AIRの旅も第20010回目とあって、やっとこさ佳境に入って参りました。
前回で、生涯二度目のスピード違反という、家系の恥とも言うべき醜態をさらしました。しかしながら、雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、公権力ニモ負ケズ、高速道路を疾走し・駆け抜けていくシーン139から、今回のお話が始まります。
憎むべき特別高等警察(特高)から解放されると、その開放感は自然と尿意へ向かいました。わが膀胱は胸わくわくの愛がぎっしり、色とりどりの夢がどっさりです。車を降り、トイレで足早に妖怪変化をぶっ飛ばします。
ここで、数時間後に会う予定になっている数年来の友人、むて君に戦況報告。
小官 「いやー、ちょっと聞いてくれよ~。またスピード違反で捕まっちったよ~、あはは。」
むて 「マジで!あんたアホでしょ?」
小官 「違うんだよ!俺は自らの金銭と違反点数を以って、おまえに笑いを提供したんだよ!」
こんな、理知的かつ耽美的な会話をひとしきり終え、わが白い彗星(VITZ)は再び南へと車を走らせます。
高速道路を走っている道中、スピード違反を犯したと思われる普通車と覆面パトカーが路肩にランデブーしていたのを発見。
はっはっはっは!ざまーみやがれ!調子に乗ってスピード出してるからそうなるんだ、この痴れ者が!片腹痛いわ!
ええ、ここでサラリーマン川柳をひとつ。
我もまた笑止千万度し難し
(お釈迦様には甘茶、お釈迦様には甘茶)
数時間後、大阪府内某市のコンビニ前に到着。程なくして、むて君のまぬけな顔が登場します。まあ、向こうとしても、わざわざ大阪まで来てスピード違反したバカが来たよ、というような感じで小生をみていたことでしょう。
これから向かう先は、京阪電鉄守口市駅。ここに何があるのかというと、AIRを生み出したKEYの、渾身の第一作であるKanonの舞台となっている場所です。
もちろん、小官はKanonをすでにプレイ済みであり、今回の旅はAIRメインだが、ついでに寄っておこうと当初の計画から盛り込まれていたのです。ここで、我が壮挙の一端が垣間見えたといえるでしょう。
Kanonの舞台へ赴くなどという世迷言を初めて告げられた、隣席のむて君の表情は、苦虫を噛み潰したように苦渋に満ちていました。
当然といえば当然です。むて君はただの一般人。わたくしのような、高貴で誇り高いきちがいとは違うのです。常軌を逸し、人の道に外れている人外はあくまであたくし。つまるところ、ネズミの思考では、獅子の友とはなり得ぬのです。
正気に身を委ねてはならない。白痴万歳!国家の吹奏だ!
話も人の道も逸れましたが、失笑・嘲笑するむて君をよそに1時間ほどで守口市駅前に到着。近くのスーパーに車を止め、小躍りしながら踊念仏で駅正面へと走ります。
ここ守口市駅前の風景は、ゲームに出てくる風景とほぼ同一であり、実際に目の当たりにしたときの感動は筆舌に尽くせません。半狂乱となりながら無我夢中、五里霧中で写真撮影したことを覚えています。目と目が合ったことも覚えています。
こうして、狂気の宴が終幕し、次に向かう場所は和歌山県美浜町。
ここは、AIRのTV版で舞台となっている場所。非常にマニアックですねえ。しかも、その場所は和歌山県のほぼ南端に位置しており、一日で近畿地方の最北から最南を縦断するという、なんともダイナミック、というか、単なる時間とガソリンの無駄というか、そのような様相を呈しておりました。
快調快便に高速道路を南下するにつれ想定外の事態が発生します。天候が急激に悪化したのです。天気予報では曇りでしたが、ちょうちょ結びの高気圧はすでに退去し、く~も~りガ~ラスの向こうは完全に局地的な豪雨に晒されていました。
むろん、天候が良いに越したことはないのですが、雨が降ろうと八代亜紀が降ろうとそんなことは意に介しません。AIRの舞台となっている場所に、いかなる障害をも退け、この不肖たるわが身を置く。それだけがわたくしの生存目的・存在理由、すわなちレーゾンデートルなのです!
