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3月14日の参院予算委員会で安倍首相は、国連の女子差別撤廃委員会が最終見解案に皇位継承権を男系男子に限定するのは女性差別だとして皇室典範の差別条項を改正するように勧告を盛り込んでいた問題の質問を受け「わが国の皇位継承のあり方は条約のいう女子に対する差別を目的とするものではないことは明らかだ。撤廃委が皇室典範について取り上げることは全く適当ではない」「わが国の歴史や文化について正しい認識を持つよう、撤廃委をはじめとする国連および各種委員会に対し、あらゆる機会をとらえて働きかける」と述べました。
日本史を少しはかじった日本人から言えば、古代天皇の時代から父系女子で女性天皇が過去に8人(10代)も存在しているのですから、安倍首相らの認識自体がおかしなものです。安倍首相の選挙基盤でもある長州や薩摩出身の明治官僚男子は、西欧文明を日本に取り入れると同時に、男尊女卑の朱子学の影響もあったためか、明治22年に制定された皇室典範では「男系男子之ヲ繼承ス」と皇位を男系男子に限定して、女性皇位の即位を完全否定しました。M
皇室典範だけではありません。古代母系社会の伝統の名残もあり、江戸時代までは、女性が家督の継承をする(婿取り等)風習などや家紋・財産を母系が引き継ぐ風習さえ日本の一部には、あったのですが、明治官僚は、被支配層の民衆にも男尊女卑の精神を徹底しました。男性に限定した戸主制や夫側に名字を限定することなどが決められ、個人財産(家長制度・財産相続制度)を男性に独占させる「家」制度が民法に規定されました。
西欧に学び、江戸時代の身分制度廃止を廃止し四民平等の政策をとった一方で、皇族・華族・士族の支配階級の身分制度を創設し、男尊女卑の家制度を基礎にした富国強兵策の軍事国家を目指した社会は、参政権を男性にしか認めず、経済的に自立する権利も事実上、女性から奪いました。江戸時代に比較しても明治時代は女性の経済的・政治的地位が低下したと言う人さえいます。そして、昭和恐慌・東北の凶作時には、「女子の身売り」が普及し、敗戦後にGHQ(連合国軍総司令部)が、1946年に娼妓解放を指令するまで、婦女子の「人身売買制度」が公然と存在していました。
そのような歴史を踏まえると「わが国の皇室制度も諸外国の王室制度もそれぞれの国の歴史や伝統が背景にあり、国民の支持を得て今日に至っている」と述べた安倍首相の言葉には、明らかに虚偽が隠れているようにしか思えません。皇位の男性限定は伝統でもなければ、男性に限定する皇室継承が国民投票にかけられたこともなく日本国民の支持を得ているわけでもありません。安倍首相の国連批判は、アナクロニズムともいえそうです。
皇室問題もダブー視しない国連・人権委員会は、日本に対し「ヘイトスピーチ禁止」を勧告し、 「それを取り締まる新たな法整備」を要求、「日本軍慰安婦問題でも、日本政府に公式謝罪と加害者の刑事責任を問うよう」勧告し、人権侵害の「特定秘密保護法」や「死刑制度廃止」も要求してきました。岸田外相は3月8日の閣議後会見で、国連女子差別撤廃委員会が3月7日に発表した慰安婦問題を含む日本に関する最終見解において、日本政府に対し元慰安婦への賠償や公式謝罪などを国連・人権委員会が勧告したことについて「日本政府の説明内容を十分踏まえておらず遺憾と受け止めている」と述べました。また、日韓合意への批判についても「潘基文国連事務総長をはじめ米英など多くの国が歓迎している」として、「最終見解の内容は国際社会の受け止めとかけ離れており(国連の)批判はあたらない」と反発しています。
台湾で初めてとなる慰安婦記念館の看板除幕式が3月8日、台北市内の予定地で行われたそうです。式典には馬英九総統や台湾人元慰安婦も出席しました。今年9月に正式開館する予定です。馬総統はあいさつで「台湾籍の慰安婦に新たな一ページを開いた」と祝意を表明、「私は反日派ではない」と述べる馬総統は、慰安婦達は当時、日本の「臣民」だった史実から「日本人はどうして自国民に善意を示せないのか」と韓国には一応謝罪しても、他の国々の慰安婦問題には触れず、慰安婦に直接謝罪もしなかった安倍首相を批判しているかのようです。
(釜山でも、大学生と地元の市民団体が中心となって「未来の世代が建てる平和の少女像推進委員会」が1月20日、釜山市内の日本総領事館前で記者会見を開催し、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日である「光復節」(8月15日)に合わせ、総領事館前に「平和の少女像(慰安婦像)を建立する」ことを表明しました。ソウルの日本大使館前では慰安婦像を囲み、昨年12月の安倍首相が電話謝罪して日韓合意に到った結果に反対する集会や座り込みが続きましたが、反発する市民民団体はさらに慰安婦像を増設する方針を宣言しています。)
