裁判の傍聴

切ない・・・

今日は、中学の先輩の東京高等裁判所での判決の日。
しかし、傍聴の抽選に外れてしまいましたので、
別の方の裁判を傍聴しました。

常習累犯窃盗。
７０になろうとするこの人は、手を縛られて法廷へ入室してきました。

この人の盗んだものは、ぜんそくの薬。
ぜんそくがひどく、病院へ行くお金もないこの人は、
処方箋がなくても買えるという薬屋さんを見つけ、そこで、
ひとつ３千円の薬を万引きしました。

本屋さんで、本も盗みました。
盗んだ本を売って、お金にしようとしたそうです。

ぜんそくが苦しいから。薬がないと怖いから。

４０代の女性の裁判官は、物腰の柔らかな、優しい表情をした方でした。
普通の言葉で話してくれました。
口を尖らして早口で話す検察官に、「ゆっくり話してください」と言ってくれました。

盗むことは悪いことです。
罰を受けることも当然のことです。

しかし、
私は思います。
なぜ、必要な薬が買えずに、盗まなくてはいけなかったのか。
近くに相談できる人はいなかったのか。
今ある制度を使えば、盗まなくても済んだはずなのです。

切ない。
判決は５月始めです。

（レンガ造りの法務局の向こうに見える高い建物が裁判所です。）