて感じた発表会になりました。その人にとって何が楽しみで幸せに繋がるか、これからもしっかり考えて生徒さんたちに接していきたいです。
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結局、自分の音を聴くのが一番難しい

2024-11-24 16:41:47 | 日記


今日の生徒さんはとても良いベートーヴェンとリストを持ってきてくださいました。
ある程度まで弾けていれば、あとは一言だけで大きく変わるもんですよね。聴いていて「あ、ここが…」というのをこちらは見つけてあげて、アドヴァイスするだけ。もちろんそれまでの積み重ねがあるから一言で済むわけですが。レッスンする側はそれを冷静に且つ客観的に聴けるから直すべき点を言えるんです。

しかしいざ自分の練習となるとなかなかそうはいかないもので…練習を録音するというのは1つの手ではあるでしょうが、やはり自分の演奏というのは自分の好みに寄せているものなので、なかなか完全な客観視というのは難しいものです。

弾きにくいパッセージなんかも、人のは見たり聴いてて「あそこああすればすぐ弾けそうだなぁ」なんて思うくせに、いざ自分になるとその冷静さがなくなったりしてます。ふとした瞬間に弾けるようになったりして、「あ、そうですね」ってなります(笑)

そんな私ももうすぐ自分のレッスン。いつも生徒さんに言ってることを言われないように、自分の音に耳を傾けて練習したいところです。
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初めてのピアノ発表会

2024-11-20 10:31:13 | 日記





初めて私の生徒さんだけで発表会を開きました。全生徒さんのうちおよそ半分の方々が参加してくださいました。
幼稚園から大人まで。会場は私のお気に入りのパシュタート。シュタイングレーバーを生徒さんたちに弾かせたかったというのもあります。
ただ狭い会場のため、基本親御さんのみとしてしまったのが残念。今度はもう少し大きな会場にし、祖父母やお友達なども呼べる会場にしようと反省しました。

さて、だいたい初めてする何かというのはハプニングが付き物なわけでして(笑)順番を待つ幼稚園児が緊張し過ぎて泣き出してしまいました😭まぁね、本人には悪いんだけどかわいい(笑)順番を変えて前半の一番最後に。それでも結局泣きながら、お母さんを壁にして弾ききりました!演奏はしっかりしたものでした!順番も大事ですねぇ。

発表会初体験の子がほとんどでしたが、緊張しながらもみんなしっかり弾けてました。普段のレッスンでは見せてくれない顔で、感心しておりました。

高校生以降は曲も難しくなり、本番前のレッスンでも心配していましたが、皆さん良く演奏されました。そんなもんで、講師演奏も中途半端なものは弾けないなぁと思いまして(笑)残り時間などを見て弾くものを決めようと思っていたのですが、予定よりサクサク進みましたので、バッハ=ブゾーニのシャコンヌを弾きました。

親御さんたちには、「たくさん褒めて美味しいものでも食べさせてください!」とお伝えしました。

演奏者なんてのは周りがどんなに褒めようとも、本人には反省ばかりなもんです。万が一自分の演奏に満足したらその先はないでしょう。終わってから聞こえてくる、「あそこが〜ここが〜」というのは伸び代ですね。

たまには緊張する瞬間というのはあってもいいのだと思います。自分が弾くだけでなく、人の演奏をしっかり聴く、人の良いところを探して聴く。悪いところなんかは誰だって分かるんですよね。そこを指摘するなんてのは自分の愚かさを露呈するだけです。それを伝え良い方向にしていくのが私の仕事でしょう。生徒さんたちには人の良いところを見つけ、素直に褒められる人になってもらいたいです。

専門的なり自分の楽しみなり、音楽との関わり方はそれぞれで良いので、苦になるものでなく続けてもらいたいです。それを支えてくださる親御さんたちには本当に感謝でいっぱいです。

これからも生徒さんたちが音楽をしていくお手伝いが出来ればと思います。そのためにも自分が常に学んでいかなくてはいけませんね。
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「音学×音楽」、無事終演いたしました!

2024-11-19 19:57:54 | 日記







とても遅くなりましたが...「音学×音楽」、無事終演いたしました!ご来場くださいました皆様、ありがとうございました!