AIRの舞台へ行く!その情熱・怨念は尋常ならざるものがありますが、戦争にしろテロにしろクーデターにしろ、何事にも準備・後方支援が必要です。つまり、AIRのTV版の舞台が美浜町であるという事実があるだけで、小官はそれ以外の細かい情報を得てはおりませんでした。
とりあえず、雨の高速を抜け、裏切りの街角を抜け、一般道を走り、なんとか美浜町に到着します。到着した頃には雨も止み、私の精神も病んでおります。
美浜町といってももちろん、ドラクエやFFなどのように、数分で街の隅々を探索できるほどに現実の街は狭くはありません。具体的に、街のどの場所が舞台となっているか、これが分からない以上、目的地を設定することもままなりません。
とりあえず、やっぱりAIRは海だろう、というすでに陳腐化されたピタゴラスの定理を用いて、車を海際へと走らせます。
天気が悪いせいもあってか、特に大きな感動を呼ぶこともなく、時間だけがいたずらに過ぎていきました。
むしろ、これまでAIRの舞台各地を回って、すでにおいらのAIR熱は飽和状態にあったといえます。加えて、旅の疲れで徒労感も募ってきておりました。
適当に街の中を走らせ、大きな収穫もなく帰途につきます。しかし、ここで何も得ないで帰ることは、痴人の名折れです。なんとしても、この俺様がこの街に来たという存在証明を示さなければ!
ちょうど、車内では水樹奈々という、非常に歌の上手い声優さんの曲がかかっておりました。曲調はPOPでノリのよいサウンドです。ここで、小官の存在証明のサイレンが鳴り響くこととなります。
信号待ちしている前方に一台の車が停車しており、おいらの車と同様、信号が青になるのを今やおそしと待機している状況。
前方の車の運転手に我の生き様を示すべく、神経伝達物質を媒介とした全身の艦隊運動が始まります。分かりやすく言えば、曲に合わせてのヘッドバンキング。一心不乱に頭部を前後にスイングさせます。相手の運転手がそれに気づいていたのかどうかは知る由もありません。当然です。自己陶酔の権化と化した怪しい視線が常に定まることなく揺れているだけです。
むて君曰く
「ほんとやめて!恥かしいから!っていうか、ヘッドバンキングするほど激しい曲でもないやろ!」
そんな、大阪人らしいツッコミも交えたむて君の非難も、おいらにはどこ吹く風。
曲がいけないということなので、アーチストをSex Machinegunsに切り替え、これで万事OK。
次の交差点での信号待ちでも、おいらのヘッドバンキングは止まりません。信号が青になり、むて君に促されるまで、おいらの頭部運動は、ただひらすらに、実直に、切実に続けられておりました。
実はこの交差点、時差式の交差点であり、こちらの車線が赤で止まってる最中、反対車線の車は青になっておりました。
おいらの艦隊運動中、むて君が突然バカ笑いし始めたのですが、どうやら、反対車線にいた車がおいらの横を通るとき、その運転手の人が、目を見開き、まるで珍獣でも見るような、恐怖と驚きの表情でおいらを凝視していったとのことです。
その視線は、首が回る開度を限界まで使って、おいらが見えなくなるまで続いていたそうです。むろん、それに続く後続車も同じようにおいらの狂喜乱舞・龍虎乱舞を観察していったようでした。
車の中で、何かの発作に襲われたように頭部を前後に激しく動かしている人は、端から見れば単なる異常者であることは疑いようがありません。
そうです!これがおいらの狙いなのです。美浜町にいる、少なくとも、おいらの祭りを見た人達は、「今日、車に乗ってたら変な人がいた!きちがいがいた!」と口々に噂するでしょう。彼らにおいらの存在証明を銘記させたのです。
小官の任務は達成されました。なんとも言えない爽やかな風が、有酸素運動で汗ばんだ顔を吹き抜けます。
むて君はもちろん、ドン引き。
「ほんともう、勘弁してくださいよ~。」と涙目になっております。おいらの余興がこれほどの感動を呼び、嬉し涙を誘うとは思いもよりませんでした。
そうして、一仕事を終え、再び高速道路に乗って、元来た道を引き返します。上りの高速道路は渋滞を極めており、抜けるのに相当な時間を要しました。その渋滞中、前方の車がなにやら挙動不審です。頻繁にブレーキランプが点灯し、車体が上下に揺れています。まあ、おいらの先程の狂気に比べればかわいいもんですが。