また、安倍首相は3月13日の党大会で述べました。「日米安全保障条約改定時、またPKO法制定時、昨年の平和安全法制制定時と同じように、日本は戦争に巻き込まれる、徴兵制が始まる無責任な批判が展開されました。しかし私たちの先輩たちは、それにたじろぐことなく、毅然として決断をしてきました。その決断が正しかったことは歴史が証明しています。平和安全法制もそうであります。」と・・・。やはり、ここの言葉にも虚偽がありました。
日米安全保障条約改定後にベトナム戦争が、またPKO法制定後にイラク戦争があり、昨年の平和安全法制制定時と同じように、日本では大衆の大きな反戦平和の政府批判運動があり、その結果、平和主義が厳守されました。しかし、日本と同じアメリカの同盟国である韓国は、まさに、安倍首相の言うように毅然とした決断をして、自国民の血をアメリカの戦争のために流したのです。
そして「自民党、公明党、連立政権対、こうした民主党、共産党、民共の勢力との戦い・・」になります。と安倍首相は、述べました。一方、民主党・岡田代表は3月13日に首相に対し、「そのまま言葉を返したい。負けるわけにはいかない。自公対国民の良識だ」日本共産党の志位代表も3月13日「事実認識をただしたい。自公対民共ではなく、自公対5野党プラス市民・国民だ」と反論しています。安倍首相は、経過を乗り越え結束を強める主要5野党を「選挙のためだったら何でもする」と批判しますがここにも安倍首相の言葉には虚偽がある様子です。主要野党の主張は何れも、安倍政権は、国民や市民とも対峙しているのだと主張しているようです。
しかし、安倍首相の「選挙のためだったら何でもする・・」との発言は、まさに、安倍首相自身のことを言っているような気もします。
中国新聞網などでは、3月7日の衆議院予算委員会で、福島第1原発の風評被害対策として、福島県産の食品を毎日食べるよう求められたことについて、「福島県産のコメをいただいている。」「製品も食べていきたい」と述べて、3月5日に福島市の復興牧場を視察しヨーグルトを試食するなどが報道され、これに関して、いつもは、安倍首相に対しては厳しい中国ネット参加者が、安倍首相を称賛する声を寄せているなどとも報道がありましたが、まさに、人気取りのためだったら何でもする、安倍首相に対するいやみな賞賛のような気もします。
5年目の3.11を過ぎても、溜まり続ける一方の汚染水の処理の目処が全くつかない状況が続く福島ですが・・・。
(アメリカ原爆による広島長崎のホロコーストもアメリカ水爆による日本マグロ漁船民被爆も日本における異常なまでの原発増設推進も、福島の原発の基本技術さえも・・・実はアメリカの利権を確保した一方で日本民族の命と暮らしを一貫して犠牲にしてきたのが歴史の真実ですが、その天罰が、遂にアメリカには、下されるようです。福島の汚染水は、5年後にはアメリカ西海岸を襲うと予測がされているのです。忘れやすい日本民族が忘れさった復讐の精神を神様は代行してくれるかのようです。)
5年を経た現在も、故郷に帰れず県内外で避難生活を続ける福島県民が10万人近くいます。
溜まる一方の除染残土の処理にも目処がついていません。それでも、年間20ミリシーベルトでも、帰還できると強弁する安倍政権ですが・・・・(チェルノブイリ事故では、年間10ミリシーベルトで強制避難が実施され、1ミリシーベルトで始めて帰還できる権利が認められました。)ここにも虚偽があるような気がします。
福島の復興の見通しが見えないのに、原発再稼動を進めようという、安倍政権は、電力会社の経営配慮と原発利権の維持だけでなく、やはり核兵器の原料確保の狙いの虚偽もあるようです。
海外では、安倍首相は、核兵器保持論者と見られています。核兵器に関して「名前は核兵器とつけばすべて憲法違反だということは……憲法の解釈論としては正しくないのじゃないか」1957年5月7日、参議院予算委員会。安倍晋三現首相の祖父、岸信介首相はそう一旦は発言しています。自衛のための小型核兵器なら違憲ではない―その8日後、岸首相は参院本会議で「核兵器を日本で持とうという考えは、私は毛頭持っておりません」とトーンダウンはしましたが・・。そして、岸氏の遺志を受け継いだ安倍首相は、「憲法上は原子爆弾だって問題はない。小型であれば・・・」2002年5月に早稲田大学で開かれたシンポジウムで、当時官房副長官であった安倍首相も明確に「核兵器使用は違憲ではない」という核兵器保有についての肯定発言をしています。
