にゃんこのツバキはきいろいネズミにそうだんしました。
「おおふなとにかえりたいのだけれど、きみはどうおもう?」
きいろいネズミはいいました。
「もうすこしたつとこのまちに、めがみさまがあらわれる。どうぶつとはなしができるからめがみさまにそうだんするといいよ。ぼくは、そのことをおもいだしてここまできたんだ。あのひ、すぐおもいだしたよ。」
きいろいネズミは、ぎょこうにくらしていたそうです。ながぐつのいろしかおぼえてないけれど、とってもきまえのいいおじさんがいて、サンマやサバのかけらをくれたことがあったそうです。つかまえたりしないでいてくれたのだそうです。
にゃんこのツバキはこどもかっぱにきいてみました。「このまちにめがみさまがくるって、ほんとう?」「ほんとうだよ。」こどもかっぱがいいました。なんでもいつもはやまなのだけど、そのひだけヒトのすがたになるのだと。そして、どうぶつたちにくらしぶりをきいて、にんげんにおしおきしたりおわびをしたりするのだと。みどりのはっぱがひときわキラキラかがやくあさが、そのひだとおしえてくれました。
ゆうべはとってもさむくって、あさひがのぼると、とたんにあつくなってきて、みどりのはっぱにつゆがうまれて、キラキラかがやきはじめました。
クマ イノシシ シカ などなど、さまざまなどうぶつがやまいりぐちに、あつまりだしました。「きょうだ!めがみさまがあらわれるんだ!」にひきはめをあわせました。
にゃんこのツバキもきいろいネズミといっしょに、ならんでまちました。
こどもかっぱがおしえてくれたとおり、そのほどにめがみさまはあらわれました。
はしからじゅんばんに、どうぶつのはなしをきいています。パーンとなってこわいのがイヤだとイノシシがいいつけたり、ビリビリするのがキライだとシカがいいつけたり、にんげんとくらしていることのようすを、めがみさまはどうぶつからきいて、なだめたり、どうじょうしたり、なにがしかへんじをしていました。にゃんこのツバキときいろいネズミはさいごでした。もうすぐじゅんばんがやってきます。たいようのひかりでからだがジリジリしてきました。もうすぐにゃんこのツバキです。そしてついに、めがみさまがめのまえにやってきました。
「めがみさま、わたしはおおふなとにかえりたいです。きょうだいネコやおばあさんや、にんげんのこどもにあいたいです。」
「にんげんにあいたいだなんて。」ほかのどうぶつがヒソヒソはなしながら、こちらのほうをみてきます。
にゃんこのツバキだって、いっぴきでいきているとおもっていました。にんげんとくらしているとおもったことなんて、ただのいちどもありません。だけど、きょうだいネコがだっこされたのをみたとき、むねがキューッとなりました。だっこしてほしいとおもいました。そしておなじひ、じめんがぐらぐらしたことで、もうあえないのかもしれないとおもうと、むねのなかのおさらがパリンと、われたおとがするのでした。
つづく
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。
「おおふなとにかえりたいのだけれど、きみはどうおもう?」
きいろいネズミはいいました。
「もうすこしたつとこのまちに、めがみさまがあらわれる。どうぶつとはなしができるからめがみさまにそうだんするといいよ。ぼくは、そのことをおもいだしてここまできたんだ。あのひ、すぐおもいだしたよ。」
きいろいネズミは、ぎょこうにくらしていたそうです。ながぐつのいろしかおぼえてないけれど、とってもきまえのいいおじさんがいて、サンマやサバのかけらをくれたことがあったそうです。つかまえたりしないでいてくれたのだそうです。
にゃんこのツバキはこどもかっぱにきいてみました。「このまちにめがみさまがくるって、ほんとう?」「ほんとうだよ。」こどもかっぱがいいました。なんでもいつもはやまなのだけど、そのひだけヒトのすがたになるのだと。そして、どうぶつたちにくらしぶりをきいて、にんげんにおしおきしたりおわびをしたりするのだと。みどりのはっぱがひときわキラキラかがやくあさが、そのひだとおしえてくれました。
ゆうべはとってもさむくって、あさひがのぼると、とたんにあつくなってきて、みどりのはっぱにつゆがうまれて、キラキラかがやきはじめました。
クマ イノシシ シカ などなど、さまざまなどうぶつがやまいりぐちに、あつまりだしました。「きょうだ!めがみさまがあらわれるんだ!」にひきはめをあわせました。
にゃんこのツバキもきいろいネズミといっしょに、ならんでまちました。
こどもかっぱがおしえてくれたとおり、そのほどにめがみさまはあらわれました。
はしからじゅんばんに、どうぶつのはなしをきいています。パーンとなってこわいのがイヤだとイノシシがいいつけたり、ビリビリするのがキライだとシカがいいつけたり、にんげんとくらしていることのようすを、めがみさまはどうぶつからきいて、なだめたり、どうじょうしたり、なにがしかへんじをしていました。にゃんこのツバキときいろいネズミはさいごでした。もうすぐじゅんばんがやってきます。たいようのひかりでからだがジリジリしてきました。もうすぐにゃんこのツバキです。そしてついに、めがみさまがめのまえにやってきました。
「めがみさま、わたしはおおふなとにかえりたいです。きょうだいネコやおばあさんや、にんげんのこどもにあいたいです。」
「にんげんにあいたいだなんて。」ほかのどうぶつがヒソヒソはなしながら、こちらのほうをみてきます。
にゃんこのツバキだって、いっぴきでいきているとおもっていました。にんげんとくらしているとおもったことなんて、ただのいちどもありません。だけど、きょうだいネコがだっこされたのをみたとき、むねがキューッとなりました。だっこしてほしいとおもいました。そしておなじひ、じめんがぐらぐらしたことで、もうあえないのかもしれないとおもうと、むねのなかのおさらがパリンと、われたおとがするのでした。
つづく
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。
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