そうして、21時半頃にむて君を家の付近まで送り、再会を約束してバイバイします。おいらも、宿泊しているビジネスホテルへ直行。こうして、長いようで短かったおいらの旅も終わりを迎えることとなりました。
前回で、生涯二度目のスピード違反という、家系の恥とも言うべき醜態をさらしました。しかしながら、雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、公権力ニモ負ケズ、高速道路を疾走し・駆け抜けていくシーン139から、今回のお話が始まります。
憎むべき特別高等警察(特高)から解放されると、その開放感は自然と尿意へ向かいました。わが膀胱は胸わくわくの愛がぎっしり、色とりどりの夢がどっさりです。車を降り、トイレで足早に妖怪変化をぶっ飛ばします。
ここで、数時間後に会う予定になっている数年来の友人、むて君に戦況報告。
小官 「いやー、ちょっと聞いてくれよ~。またスピード違反で捕まっちったよ~、あはは。」
むて 「マジで!あんたアホでしょ?」
小官 「違うんだよ!俺は自らの金銭と違反点数を以って、おまえに笑いを提供したんだよ!」
こんな、理知的かつ耽美的な会話をひとしきり終え、わが白い彗星(VITZ)は再び南へと車を走らせます。
高速道路を走っている道中、スピード違反を犯したと思われる普通車と覆面パトカーが路肩にランデブーしていたのを発見。
はっはっはっは!ざまーみやがれ!調子に乗ってスピード出してるからそうなるんだ、この痴れ者が!片腹痛いわ!
ええ、ここでサラリーマン川柳をひとつ。
我もまた笑止千万度し難し
(お釈迦様には甘茶、お釈迦様には甘茶)
数時間後、大阪府内某市のコンビニ前に到着。程なくして、むて君のまぬけな顔が登場します。まあ、向こうとしても、わざわざ大阪まで来てスピード違反したバカが来たよ、というような感じで小生をみていたことでしょう。
これから向かう先は、京阪電鉄守口市駅。ここに何があるのかというと、AIRを生み出したKEYの、渾身の第一作であるKanonの舞台となっている場所です。
もちろん、小官はKanonをすでにプレイ済みであり、今回の旅はAIRメインだが、ついでに寄っておこうと当初の計画から盛り込まれていたのです。ここで、我が壮挙の一端が垣間見えたといえるでしょう。
Kanonの舞台へ赴くなどという世迷言を初めて告げられた、隣席のむて君の表情は、苦虫を噛み潰したように苦渋に満ちていました。
当然といえば当然です。むて君はただの一般人。わたくしのような、高貴で誇り高いきちがいとは違うのです。常軌を逸し、人の道に外れている人外はあくまであたくし。つまるところ、ネズミの思考では、獅子の友とはなり得ぬのです。
正気に身を委ねてはならない。白痴万歳!国家の吹奏だ!
話も人の道も逸れましたが、失笑・嘲笑するむて君をよそに1時間ほどで守口市駅前に到着。近くのスーパーに車を止め、小躍りしながら踊念仏で駅正面へと走ります。
ここ守口市駅前の風景は、ゲームに出てくる風景とほぼ同一であり、実際に目の当たりにしたときの感動は筆舌に尽くせません。半狂乱となりながら無我夢中、五里霧中で写真撮影したことを覚えています。目と目が合ったことも覚えています。
こうして、狂気の宴が終幕し、次に向かう場所は和歌山県美浜町。
ここは、AIRのTV版で舞台となっている場所。非常にマニアックですねえ。しかも、その場所は和歌山県のほぼ南端に位置しており、一日で近畿地方の最北から最南を縦断するという、なんともダイナミック、というか、単なる時間とガソリンの無駄というか、そのような様相を呈しておりました。
快調快便に高速道路を南下するにつれ想定外の事態が発生します。天候が急激に悪化したのです。天気予報では曇りでしたが、ちょうちょ結びの高気圧はすでに退去し、く~も~りガ~ラスの向こうは完全に局地的な豪雨に晒されていました。
むろん、天候が良いに越したことはないのですが、雨が降ろうと八代亜紀が降ろうとそんなことは意に介しません。AIRの舞台となっている場所に、いかなる障害をも退け、この不肖たるわが身を置く。それだけがわたくしの生存目的・存在理由、すわなちレーゾンデートルなのです!