一番警戒しているのが、実は同盟国アメリカのようです。3月17日アメリカ上院外交委員会で、日本の核燃料再処理でプルトニウムを取り出す処理に関して(韓国や中国も含め)核安全保障と核拡散にとって懸念をもたらす」として計画を中止することが望ましいとの見解を示しました。
実は、3月17日の参院予算委員会で、安倍内閣の横畠内閣法制局長官は、核兵器の使用が憲法に違反するかどうかについて、「憲法上あらゆる種類の核兵器の使用が禁止されているとは考えていない」と明確に述べたのです。核兵器被爆国としての非核3原則を堅持してきた日本の平和主義にも翳りが見えてきました。(被爆地の長崎市民もきっと泣いていることでしょう。)
「憲法上、全てのあらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているというふうには考えておりません」と長官は核の使用も日本には許されると述べた一方で「海外での武力行使は必要最小限度を一般的に超えると解している」との現行の憲法解釈から、核兵器の使用については現行憲法では現実的でないとの考えも示し、(現実的とするには)憲法改正必要というような発言で暗に憲法改正もにおわせました。菅官房長官は会見で、「法制局は過去の国会答弁を踏まえて答弁したと報告を受けている」と弁護し、核兵器の使用についても「ありえないこと」だと発言の火消しに追われていました。
3月7日から韓国軍とアメリカ軍による過去最大規模の合同軍事演習が行われている最中、北朝鮮は3月10日、スカッドミサイルらしき短距離弾道ミサイル2発を日本海に発射したばかりでしたが、 金正恩第一書記は3月15日、朝鮮半島で行われている米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」に反発し、「さまざまな種類の弾道ミサイルの発射実験を断行する」と語り・・・。 3月18日朝には、ノドンらしき弾道ミサイルを2発日本海に打ち込みました。車両型の移動式発射台が使用されたとみており、韓国もアメリカも今回は、事前予測ができなかった様子です。仮に事前予測できないとすれば、パトリオットでの迎撃も、有効には働らかないのでしょうか?。ノドンは・韓国全土・中国東北部・日本全土を射程に収めます。日本なら6〜11分程度で日本各地に着弾すると言われます。車両搭載の発射台で運用され、すでに200~300基を北朝鮮は実戦配備しているとも言われています。(実際問題、発射されれば、ソウルなどでは迎撃はあきらめる?しかないの?韓国のパトリオットはPAC-2で非常に古いもののようです。北朝鮮の脅威に煽られ盧武鉉政権は、ドイツ軍が15年間使用していた中古のパトリオットPAC-2を48基も導入して防衛配備したのですが、その迎撃効果は非常に悪いとされ、新機種のPAC-3に移行する計画です。)
(パトリオット「PAC-3」システムとは、1代前の「PAC-2」が、1991年の湾岸戦争で当初アメリカはイラクのスカッドのほぼ全てをPAC-2撃ち落としたと偽の発表をしたものの、後日調査で実際の命中率はわずか9%だったことが明らかになったため、改良された高性能なものだそうです。日本の首都圏防衛では、パトリオット「PAC-3」が、入間、習志野、武山、霞ヶ浦のに4ヶ所、浜松と岐阜の2箇所に常時配備されているといわれます。また、日本では弾道ミサイルを撃墜するため「SM-3」と言う宇宙空間で迎撃を狙うシステムに加えて、迎撃できずに大気圏に再突入してきたところをパトリオット「PAC-3」で迎え撃つ防衛システムを搭載したイージス艦も6機有しています。しかし高性能な「PAC-3」配備でも、200~300基からの一斉発射などには、全く効果を発揮できないだろうとも言われています。やはり平和外交が最大の防衛だと思うのですが・・・。)
(一方、北朝鮮のミサイル発射に先駆けて、イランが3月8日~9日に実施した弾道ミサイル発射実験は、欧米と交わした核開発放棄の合意には一切、違反していないと、イラン国営テレビでイラン政府外務省のフセイン・ジャベリ・アンサリは主張しています。確かにイランが核開発を放棄すれば、欧米も経済制裁を解除するという合意には、弾頭ミサイル開発の禁止は入っていませんでした。しかし、イランメディアによると、ミサイルには「イスラエルを葬り去れ」とヘブライ語で書いてあり、革命防衛隊のアミル・アリ・ハジザデ准将は、ミサイルはイスラエルを攻撃するために開発されたものだとも語っています。反発するイスラエルのネタニヤフ首相は「国連安保理常任理事国は直ちにイランを罰するべきだ」と主張しています。)