社会的に高い地位にいる人や才能にめぐまれた人に対して,
ノーブレス・オブリージュが必要だ,
それがないから腐敗するのだという議論が目に付く。
しかしながら,民主主義社会においては,
権力の腐敗は前提ではなかったか。
権力の腐敗は,常に市民から監視され,
いつでも権力を交換可能にしておくのが
民主主義社会のシステムである。
ノーブレス・オブリージュは,
階級の固定化した社会での倫理である。
階級のない,あるいは流動的な社会で
ノーブレス・オブリージュを持ち出すのは
危険である。
この言葉が持つ倫理観を
もっと慎重に見る必要がある。
この言葉はもともと,
高い身分にいる者が,
自らの命を捨てても
他に奉仕する義務を果たす精神である。
このような厳しい倫理的規制を課すことによって,
高い階級にある者の正当性が確保されていたと考えられる。
このような精神は,
封建社会ではぐくまれた倫理であり,
生産労働に従事する階級と,
社会の秩序や安全の維持を担う代わりに
生産労働を免除されていた階級の区別があって
はじめて成立する倫理である。
現代の日本のように,
階級社会の片鱗もなく,
社会的階層が,賃金や儲けの多寡によって
はかられているにすぎない社会においては
ノーブレス・オブリージュは定着するはずがないのである。
ノーブレス・オブリージュの精神は尊いが,
残念ながら封建遺制である。
これらの倫理を
現在の社会的に上層にいると自認する人たちが使うときには,
自らをノーブレスであるとする心地よさだけを享受し,
結局オブリージュは放置されたままになるのである。
なぜならこのオブリージュをきちんと果たしていると,
社会的な地位を確保し続けることができなくなるからである。
今の日本では,
むしろノーブレス・オブリージュの精神をもつものは,
日夜,身を危険にさらして働いている
名もなき人たちのほうであろう。
ノーブレス・オブリージュなどというよりも,
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」で十分ではないか。
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それがないから腐敗するのだという議論が目に付く。
しかしながら,民主主義社会においては,
権力の腐敗は前提ではなかったか。
権力の腐敗は,常に市民から監視され,
いつでも権力を交換可能にしておくのが
民主主義社会のシステムである。
ノーブレス・オブリージュは,
階級の固定化した社会での倫理である。
階級のない,あるいは流動的な社会で
ノーブレス・オブリージュを持ち出すのは
危険である。
この言葉が持つ倫理観を
もっと慎重に見る必要がある。
この言葉はもともと,
高い身分にいる者が,
自らの命を捨てても
他に奉仕する義務を果たす精神である。
このような厳しい倫理的規制を課すことによって,
高い階級にある者の正当性が確保されていたと考えられる。
このような精神は,
封建社会ではぐくまれた倫理であり,
生産労働に従事する階級と,
社会の秩序や安全の維持を担う代わりに
生産労働を免除されていた階級の区別があって
はじめて成立する倫理である。
現代の日本のように,
階級社会の片鱗もなく,
社会的階層が,賃金や儲けの多寡によって
はかられているにすぎない社会においては
ノーブレス・オブリージュは定着するはずがないのである。
ノーブレス・オブリージュの精神は尊いが,
残念ながら封建遺制である。
これらの倫理を
現在の社会的に上層にいると自認する人たちが使うときには,
自らをノーブレスであるとする心地よさだけを享受し,
結局オブリージュは放置されたままになるのである。
なぜならこのオブリージュをきちんと果たしていると,
社会的な地位を確保し続けることができなくなるからである。
今の日本では,
むしろノーブレス・オブリージュの精神をもつものは,
日夜,身を危険にさらして働いている
名もなき人たちのほうであろう。
ノーブレス・オブリージュなどというよりも,
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」で十分ではないか。
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