日本共産党の総括意見を申し上げます。
私たちは、地方自治体は、住民に一番身近な行政として、暮らしと福祉を守りながら、住民が主人公の江戸川区をつくるという立場に、立つことが必要であると考えています。
世界的な不況の波は、一自治体である江戸川区にも押し寄せており、区税収入や特別区交付金の減収となり、区民の暮らしの苦しさを象徴するものとなっています。また、「生活の貧困」とともに、「心の貧困」にもしっかりと向き合わなければならない事件も起こっています。
新年度予算では、区民生活を守るための大事な施策の充実が、図られた面もありました。生活援護3課の新設。高齢者のための肺炎球菌ワクチン助成の継続や、子どものためのヒブワクチン助成の開始。また、障害者自立支援協議会における専門部会や、区立幼稚園の障害児介助員についても、必要であれば行なうとされたことは、大きな意義をもつものです。また、ほっとワークえどがわの重要性を国に訴えていただいたことは、継続の大きな力となりました。
しかし、最も身近な政府である江戸川区が、憲法が国民に保障した基本的権利を、どのように実現しようとしているのか、区民の暮らしや福祉、仕事を守る点で、どのようにその役割を果たそうとしているのか、区民が主人公であるという立場は貫かれているか、その視点で見たときに、どうしても、見過ごすことのできない問題が、この度の予算の中に含まれていると考え、反対の意見を表明するものです。
まず、一般会計における反対の理由を、4つの柱から述べます。
その1つは、虐待死事件を通して明らかになった、命を守りきる施策の不足や考え方についてです。
地域力を誇り、子育てしやすい区と標榜している江戸川区が、なぜ一人の小学生の命を守ることができなかったのかが問われています。岡本海渡君のご冥福をお祈りするとともに、子どもたちが安心して育つことのできる区政を実現させるためにも、深く検証し、それに基づく改善を図らなければなりません。
江戸川区が行なった検証報告では、「甘かった」という文字が多くならび、その内容は、具体性に欠けていると言わざるを得ません。虐待防止法の法改正により、子ども家庭支援センターに、虐待の第一義的な責任が明確にされました。にもかかわらず、正規職員1名と、非常勤・再任用5名という職員体制で、よしとしてきたことに問題があったのではないかという指摘に対して、具体的な職員配置についての方向は示されませんでした。
今回の検証は、副区長を始めとした内部検証です。内部検証で留めることなく、第三者である専門家を含めた更なる検討が必要です。そして早急に、専門職員と正規職員を配置すること、専門的な力を養うための児童相談所などでの研修には、さらに一定の期間を設けること。そして、通報があった場合は直ぐに駆けつけられる体制としての、人員や車などを整えること。具体的な対策を示すべきです。
また、学校と教育委員会は、虐待を把握しながら、職員会議等で全体の認識にはしておらず、本来、子どもを真ん中において話し合われるべきことが、されてきていなかったことに、大きな痛みを感じます。
事件直後には、子どもに動揺させないためという理由で、三世代交流の給食会や、海渡君の担任の公開授業発表会を行ない、さらに、地域と学校の連携の手本として松本小学校が掲載された「江戸川の生活指導だより」を、区内全小中学校の教員に配布するなどをすすめた教育委員会の指導は、7歳の子どもの命が奪われ、その子どもと同じ教室や学校へいた子どもたち、そして教員など、事件当事者への配慮が欠けているといわざるをえません。
第3者を含めた検証を行ないながら、担当部署への専門家と正規職員の配置、民主的な学校づくりについて、早急に取り組むことをあらためて、求めるものです。
第2の理由は、図書館行政や保育行政など官製ワーキングプアを拡大し、専門性を軽視する行政姿勢についてです。
図書館に指定管理者制度はなじみません。現在でも都内で9区18市町村が、図書館への指定管管理者制度の導入を否定しています。江戸川区は、篠崎図書館をはじめ、新年度は、葛西4館の図書館を同じ民間業者に移行し、3年後には、中央図書館を含め全図書館を指定管理者制度に移行するとしています。
審議を通じ、区が「今も生きている」と確認した「江戸川区新図書館建設基本計画書」では、「図書館の資産は職員が75%、資料が20%、施設が5%といわれる」とうたわれているにもかかわらず、「役割の分担」などを口実に、時給に換算すれば1,600円台の専門非常勤職員から、時給900円台の契約社員に置き換えることは、官製ワーキングプアの拡大以外の何者でもありません。
指定管理者に移行したばかりの篠崎図書館で、退職・異動が相次ぎ、館長までも異動したというのは、民間業者の都合優先といわざるをえません。
図書資料の選定と購入についても、「選定方針は区がもち、購入は従来通り地元書店組合などから」としながら、指定管理者との契約協定書第13条では、「乙」すなわち「指定管理者が行なう」とされているのは明らかな矛盾であり、削除すべきです。
図書館は、あらゆる年代の区民にとって共有の知的財産、文化の宝庫です。財政削減を主な目的とする指定管理者制度への移行は拙速に図るべきではありません。
