めがみさまはへんじをせず、そのままとなりのきいろいネズミにこえをかけました。きいろいネズミはまっすぐなめで、めがみさまをみあげていいました。
「わたくしはこのさきのぎょこうからやってきました。ぎょこうで、にんげんに、とてもだいじにされました。だからあのひ、たいへんなことがおきるようすをみて、おんがえしができないかとめがみさまのことをおもいだし、まいりました。どんなことでもやってみます。わたくしにちからを、あたえてください。おちえを、おかしください。」
クマもイノシシも、もう、それぞれのねぐらにかえったのでしょう、すがたはみえませんでした。
めがみさまはすこしばかりうつむいたあと、かおをあげていいました。
「うみのちかくのまちで、さんりくてつどうをにんげんたちがはしらせたの。それがみんなのげんきにつながっているのよ。きいろいネズミもれっしゃになってみたらどうかしら?なかまをあつめてひとつの、とくべつなれっしゃになって、うみのまちへ、たのしむヒトたちをおくりとどければ、うみのまちに、げんきをとどけられるのではないかしら。そして、にゃんこのツバキは、つばきいろのバスになって、せんろをなくしたみちを、はしってみたらどうかしら。おとしよりや、こどもたちがたすかるし、いつもいっしょにいられるのではないかしら。」
めがみさまはそういいおえると、あさつゆがきえるようにやまのすがたにもどっていきました。
そのひのゆうがた、にひきは、かっぱのかぞくにそのことを、そうだんしました。
「なかまといっしょにか。よし、みんなにつたえてみるから、まってなさい」
さっそくせんまやから、たぬきのおやぶんというのがやってきて、おんがえししたいなかまがたくさんひなんしていることをおしえてくれました。
「れっしゃになってはしるとしたら、いちのせきからけせんぬまだな」
たぬきのおやぶんがちずをかきます。きいろいネズミがねっしんにかきとります。
「もともとはおおきなりゅうのれっしゃがはしっているところだから、あんしんするといいよ。だけど、もんだいはせんろがなくなってしまったところだね。りゅうはね、ふつう、おおきなほうせきのたまをおいかけて、いったりきたりするものなのだけど、せんろがそのかわりだったからせんろがなくなってしまったとなるとなぁ。」
たぬきのおやぶんはでっぷりしたおなかに、ちいさなてをあててこまりがお。
「きみ、おおふなとのみち、くわしいかい?」
きいろいネズミが、にゃんこのツバキにたずねました。
にゃんこのツバキはポンとむねをたたきました。「くわしいもくわしくないも、めをつむったってあるけるよ。うみのにおいのとおいちかいでそこがどこかがわかるぐらいだよ。なみのおとだってききわけられるよ、うまれそだった、このよのなかに、たったひとつの、ツバキのまちだもの。」
それをきいたたぬきのおやぶんが、おなかをポーンとならしました。
「それなら、はなしはきまったね!」
こうしてめでたしめでたし、にひきはなかまといっしょに、おおきなりゅうのれっしゃのせんろを、せんろだったところを、はしることになったのでした。
いちのせきからしゅっぱつするきいろいネズミがひきいるとくべつなれっしゃは、こどもだけではなく、おとなにも、がいこくのひとにも、だいにんきです。
けせんぬまについてからは、つばきいろのバスがはしります。バスには、なかまがえがかれています。せんろだったみちだけではなく、にゃんこのツバキだからしっている、とくべつなみちもはしります。
まっかなまっかなツバキがさいて、おいしいりょうりがまっている。うみのいろはどこまでもとうめいでうつくしく、おおきなほうせきのたまが、そらにそのいろをうつしています。ふりかえればやまやまのむこう、めがみさまがみまもっています。ひだまりのえんがわにいるような、おおふなと。
きいろいネズミとにゃんこのツバキは、なかまといっしょに、このまちにいきています。
おしまい
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。
「わたくしはこのさきのぎょこうからやってきました。ぎょこうで、にんげんに、とてもだいじにされました。だからあのひ、たいへんなことがおきるようすをみて、おんがえしができないかとめがみさまのことをおもいだし、まいりました。どんなことでもやってみます。わたくしにちからを、あたえてください。おちえを、おかしください。」
クマもイノシシも、もう、それぞれのねぐらにかえったのでしょう、すがたはみえませんでした。
めがみさまはすこしばかりうつむいたあと、かおをあげていいました。
「うみのちかくのまちで、さんりくてつどうをにんげんたちがはしらせたの。それがみんなのげんきにつながっているのよ。きいろいネズミもれっしゃになってみたらどうかしら?なかまをあつめてひとつの、とくべつなれっしゃになって、うみのまちへ、たのしむヒトたちをおくりとどければ、うみのまちに、げんきをとどけられるのではないかしら。そして、にゃんこのツバキは、つばきいろのバスになって、せんろをなくしたみちを、はしってみたらどうかしら。おとしよりや、こどもたちがたすかるし、いつもいっしょにいられるのではないかしら。」
めがみさまはそういいおえると、あさつゆがきえるようにやまのすがたにもどっていきました。
そのひのゆうがた、にひきは、かっぱのかぞくにそのことを、そうだんしました。
「なかまといっしょにか。よし、みんなにつたえてみるから、まってなさい」
さっそくせんまやから、たぬきのおやぶんというのがやってきて、おんがえししたいなかまがたくさんひなんしていることをおしえてくれました。
「れっしゃになってはしるとしたら、いちのせきからけせんぬまだな」
たぬきのおやぶんがちずをかきます。きいろいネズミがねっしんにかきとります。
「もともとはおおきなりゅうのれっしゃがはしっているところだから、あんしんするといいよ。だけど、もんだいはせんろがなくなってしまったところだね。りゅうはね、ふつう、おおきなほうせきのたまをおいかけて、いったりきたりするものなのだけど、せんろがそのかわりだったからせんろがなくなってしまったとなるとなぁ。」
たぬきのおやぶんはでっぷりしたおなかに、ちいさなてをあててこまりがお。
「きみ、おおふなとのみち、くわしいかい?」
きいろいネズミが、にゃんこのツバキにたずねました。
にゃんこのツバキはポンとむねをたたきました。「くわしいもくわしくないも、めをつむったってあるけるよ。うみのにおいのとおいちかいでそこがどこかがわかるぐらいだよ。なみのおとだってききわけられるよ、うまれそだった、このよのなかに、たったひとつの、ツバキのまちだもの。」
それをきいたたぬきのおやぶんが、おなかをポーンとならしました。
「それなら、はなしはきまったね!」
こうしてめでたしめでたし、にひきはなかまといっしょに、おおきなりゅうのれっしゃのせんろを、せんろだったところを、はしることになったのでした。
いちのせきからしゅっぱつするきいろいネズミがひきいるとくべつなれっしゃは、こどもだけではなく、おとなにも、がいこくのひとにも、だいにんきです。
けせんぬまについてからは、つばきいろのバスがはしります。バスには、なかまがえがかれています。せんろだったみちだけではなく、にゃんこのツバキだからしっている、とくべつなみちもはしります。
まっかなまっかなツバキがさいて、おいしいりょうりがまっている。うみのいろはどこまでもとうめいでうつくしく、おおきなほうせきのたまが、そらにそのいろをうつしています。ふりかえればやまやまのむこう、めがみさまがみまもっています。ひだまりのえんがわにいるような、おおふなと。
きいろいネズミとにゃんこのツバキは、なかまといっしょに、このまちにいきています。
おしまい
※第29回ふるさと・おおふなとお話大賞に投稿した作品を自身のブログにて連載投稿しています。
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