AIRの舞台へ行く!その情熱・怨念は尋常ならざるものがありますが、戦争にしろテロにしろクーデターにしろ、何事にも準備・後方支援が必要です。つまり、AIRのTV版の舞台が美浜町であるという事実があるだけで、小官はそれ以外の細かい情報を得てはおりませんでした。
とりあえず、雨の高速を抜け、裏切りの街角を抜け、一般道を走り、なんとか美浜町に到着します。到着した頃には雨も止み、私の精神も病んでおります。
美浜町といってももちろん、ドラクエやFFなどのように、数分で街の隅々を探索できるほどに現実の街は狭くはありません。具体的に、街のどの場所が舞台となっているか、これが分からない以上、目的地を設定することもままなりません。
とりあえず、やっぱりAIRは海だろう、というすでに陳腐化されたピタゴラスの定理を用いて、車を海際へと走らせます。
天気が悪いせいもあってか、特に大きな感動を呼ぶこともなく、時間だけがいたずらに過ぎていきました。
むしろ、これまでAIRの舞台各地を回って、すでにおいらのAIR熱は飽和状態にあったといえます。加えて、旅の疲れで徒労感も募ってきておりました。
適当に街の中を走らせ、大きな収穫もなく帰途につきます。しかし、ここで何も得ないで帰ることは、痴人の名折れです。なんとしても、この俺様がこの街に来たという存在証明を示さなければ!
ちょうど、車内では水樹奈々という、非常に歌の上手い声優さんの曲がかかっておりました。曲調はPOPでノリのよいサウンドです。ここで、小官の存在証明のサイレンが鳴り響くこととなります。
信号待ちしている前方に一台の車が停車しており、おいらの車と同様、信号が青になるのを今やおそしと待機している状況。
前方の車の運転手に我の生き様を示すべく、神経伝達物質を媒介とした全身の艦隊運動が始まります。分かりやすく言えば、曲に合わせてのヘッドバンキング。一心不乱に頭部を前後にスイングさせます。相手の運転手がそれに気づいていたのかどうかは知る由もありません。当然です。自己陶酔の権化と化した怪しい視線が常に定まることなく揺れているだけです。
むて君曰く
「ほんとやめて!恥かしいから!っていうか、ヘッドバンキングするほど激しい曲でもないやろ!」
そんな、大阪人らしいツッコミも交えたむて君の非難も、おいらにはどこ吹く風。
曲がいけないということなので、アーチストをSex Machinegunsに切り替え、これで万事OK。
次の交差点での信号待ちでも、おいらのヘッドバンキングは止まりません。信号が青になり、むて君に促されるまで、おいらの頭部運動は、ただひらすらに、実直に、切実に続けられておりました。
実はこの交差点、時差式の交差点であり、こちらの車線が赤で止まってる最中、反対車線の車は青になっておりました。
おいらの艦隊運動中、むて君が突然バカ笑いし始めたのですが、どうやら、反対車線にいた車がおいらの横を通るとき、その運転手の人が、目を見開き、まるで珍獣でも見るような、恐怖と驚きの表情でおいらを凝視していったとのことです。
その視線は、首が回る開度を限界まで使って、おいらが見えなくなるまで続いていたそうです。むろん、それに続く後続車も同じようにおいらの狂喜乱舞・龍虎乱舞を観察していったようでした。
車の中で、何かの発作に襲われたように頭部を前後に激しく動かしている人は、端から見れば単なる異常者であることは疑いようがありません。
そうです!これがおいらの狙いなのです。美浜町にいる、少なくとも、おいらの祭りを見た人達は、「今日、車に乗ってたら変な人がいた!きちがいがいた!」と口々に噂するでしょう。彼らにおいらの存在証明を銘記させたのです。
小官の任務は達成されました。なんとも言えない爽やかな風が、有酸素運動で汗ばんだ顔を吹き抜けます。
むて君はもちろん、ドン引き。
「ほんともう、勘弁してくださいよ~。」と涙目になっております。おいらの余興がこれほどの感動を呼び、嬉し涙を誘うとは思いもよりませんでした。
そうして、一仕事を終え、再び高速道路に乗って、元来た道を引き返します。上りの高速道路は渋滞を極めており、抜けるのに相当な時間を要しました。その渋滞中、前方の車がなにやら挙動不審です。頻繁にブレーキランプが点灯し、車体が上下に揺れています。まあ、おいらの先程の狂気に比べればかわいいもんですが。
そうして、21時半頃にむて君を家の付近まで送り、再会を約束してバイバイします。おいらも、宿泊しているビジネスホテルへ直行。こうして、長いようで短かったおいらの旅も終わりを迎えることとなりました。