また、子ども関連の区立保育園保育士、学童クラブ指導員、区立幼稚園教諭などについては、効率的な行政運営を目指すとして、退職者不補充で、9年前から、一人も採用をしていません。さらに、区立保育園廃止、民営化については、多くの区民の「区立保育園を残して」という声に耳を傾けることをせずにすすめ続けています。
豊かな保育の実施には、繰り返すまでもなく、若い保育士とベテランの保育士のバランスが欠かせません。
区立から民営化されたおひさま保育園の保育士配置状況をみると、20代が39.4%であり、若い職員が大変多く、ベテランの少なさが際立っています。一方、区立保育園では正規保育士670名中20代はわずか9人、1.3%であり、きわめてバランスを欠いています。正規保育士を採用しないという区の方針の結果であり、子どもたちの成長に責任を持った姿勢とはいえません。
子育ての専門家として、区立保育園で築いてきた江戸川区の財産「保育の力」を、今後将来にわたって継承させるためにも、保育士の採用を強く求めます。
反対理由の第3は、スーパー堤防計画を中心とする「まちづくり」における民主主義軽視の姿勢、及び、住民合意なしに土地などの先行買収に多額の税金投入を続けていることです。
北小岩1丁目東部地区・上篠崎1丁目北部地区のスーパー堤防・区画整理事業計画については、多数の住民から反対の声が上がり、住民合意がとれている状況には到底ありまえん。ところが、江戸川区はあたかも事業が始まったかのような錯覚を関係住民に与え、土地建物の先行買収を容易にする条件づくりをし、すでに区民の税金56億円を投資してしまいました。区長は、民主党政権下での河川整備やダム事業の見直しの動向を待とうともせず、「国交省からスーパー堤防中止とは聞いていない」とし、強引な事業化を押し通そうとしています。
「まちづくり」はそこに住む住民こそが主人公であり、住民の意思が何よりも尊重されなければなりません。「よい町ができる」とか、「洪水から区民を守るため」とか、くの意見を押し付けることはやめ、また、合意のない多額の税金投入も中止すべきです。北小岩1丁目東部地区、および上篠崎1丁目北部地区の区画整理事業・スーパー堤防計画に明確に反対するものです。
なお、この計画推進のための予算を削除する修正案を提出しましたが、複数の委員から、賛成の意見をいただき、ありがとうございました。住民の利益にかなうものと考えるものです。
また、審議の過程で、「人格を疑う」という発言があったことは、大変残念なことでした。意見の違いがあったとしても、区民の代表として、声をつなげようとしている議員に対するそのような発言は、区民の声に真摯に向き合っていないこととも、つながってしまうのではないでしょうか。
反対理由の第4は、子どもたち一人一人にゆき届いた教育を行なうための少人数学級や、特別支援を必要とする子どもたちの特別支援学校増設に背を向けている姿勢です。
東京都がこれまでかたくな否定し続けてきた少人数学級について可能になったことは、39人学級と、わずかではありますが、これは大きな変化です。小一プロブレム、中一ギャップ予防・解決のための対策として少人数学級実施が可能になったことについては、積極的に取り組むべきです。
東京都教育委員会の求める「子どもたちに学力を身につけさせる基盤構築」には、「学級の規模縮小」、つまり、「少人数学級」が効果的だと、多くの校長先生、現場の先生方が、都の調査に対して答えています。少人数学級を求める声に対し、「財政負担が大きい」と言う姿勢には、納得がいきません。4月から対象となる中学校1校、小学校4校から、まず少人数学級の実施を行なうべきです。
また、特別に支援を必要とする子どもたちが増え続けています。知的と身体の障害児が通う白鷺、小岩、江戸川の3特別支援学校が、平成26年には統合される予定です。101教室、400人の生徒、200人の教職員のマンモス校となり、障害児の健全な発達に資する方向とは逆行するものと考えます。東京都と区別し得ん教育推進計画、第3次実施計画策定には、江戸川区南部地域に学校の増設を、東京都に求めるべきです。
次に、特別会計における反対理由を申し上げます。
国民健康保険特別会計について申し上げます。
国保料を払えない人に対して、あるいは無保険の子どもをつくらないためには、ていねいに対応していただいているところです。
しかし、国民健康保険料については、払えない人、滞納者が増えているという現実があるにもかかわらず、さらに値上げを行なうということは、区民の健康も暮らしも考慮されていないと言わざるをえません。国保財政立て直しのためには、国の負担を、計画的に1984年度の水準に戻すこと、国保料を誰もが払える水準に引き下げることが、必要ではないでしょうか。全国市長会では、国庫負担割合の引き上げ等による、財政措置の拡充を図ることの要望をされているとのことです。さらに強く国に対して要望することをのぞみます。
また、高すぎるという国保料に苦しむ区民の生活に立つなら、国保料の値上げはすべきできない、という立場にたっていただきたいと考えます。値上げが含まれた特別会計については、反対いたします。
