最近,とくに公立中学校あたりで顕著なことなのだが,部活動が学校教育の中で治外法権化しているように思えるのである。部活動といえども,学校の教育の一環として行われているのだろうから,おのずから活動時間の長さや時間帯については規制がかかっていてしかるべきなのだろうが,早朝も放課後も,さらに休日も返上で活動する部というのも最近多いようである。ちょっとエスカレートしすぎではないかと思われることも多々ある。この原因を推察するに,部活動が実質的に校長の管理下から離れていることにあるのではないか。学校の教育活動のなかで,教師にとってもっとも自律性を発揮できるのが部活動の部長(顧問)という立場である。部活動を熱心にやる先生,休日返上で部活動を指導する先生は,よい先生という保護者や世間の考え方も,部活動の部長(顧問)の自律性を後押ししている。つまり,教師にとって,部活動の部長(顧問)は他からの指図を受けずに行える唯一の教育活動となっている。だから,そこにいわゆる自己実現を求める教師も多くなる。生徒も部活動のことなら文句を言わずついてくる。さらに,部活動においては,勝利至上主義の教師が多いし,生徒もまた同じ考えになる。そもそも,スポーツにせよ,文化活動にせよ,勝利至上主義が学校の教育活動の理念の相いれないことは明らかである。そのことは,例えば,スポーツであれば,体育教師ならばよくわかっていることなのだが,ふつう部活動の部長(顧問)になる教師で幅を利かせるのが学生時代にそのスポーツなどを少しかじった程度のいわば素人である。「素人+勝利至上主義」ほど危ないものはない。校長の指導能力の弱い学校ほど,「熱心だ」という名目で,部活動が独走する危険性が高い。校長は,部活動をも教育活動の一環として,きちんと指導方針を明示するべきではないか。あわせて,教員のボランティア的な休日出勤はやめさせたほうがよい。給与が発生しない活動においては,心情的に校長の命令権が及びにくくなるからである。このあたり,考え直す時に来ているのではないか。