江戸川区議会議員 間宮由美のblog * ひとりじゃないよ。プロジェクト*

希望を届けることが私の仕事です。
https://www.mamiyayumi.com

秋田市役所・秋田市立旭北小学校/学力日本1の県で(文教委員会視察*2日目)

2010-09-02 | 学校や子どもたちのこと
学力日本1の県、秋田県。その秋田市教育委員会でお聞きした話に、私は非常に感銘を受けました。

学力向上に関わるとりくみは、秋田のすべての子を対象に
「小・中一貫した考えに立った教育の充実」ということを、共通実践課題としているとのことです。
しかしこれは、ある小学校とある中学校が同じ敷地内で小・中一貫を目指す
あるいは、一部の子たちだけが対象になるというものではありません。
秋田市全体で、秋田市の教育の基本方針と重点を共通の認識にしていこうとしているといいます。

たとえば、小学校6年生の授業を、中学校の教員が教える。
中1の子が、小学生に勉強を教える。
教職員研修においても、小中一貫の考えで行なっていく。

「中1ギャップ」という言葉に表されているように、小学校から中学生になると、
授業の方法も、生活も全く違うものになるために、馴染めず、
不登校となったり、いじめとして表れたりしているということが、
日本中で問題となっています。
ですから、そこをつないでいこうとする試みが、各地でされているわけですが、
ここ秋田でも、大変な努力を、子どもたちのためにしていました。

たとえば「学校訪問」。
これは、すべての小・中学校に、教育委員会から毎年訪問をしているそうです。
教育委員会の指導主事、秋田大学教授(教科教育専門)3名、教科協力員が、
すべてのクラスを参観し、全体会で指導・助言を受けるそうです。

昨日の登米私立北方小学校での授業研究のあり方もそうでしたが、
ここ秋田市でも、授業研究を大事にしていて、
授業を見るだけではなくて、それを校内で、研究者も含めて研究会として行なうという体制を
つくっているということ、私はこれこそ大事なことだと考えています。

東京都では、初任者研修(新人の先生の研修会)などでも、
ベテランの先生の授業を見るということはしても、
日常的に校内で、新人の先生の授業を見合って、研究しているという学校は
多くないのが実状です。
自分の授業を見てもらい、みんなで意見を出し合うことで、より力もついてくるのに、
もったいない、
江戸川区内の学校での研修のあり方を見ながら、そう思っていました。

さらに、研修については、たくさんの研修会が組まれていて、年数や教科、あるいは興味関心によって、
受けられるものが、年間を通して非常に充実をしています。


「子どものことを一番わかっている先生を励ますこと。それが指導主事の役割です。」
とくに、感銘を受けたところのひとつは、「指導主事の役割」をお聞きしたときです。
「先生方のやる気を起こすこと。気づいてもらい、明日からがんばってもらえるようにすること。」
ですから、授業への評価の仕方についても、「終わった授業について、細かい点をくどくど言うな。
この授業は、来年同じ学年を持てばやるかもしれないが、その学年を持たなければ、もう何年もやらないかもしれない。
それであれば、明日につながるような言い方をしなさい。」と、教育長から言われていますと、
指導主事の方は、おっしゃいました。

良い悪い、ではなく、その授業を通して、さらに明日の授業を良くするためには、何が必要であるかという
視点での意見を伝えていくということ、これは、伝える方も勉強しなければなりません。
だって、細かな点をあげつらい、ダメ出しすることは誰にでもできるとおもいませんか。
そうではないと、秋田市教育委員会は一丸となっていました。
指摘するだけ、監視するような教育委員会ではなく、
あくまで「先生方ががんばってもらえるようにすること」
そのために、教育委員会は何をしたらよいかを考える姿勢に、
教育現場で自由にのびのびと授業の実践が、行なわれていることが、目に浮かびました。

そして、そのことはすべて、子どもたちのためにつながっています。


「全国一斉学力テスト」平均からみて高いとか低いではなく、
大事なことは、
子どものわかっていないところを知り、次の授業に役立てること。
また、感銘を受けたもうひとつは、「学力テスト」についてです。
全国一斉学力テストの大きな問題点のひとつとして、
テスト後、解答用紙が返ってくるのが半年近くもあとになるため、
子どものためのテストではない、という批判が相次いでいます。
ここ、秋田市では、子どもが力をつけるためには、
どこができていたか、あるいはどこに課題があるかということがわかることが大切であり、
教師の指導改善の力にもなる。そのためには、少しでも早く返すことが必要だととらえ、
国の結果を待つのではなく、独自に丸付けを行なって、子どもに返しているとのことでした。

