とても遅くなりましたが...「音学×音楽」、無事終演いたしました!ご来場くださいました皆様、ありがとうございました!
前半のバッハ、パッヘルベル、ブクステフーデを「音学」とし、後半の動物コンサートを「音楽」としました。
動物枠にはクイズも練り直し、ソプラノ・ヴァイオリン・ピアノで演奏するシューベルトの「岩の上の羊飼い」も追加しパワーアップ😂シューベルトが亡くなる直前の作品。動物枠に入れるべきではなかったかな?とも思いましたが、いざ本番を終えてみるととてもフィットしていたように感じました。お客様の反応も印象的なほど大きかったように思います。
大変にお恥ずかしいことではあるのですが、プログラムを全て終え、ゲストのお2人に一言頂いた後、感極まって涙ぐんでしまいました。なぜ「学んで楽しい」というテーマにしたか、というお話を簡単にしようと思ったのですが、そのことが一瞬で頭の中を駆け巡りました。
今年の7月、とあるメールが届きました。「ギリシア哲学や文化、古代ローマの哲学などが音楽とどのように結び付くかを知りたい」と言った内容でした。一度電話でお話すると、彼は80代後半で余命3ヶ月の末期ガンとのこと。こう言っては失礼ですが、病人とは思えないほどハキハキと話される聡明な方でした。お医者様と相談の上、一度に30分程度の通話という条件で私の知っている範囲でお話することになりました。全部で7回だったでしょうか、小さな話し合いをやらせていただきました。通話をするときは本棚の前に座り「さぁなんでも来い!」という気持ちで緊張してましたね(笑)本当に「え、そこ?」っていう角度で質問が来たりしてました。彼は通話を切る時、「次までまた勉強しておきます」といつも言われるんです。いやいや!勉強しておくのはこっちです!というやり取りが毎回ありましたね。
残念ながら9月の末に亡くなられたとご遺族の方からメールをいただきました。なんでも、通話した日はとても機嫌良く楽しそうに感想を語っていたそうです。30分という短い時間ですから、雑談などはほとんどありませんでした。その中で印象的だった一言が「この歳になっても学ぶことが楽しい」という言葉でした。私より55以上歳上ですが、そんなことを言える、思えるということにただただ頭が下がる思いでした。
私がお伝えしたことが彼の欲するものだったかは分かりません。そうであってほしいですが...。しかしながら私にとっても楽しいひと時でありました。演奏以外の面で音楽と向き合えていたように思います。初め彼は「ピアノは弾けないのだけど」と申し訳なさそうに言っていました。しかし、演奏するだけが音楽ではないし、音楽との接し方は十人十色本当に人それぞれで良いのだと思っています。
今回のコンサート、表向きは親しみやすそうなファミリーコンサートですが、中身はそれ一辺倒ではないのが想像できるかと思います。もちろん親しみやすさについては十分考えました。その結果がクイズという形でした。もちろんクイズも全て私が考えました。子供から大人まで参加できる、しかし音楽に何かしらの形で結び付く問と答えを意識しました。
終演後、アンケートには「知っている曲も解説を聞いてから聴くと全く違って聴こえた」、「クラシックのコンサートには縁がないと思ってたけど楽しかった」、「子供が最後までちゃんと聴いて、クイズを楽しんでいた」、「楽しく学ぶことができた」というような内容のことばかりで、大変嬉しく思いました。
論文のようなプログラム、あまりにも偏った説明、解説が伴わない演奏のコンサートには私も賛同できかねます。しかし、曲への手引きや解説はあってよいのだと思います。個人的にアンケートで嬉しかったのは「ゲマトリアによる音楽の見方が面白かった」というのがいくつか見受けられたことです。ゲマトリアでもっと音楽を見たいということを書いてくださる方までいらっしゃいました。ゲマトリアについては本当に少し触れる程度でした。しかし、それに興味を持ってもらえたのはありがたいです。
シューベルトは亡くなる寸前まで対位法のレッスンを受けていたといいます。私は自然とその生徒を重ねて見ていたように思います。彼とよく話したのもシューベルトでした。今回のコンサート、形こそ決まっていましたが、生徒との出逢いによって「学ぶ」という面が無意識に大きく出ていたように思います。しかし、お客様の反応から「楽しく学ぶことができた」という声を戴き、とても嬉しく思いました。
...まぁ一度もあったことのない人でしたが、色々なことを思い出してしまい、恥ずかしながらステージ上で言葉を詰まらせてしまいました。
さてさて、次は植物シリーズかお国柄シリーズか...クイズコンサートはしばらくお休みになりますが、そのうちまたやろうと思います。