のぶのぶの音楽雑記

演奏会のお知らせだけでなく、色々なことを書いていこうと思います。

ResonanCeのR/B meets M/Cとは

2024-03-27 22:51:43 | 日記



横文字ばかりですねぇ(笑)

そもそもResonanCe(レゾナンス)というのは私(大内)が渡邊に声をかけてできたグループです。古い音楽と近現代の音楽だけでコンサートをしたい、というところから始まりました。R(ルネサンス)B(バロック)とM(モダン)C(コンテンポラリー)のmeets(出逢い)です。有名なショパンやベートーヴェンなんかが演奏されません。ある意味マニアックなコンサートですね。
後に紅一点ソプラノの東城が加わり今のグループになりました。東城は両方を(古いのも新しいのも)担当するので大変そう(他人事)。

言ってしまえば大学時代の私の思いつきから始まったようなもんです。第1回は2018年でした。3人の地元、福島で9月、10月にコンサート。思いついたことをとにかく詰め込んだ会でした(笑)12月には東京で。


2019年には地元の郡山でStoriesという、演劇と音楽を組み合わせたコンサートを。たくさんのお客さんの前で演技と演奏をするとは…レゾでなければ私はやらなかったことでしょう(笑)

2020年にはコロナ流行直前。R/B meets M/C第2弾を。



その後はYouTubeでの配信コンサートなんかをやってましたが、2020年の8月に初めてのオリジナル曲「ラベンダーとひまわり」を発表。


2021年には初めて小学校で演奏。私と東城の母校という思い出深い会になりました。

2022年には久しぶりのコンサート。クレッシェンドライブってのをやりました。


2023年にはオリジナル曲「ラベンダーとひまわり」のストーリーを朗読とピアノで。


そして2024年の4月21日には久しぶりにR/B meets M/Cを。非常にマニアックなコンサートです。私は主軸としているブクステフーデやらパッヘルベルなんかを演奏します。東城とは初めてのバッハを!バッハのカンタータを演奏します。
たくや君はハチャトゥリアンとベルクの歌曲を。濃い会になりそうですね。

元々3人は違う方向を向いていた人間です。終着点は同じ場合がありますが、そこに行き着くまでの道程がバラバラ。でもかなり仲良し。コロナ禍以降、それぞれがそれぞれに忙しくなり、音楽への向き合い方と言いますか、音楽との関わり方のようなものに各々の中で変化があったように思います。それはきっと個人個人では特に変わったことはない気がしているのかもしれませんが、心境の変化というものはそういうもんですよね。こんなことを言ったら2人は不快に思うかもしれませんが(笑)私も2人から見たら変わったのかもしれませんし。それはそれぞれの生活というものがありますので、当然のことと思います。
しかしそれぞれのコンサートには遊びに行ってますので、会う度に「次いつやる〜?」みたいな話はずっとしているんですよね。

合わせの日、3人で昔のコンサートの映像を見ました。なんというか...今は失われた「何か」が見た目とは別に「響き」として確実にそこに在りました。演奏に関する幼さのようなものはもちろんあるのですが、若さのような勢いみたいなものが先行しており、何より音楽がイキイキとしていました。
何と言いますか、悪い意味で3人でコンサートをする「慣れ」が出てきていたのかもしれません。コンサートの回数が少ない分、1回1回を大事にしているつもりではあります。しかし、目に見えないところで悪い意味の仲良しが出てきてしまっていたのかもしれないと思いました。

まずは4月21日、お客様もですが、我々も楽しめる会になることを願って準備しております。ぜひ聴きにいらしてください。

昔あったものを取り戻すことは不可能かもしれません。ですが、初期よりも個々の力は上がっているはず(そうでなければならないのですが...)ですので、より良いコンサートは出来ると思うのです。それは演者である我々の気持ち次第なのかなぁという気がしました。個々の活動が増えたために、1つの会を3人で創るという部分に足並みが揃っていなかったのかもしれません。相変わらずの仲良しを良い方へ繋げていけるといいなと思います。
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榎本智史さんの私的演奏協会:シェーンベルク《3つのピアノ曲》

2024-03-24 02:29:52 | 日記

友人であり、シェーンベルクの研究・演奏を中心に活躍されている榎本智史さんの「私的演奏協会:シェーンベルク《3つのピアノ曲》Op.11」に行ってきました。部分的に抜き出し解説を受け、一通り聴かせていただくという贅沢な時間です。
以前、2023年の9月9日にはシェーンベルクの「ピアノのための組曲Op.25」を同じ手法で演奏されました。

シェーンベルクと言えばやはり十二音技法というイメージでしょうか。私はResonanCeでおじょーがシェーンベルクの歌曲Op.2への並々ならぬ想いを受け、しばらくは十二音技法前のシェーンベルクにハマったものです。後期ロマン派の流れを汲むというのはよく言われていることですね。

「十二音技法」ということこそ知れど、曲は難解というイメージがどうしても先行してしまいます。ところが榎本さんの解説を聞きながら演奏を聴くと、ポイントを掴めるのか、立体的に聴こえるのです。以前、榎本さんとの合わせの時、シェーンベルクのジーグはジーグなのか?という質問に対し、丁寧に説明しながら演奏してくださったのですが、最初に演奏した時と解説後とでは全く違って聴こえるのです。しっかりとジーグの輪郭が浮かび上がります。これは解説による効果と、しっかりとそれに乗せた演奏だからこそなのだと思います。

なんとも掴みどころがなく思えた音楽が「あ、なるほど」となる瞬間は面白いものです。この試奏会シリーズでは時折思想面のお話も出てきます。これが私の日々考えるバロック・古典に重なる部分が多々あるのです。恐らくどこかに不動の礎となるものがあるのだろうと考えることがあります。聖書、そこから派生する神秘思想のようなものがもっと掴めれば十二音がもう少し自分にとって近いものになるような感覚があります。そういった意味でも榎本さんのお話、演奏はとても面白く同時にとても興味深いものです。

シェーンベルクの弟子であるウェーベルンはとある手紙の中で(ライヒに送ったものだったか?)「プラトンを読んだが、ノモス(法則)はまた旋律のことでもあった」というような文がありました。これは彼の作品に影響があるようで、非常に興味深い部分です。
シェーンベルクのもとで勉強したウェーベルンは、その期間の一区切りとしてOp.1のパッサカリアを書きました。私が注目するのは「パッサカリア」という古い形式・形態で、ニ短調というこれも古いと捉えられる調性が曲全体の世界を決定づけています。
ウェーベルンはゲーテの形態学を引用しており、変奏について話しています。これはゲーテの根本的同一性という部分を使っているのですが、パッサカリアにはまさにこの部分が見て取れます。同じテーマ(種)の中から変奏(茎から枝葉)が生まれるという、それがウェーベルンにとっての「ノモス」だったのではないかと考えています。
また別の手紙には「音列自体がすでに1つの法則を表します」という文がありました。これは十二音の音列のことでしょうが、ウェーベルンにとってその「ノモス」は大事なものだったに違いありません。それがシェーンベルクのもとで勉強した後の曲に決定的に現れているというのはシェーンベルクからの影響があるのか…?

脱線しましたが、榎本さんのこの会ではそういったことをふと考えさせられます。演奏にも説得力があるからこそ、そのような気持ちになるのでしょう。気付きの多い楽しい会です。榎本さんの私的演奏協会を聞いていくうちに様々な疑問が今後明らかになっていきそうです。
ここでは質問もOKですが、咀嚼するだけで精一杯です。ワクワクしながら通ってます(笑)
次回はベルクを取り上げるとのことで、今から非常に楽しみです。
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