そして、国全体の結果の見方についても、
平均より10%正答率が高いということが必要なのではない。
たとえば、国の平均正答率が45%、県の平均正答率が、55%だったとしても
大事なことは、45%はわかっていないということを、知ること。

また、生の数値をそのまま出すことが公表ではないと考える。
数値は、都道府県を並べたら、1位から47位まで並ぶのはあたりまえ。
しかし、1位と2位との差の優位性はほんとうにあるのか。
100で見るから、差が大きい気がするが、中身を見ると、
9問できたのと、8.8問できたのとの違いでしかない。

だから、結果は、学校ごとの比較はせず、秋田県として出している。
結果を持って、尻を叩くのでなく、毎日子どもと接している先生方が一番わかっていることなので、
教育委員会は、その先生の資料となるように、結果についても出していくようにしている。


教師を励ます教育委員会の姿
また、私見ですがと前置きされて、おしゃったこと。
競争原理を持ち込むことも大事と言われるが、そこには危惧をだく。
勉強は教室で1位になることが大事なのではない。それでは、隣が転んだらラッキーと思うようなことになってしまう。
適用障害の教室の子が「僕がこのテストをやっても、秋田県の1位に貢献できない」というようなことを言った。
それでは、まったく違うのです。

教育委員会指導主事さんの、淡々と、でも、とても熱心で、あたたかい言葉をお聞きしながら、
私は、教育の原点を見た気がしました。
そして、大事にすべきことを見失わなければ、
教師のやる気も励ますことができ、それは、すなわち子どもたちのやる気に確実につながっている。
学力の向上は、やはり、競争原理でたたかうことなんかじゃない、
私は、強くそう思いました。

秋田市役所市議会の玄関には、「非核平和都市宣言」のプレートが、光っていました。

話を聞くだけなら、ネットで調べることもできる、ということも思ったこともあります。
しかし、そうではないという充実したものを、今回のお話の中で実感しました。
それを行なっている地域の中で、話を伺い、質疑応答の中で深めること、
しかも、他会派のみなさんと一緒にそれをすることは、
江戸川区の施策に大きく反映することができるものとして、
とても有意義であると実感したのでした。

調査項目「今日的教育課題に対応する教育活動について」



秋田市立旭北小学校
その後、秋田市立旭北小学校へ。
教頭先生(ここでは、副校長という言い方に変えてはいません。また、主幹制度もないということで、
教師をピラミッド型にして、統制していくようなやり方はしていませんでした。)からの説明を受け、
その後、教室をまわりました。


絆を大事にする学校
123年の歴史を持つ旭北小学校では、運動会は地域と一緒に、敬老会へは年1回、1年生が劇を見せに。
絆づくり教育プランとして、地域のふるさと先生から昔遊びを教えてもらったり、
コーラス隊、お話し隊、竿燈まつりへの参加をしたり。
また、友愛訪問といって、一人暮らしのおとりよりのお宅へ、地域の社会福祉協議会の方と一緒に、
子どもたちも訪問をしているそうです。
そして、「2分の1成人式」。10歳になったときに、これから半分、おとなに向かって進みますと、
子どもたちが家庭と、そして家庭と学校が、より強い絆で結ばれるために、行なっているそうです。

しかし、のみ屋さんをたくさんかかえる町で、生活が精一杯の家庭も多く、学力的にも2分をしているとのことでした。
また、転勤が多く、東京含め県外からの転入、転出がしょっちゅうあり、
1年生で入学してから、6年生になるまでの間に、半分しか残らないということです。
そういう学校で、教育開発に力点を置いていました。

「稲づくりマイスターへの道」
道徳の時間に個人情報保護などの情報モラルの学習を行なったり、
また、活用力を育てるために、授業で取り組むたとえば「稲づくり」などの、観察、記録、問題解決を行ない、
パソコン上に取り入れていく。題して、「稲づくりマイスターへの道」

あるいは、ヘチマ、キュウリ、ゴーヤの違いなど、算数で勉強したグラフを使い、画面上でグラフ化していく。

来る途中には青々とした田園が広がっていたものの、ここに住んでいる子たちは、ほとんど農家ではないため、
稲づくりなども、学校でしなければ、知らないままの子たちがほとんどだそうです。
秋田だからといって、みんなが農業を知っているわけではないのですね。

「学校のホームページは、今日の旭北、として、全職員で毎日子どもたちの育ちを記録し、発信している」とのことでした。

先生方が、その地域の子どもたちに、学ばせたいことを選びとり、
子どもと一緒につくっていく学びの姿がありました。

調査項目「ICTの活用状況について/情報モラル指導について」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮城県登米市立北方小学校/... | トップ | アルヴェ/24時間体制のこど... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