ちらほら立っている人がいる程度で比較的空いていた。
運よく席が空いたので腰掛けることにした。
左サイドにかなり高齢の老人がいた。
足の間に手提げの紙袋を挟みこんで何だかボーとしている。
何気なくその老人の様子をみていたら、
紙袋の中に手を突っ込んで何かを取り出そうとしている。
まるでビデオのスローモーションを見るような緩慢な動作で、
しばらくして取り出したものをみると、貯金通帳ではないか!
しかもその通帳にお札がはさんである。
おおよそ2,30枚の1万円札(らしい)が見受けられた。
こんな場所でお金を取り出して大丈夫かいな…と
少々心配しながらみていると、
相変わらずのスローモーな動作で数枚を抜き取り、
通帳の別の場所に分けて挟み込み、
そのまま紙袋に仕舞い込んだ。
やれやれと思って安心したところ、またもや同じことを始め、
今度は胸のポケットに仕舞い込んだ。
小生、その老人があまりにも無防備な様子なので思わず声を掛けた。
「お父さん、お父さん!
こんな所でお金を出したり、数えたりしない方がいいよ!
危ないよ!盗られたらどうする!」
反応は鈍い。
老人の発した言葉はどこかノンビリしていて、しかもまるでかみ合っていない!
「これから届けるところがあって…」
それでも少し頭を下げていたようで、聞いてはいるらしい。
代々木駅で降りていったが、相変わらず緩慢な動作で此方が心配になるほどだ。
たちの悪い奴が見ていなければ良いが、
万一、目をつけられたら一たまりも無いだろう。
高齢者をターゲットにした犯罪が後を絶たないご時勢だ。
かのご老人が無事であったことを祈る。
こちらも小心な高齢者
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