前半のバッハ、パッヘルベル、ブクステフーデを「音学」とし、後半の動物コンサートを「音楽」としました。
動物枠にはクイズも練り直し、ソプラノ・ヴァイオリン・ピアノで演奏するシューベルトの「岩の上の羊飼い」も追加しパワーアップ😂シューベルトが亡くなる直前の作品。動物枠に入れるべきではなかったかな?とも思いましたが、いざ本番を終えてみるととてもフィットしていたように感じました。お客様の反応も印象的なほど大きかったように思います。

大変にお恥ずかしいことではあるのですが、プログラムを全て終え、ゲストのお2人に一言頂いた後、感極まって涙ぐんでしまいました。なぜ「学んで楽しい」というテーマにしたか、というお話を簡単にしようと思ったのですが、そのことが一瞬で頭の中を駆け巡りました。

今年の7月、とあるメールが届きました。「ギリシア哲学や文化、古代ローマの哲学などが音楽とどのように結び付くかを知りたい」と言った内容でした。一度電話でお話すると、彼は80代後半で余命3ヶ月の末期ガンとのこと。こう言っては失礼ですが、病人とは思えないほどハキハキと話される聡明な方でした。お医者様と相談の上、一度に30分程度の通話という条件で私の知っている範囲でお話することになりました。全部で7回だったでしょうか、小さな話し合いをやらせていただきました。通話をするときは本棚の前に座り「さぁなんでも来い!」という気持ちで緊張してましたね(笑)本当に「え、そこ?」っていう角度で質問が来たりしてました。彼は通話を切る時、「次までまた勉強しておきます」といつも言われるんです。いやいや!勉強しておくのはこっちです!というやり取りが毎回ありましたね。

残念ながら9月の末に亡くなられたとご遺族の方からメールをいただきました。なんでも、通話した日はとても機嫌良く楽しそうに感想を語っていたそうです。30分という短い時間ですから、雑談などはほとんどありませんでした。その中で印象的だった一言が「この歳になっても学ぶことが楽しい」という言葉でした。私より55以上歳上ですが、そんなことを言える、思えるということにただただ頭が下がる思いでした。

私がお伝えしたことが彼の欲するものだったかは分かりません。そうであってほしいですが...。しかしながら私にとっても楽しいひと時でありました。演奏以外の面で音楽と向き合えていたように思います。初め彼は「ピアノは弾けないのだけど」と申し訳なさそうに言っていました。しかし、演奏するだけが音楽ではないし、音楽との接し方は十人十色本当に人それぞれで良いのだと思っています。

今回のコンサート、表向きは親しみやすそうなファミリーコンサートですが、中身はそれ一辺倒ではないのが想像できるかと思います。もちろん親しみやすさについては十分考えました。その結果がクイズという形でした。もちろんクイズも全て私が考えました。子供から大人まで参加できる、しかし音楽に何かしらの形で結び付く問と答えを意識しました。

終演後、アンケートには「知っている曲も解説を聞いてから聴くと全く違って聴こえた」、「クラシックのコンサートには縁がないと思ってたけど楽しかった」、「子供が最後までちゃんと聴いて、クイズを楽しんでいた」、「楽しく学ぶことができた」というような内容のことばかりで、大変嬉しく思いました。

論文のようなプログラム、あまりにも偏った説明、解説が伴わない演奏のコンサートには私も賛同できかねます。しかし、曲への手引きや解説はあってよいのだと思います。個人的にアンケートで嬉しかったのは「ゲマトリアによる音楽の見方が面白かった」というのがいくつか見受けられたことです。ゲマトリアでもっと音楽を見たいということを書いてくださる方までいらっしゃいました。ゲマトリアについては本当に少し触れる程度でした。しかし、それに興味を持ってもらえたのはありがたいです。

シューベルトは亡くなる寸前まで対位法のレッスンを受けていたといいます。私は自然とその生徒を重ねて見ていたように思います。彼とよく話したのもシューベルトでした。今回のコンサート、形こそ決まっていましたが、生徒との出逢いによって「学ぶ」という面が無意識に大きく出ていたように思います。しかし、お客様の反応から「楽しく学ぶことができた」という声を戴き、とても嬉しく思いました。
...まぁ一度もあったことのない人でしたが、色々なことを思い出してしまい、恥ずかしながらステージ上で言葉を詰まらせてしまいました。

さてさて、次は植物シリーズかお国柄シリーズか...クイズコンサートはしばらくお休みになりますが、そのうちまたやろうと思います。
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