2017年10月28日、安倍首相は、防衛省で開催された平成29年度自衛隊殉職隊員追悼式に参列して述べました。
「平成29年度自衛隊殉職隊員追悼式に当たり、国の存立を担う崇高な職務に殉ぜられた自衛隊員の御霊に対し、謹んで追悼の誠を捧げます。この度、新たに祀られた御霊は、25柱であります。
ただひたすら国民のため。それぞれの持ち場において、強い使命感と責任感を持って職務の遂行に全身全霊を捧げた皆様は、この国の誇りです。私たちは、その勇姿と名前を永遠に心に刻みつけてまいります。」先立って、安倍首相は2017年10月17日、東京・九段北の靖国神社で始まった秋季例大祭に合わせ、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で「真榊」の供物を奉納しました。
(戦前には、戦死を英雄視することで、もっぱら政治利用された靖国神社ですが、祭られる御霊を称え、戦争遂行意識が全日本国民に洗脳的に煽られました。1942年には、日米開戦を受けて、元日に89万人もの参拝者を迎えています。)
選挙月前の支持率
先の選挙結果について、韓国・聯合ニュースは「安倍首相が圧勝」と報じ「安倍首相は北朝鮮の脅威を利用して改憲を進め、日本が『戦争可能な国』に変わる可能性がある」と報道しました。韓国KBSでも、日本の衆議院選挙結果、改憲派の議席が改憲発議に必要な310議席を上回ったことで、今後に日本の改憲に向けた議論が必然的に進むことになるだろうとの認識を示しています。
ロシア・タス通信も「安倍政権が防衛力強化を目的に改憲を推進する可能性がある」と報じています。英BBCは「野党のひどい混乱の影響により、安倍首相は望みどおり改憲推進の大チャンスを得た」と日本の民主主義を皮肉ったような報道です。アメリカ・ロイター社は安倍首相の在任期間に注目し「日本史上最も長い任期の首相になる可能性がある」として、安倍一強の独裁政治に注目し、アベノミクスによる、対アメリカ/ドル安の金融政策を維持する安倍政権の金融緩和政策を注視しているようです。
アメリカ紙ウォール・ストリート・ジャーナルも「安倍首相の権力基盤が固まった」との認識です。一方、中国・環球時報(電子版)は衆院選の結果について「改憲は安倍首相が5月に発表したスケジュール通りに進むはずだ。もし日本が平和憲法を放棄し、交戦権を得るような実質的な改憲を実現したなら、アジアや世界の安全構図は根本的に変化し、地域の軍備競争を誘発することになるだろう」との識者のコメントを披露しています。
選挙の数月前には、政治の私物化と国会無視の姿勢で、支持率が一旦は低下した安倍内閣ですが、北朝鮮の脅威を煽って安倍政権は支持率を復活させ、小池新党(希望の党)と民進党の合体ドタバタで野党共闘が勢いを失うなかで、安倍首相は、テレビ広告等を上手く利用して好感度をアップさせました。選挙日には大雨の影響もあり投票率が大幅低下するなかで、選挙に強い自民・公明の得票率がやはり伸び、安倍政権の独裁が一層進みました。 しかし、これが日本の民主主義の到達点です。しかし、アベノミクスによる格差の拡大が日本国民にもたらしたものの一つにイジメの増加があります。子供社会は大人社会の鏡です。
自民党の高村副総裁氏は先の衆院選には立候補しませんでしたが、安倍首相の意向で党憲法改正推進本部の特別顧問を引き続き務めています。10月27日の講演では、憲法改正論議について「自民党と公明党、日本維新の会に加え、できたら希望の党と立憲民主党も入れてやっていきたい」と改憲に向け抱負を述べました。特に憲法9条に関して「自衛隊が違憲だという状態はなくさないといけない」とも語り、安倍首相が唱える平和憲法9条の変更(自衛隊明記)の必要性を強調しました。
(一旦は、引退を表明した 宮崎駿監督ですが10月28日、現在制作中の新作の題名は「君たちはどう生きるか」になると明かしました。戦前に右傾化が進んだ日本において、1937年に吉野源三郎氏(戦前に岩波書店入社、明治大学教授等を歴任、戦後は雑誌『世界』の創刊者)が発表した名著から取ったタイトルです。まさに、安倍首相の平和憲法改悪にむけた国民意識の誘導に対抗する希望の作品になりそうです。)