1月20日国会の施政方針演説で「未来は『予言』できない。しかし、『創る』ことはできる。」とのノーベル賞物理学者、デニス・ガボールの言葉を引用した安倍首相ですが、
「まさにデフレマインド、「諦め」という名の「壁」が立ちはだかり、政権交代後も、「アベノミクスで成長なんかできない」。私たちの経済政策には、批判ばかりでありました。・・ 「出来ない」と思われていたことが次々と実現できた。かつての悲観論は完全に間違っていた。そのことを、私たち自公政権は証明しました。」と述べました。
かつて、第二次安倍内閣発足時には、デフレ脱却がアベノミクスの目標とされ、大幅な金融緩和政策が発表されたはずなのですが、結局デフレ脱却及び景気回復には及びませんでした。
また、アベノミクスの第四の矢に位置づけられた財政健全化は進まず、当初予定された消費税率引き上げは延期され、2016年1月29日、日本銀行は日本の歴史上初のマイナス金利導入まで実施しました。
実際のところ、実質賃上は上がらず、スタッグフレーション的な物価上昇で、大株式保有家など資産家と庶民との格差が一層拡大した経済結果になりました。実質可処分所得は30年前以下の水準にまで落ち込んだとの見解もありました。かつての悲観論どおりにアベノミクスは終わりを迎えようとしているのに・・・。「歴史を直視しない歴史修正主義者」と国際社会からは従来手厳しく批難されてきた安倍首相ですが・・・。日本の国会でも、まるで、アベコベのことを言い始めた安倍首相には、もう事実認識そのものが欠落してしまった様子です。
安倍首相は、名目GDPは伸びたとも主張しましたが、実施GDPには触れず、国民1人あたりにも触れませんでした。確かに30年前には世界でもトップクラスに達した日本経済ですが、2016年統計での日本経済の世界的立ち位置は、低迷・悪化の一途です。アベノミクスも国民には資産格差しかもたらしませんでした。(日本は、まだ「GDP世界第3位」の経済大国であると思われていますが購買力平価換算では、もうインドに抜かれて世界4位です。また、「国民 1人あたり」の統計で2015~6年時点の日本の国力を正しく評価すると、GDPは、先進国中最下位(世界第27位)まで落ち込んだままでした。
因みに、 かつては、世界の輸出大国「日本」でしたが、1人あたり輸出額では、世界第44位、1人あたりの製造業生産額はG7先進国の平均以下で、1人あたり研究開発費は世界第10位、1人あたりノーベル賞受賞者数は世界第39位、1人あたりオリンピックのメダル獲得数は世界第50位となります。) いつも大本営のような統計発表ですが・・日本官僚は、相変わらず国民を欺くことにその優秀な能力を消耗し続けている様子です。
外交もしかりでした。「韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新しい時代の協力関係を深化させてまいります。 中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄に大きな責任を有することを、共に自覚し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年という節目を迎える、この機を捉え、「戦略的互恵関係」の原則の下、大局的な観点から、共に努力を重ね、関係改善を進めます。」と、
慰安婦問題で認識の食い違った日韓外交や尖閣列島で緊張しアパホテルの「南京大虐殺」「慰安婦の強制連行」否定書籍でも認識が食い違う日中外交での事実認識についても全く無視した見解も安倍首相は披露しました。
そして「日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸である。これは不変の原則です。できる限り早期に訪米し、トランプ新大統領と同盟の絆を更に強化する考えであります。」とトランプ新大統領に期待した安倍首相ですが、トランプ政権は開始早々揺れています。
CNNにによれば、就任式直前のトランプの支持率は40%と、近年の歴代大統領誕生時の中でも最悪レベルでした。オバマ前大統領の1期目就任直前の支持率が84%だったのと比べるても、不人気ぶりは極端でした。トランプの就任式には、多くの招待スターや約60人もの民主党議員がボイコットを表明しました。外国首脳は、公式招待は各国の駐米大使のみで、日本からは佐々江賢一郎大使が出席しました。その他の招待者は、米上下院議員に「枠」が割り当てられ、大村愛知県知事や片山さつき議員等が参加しました。
しかし、トランプの就任式とパレードを見にワシントンを訪れた人は80万~90万人と報道されましたが。オバマの2009年の就任式に詰めかけた、史上最多の180万人の聴衆から比較すれば、約半分でした。
しかも、ワシントンでは、反トランプ集団が暴動化しマクドナルドやスターバックスなどの店舗の窓ガラスを割ったり車両を破壊したりするなどして217人が逮捕されました。警官も6人が軽傷を負い、数百人規模の集団を退散させるため、警察は唐辛子スプレーを使用しました。
翌日1月21日開かれた、反トランプ女性行進は50万人以上が参加し、式典に参加しなかった映画俳優スカーレット・ヨハンソンや歌手マドンナなどのスターも参加し、「暴圧的新時代を拒否する」と明らかにしました。そして、反トランプデモは、ワシントンだけでなく、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、アトランタなどに及び、アメリカ政治専門紙ザ・ヒルによると、アメリカ全土では少なくとも300万人に膨れ上がったと報道されました。そして、アメリカ50州だけでなく、イギリス、チェコ共和国、デンマーク、スウェーデンなどヨーロッパ、オーストラリア、韓国、日本でもイベントが実施されました。世界70カ国以上で反トランプデモが実施されたといわれます。