介護保険特別会計について申し上げます。
利用者、ケアマネージャー、事業所、それぞれが混乱なく信頼関係をつくりながら進められるようにとする、ていねいな取り組みを感じます。
しかし、保険料区分についての検討は、国の動向を見てということでありました。低所得者、中所得者に配慮した保険料にしていくためには、23区の中で一番少ない区分のままにしておくべきではなく、区として独自の設定をするべきではないかと考えます。
また、介護施設の充実、特に800人を越える高齢者が、入所できる日を待っている特養ホームの建設は、喫緊の課題です。しかし、施設が不足している事態について、解消を図るための具体的手だてがとられているとはいません。特に、低額で、住み慣れた江戸川区での施設介護をのぞむ声に応えて、特養ホームを積極的につくっていくという予算がみえてこないことは、大変残念なことです。
最後に、後期高齢者医療特別会計について申し上げます。
これは、そもそも年齢で差別する医療制度であり、世界にも例がありません。しかも、民主党政権は、廃止を約束していたにもかかわらず、4月には保険料の値上げを高齢者に押し付けるという提案をしています。また、区民からの苦情も減り、制度として定着してきたという江戸川区の見解は、区民とりわけ高齢者がおかれた厳しい現実を顧みないものといわざるをえません。よって、反対をします。
以上、第1号議案・平成22年度江戸川区一般会計予算、第2号議案・江戸川区国民健康保険事業特別会計予算、第4号議案・江戸川区介護保険事業特別会計予算、第5号議案・江戸川区後期高齢者医療特別会計予算の各議案について、反対の態度を表明し、日本共産党の総括意見といたします。
私たちは、地方自治体は、住民に一番身近な行政として、暮らしと福祉を守りながら、住民が主人公の江戸川区をつくるという立場に、立つことが必要であると考えています。
世界的な不況の波は、一自治体である江戸川区にも押し寄せており、区税収入や特別区交付金の減収となり、区民の暮らしの苦しさを象徴するものとなっています。また、「生活の貧困」とともに、「心の貧困」にもしっかりと向き合わなければならない事件も起こっています。
新年度予算では、区民生活を守るための大事な施策の充実が、図られた面もありました。生活援護3課の新設。高齢者のための肺炎球菌ワクチン助成の継続や、子どものためのヒブワクチン助成の開始。また、障害者自立支援協議会における専門部会や、区立幼稚園の障害児介助員についても、必要であれば行なうとされたことは、大きな意義をもつものです。また、ほっとワークえどがわの重要性を国に訴えていただいたことは、継続の大きな力となりました。
しかし、最も身近な政府である江戸川区が、憲法が国民に保障した基本的権利を、どのように実現しようとしているのか、区民の暮らしや福祉、仕事を守る点で、どのようにその役割を果たそうとしているのか、区民が主人公であるという立場は貫かれているか、その視点で見たときに、どうしても、見過ごすことのできない問題が、この度の予算の中に含まれていると考え、反対の意見を表明するものです。
まず、一般会計における反対の理由を、4つの柱から述べます。
その1つは、虐待死事件を通して明らかになった、命を守りきる施策の不足や考え方についてです。
地域力を誇り、子育てしやすい区と標榜している江戸川区が、なぜ一人の小学生の命を守ることができなかったのかが問われています。岡本海渡君のご冥福をお祈りするとともに、子どもたちが安心して育つことのできる区政を実現させるためにも、深く検証し、それに基づく改善を図らなければなりません。
江戸川区が行なった検証報告では、「甘かった」という文字が多くならび、その内容は、具体性に欠けていると言わざるを得ません。虐待防止法の法改正により、子ども家庭支援センターに、虐待の第一義的な責任が明確にされました。にもかかわらず、正規職員1名と、非常勤・再任用5名という職員体制で、よしとしてきたことに問題があったのではないかという指摘に対して、具体的な職員配置についての方向は示されませんでした。
今回の検証は、副区長を始めとした内部検証です。内部検証で留めることなく、第三者である専門家を含めた更なる検討が必要です。そして早急に、専門職員と正規職員を配置すること、専門的な力を養うための児童相談所などでの研修には、さらに一定の期間を設けること。そして、通報があった場合は直ぐに駆けつけられる体制としての、人員や車などを整えること。具体的な対策を示すべきです。
また、学校と教育委員会は、虐待を把握しながら、職員会議等で全体の認識にはしておらず、本来、子どもを真ん中において話し合われるべきことが、されてきていなかったことに、大きな痛みを感じます。
事件直後には、子どもに動揺させないためという理由で、三世代交流の給食会や、海渡君の担任の公開授業発表会を行ない、さらに、地域と学校の連携の手本として松本小学校が掲載された「江戸川の生活指導だより」を、区内全小中学校の教員に配布するなどをすすめた教育委員会の指導は、7歳の子どもの命が奪われ、その子どもと同じ教室や学校へいた子どもたち、そして教員など、事件当事者への配慮が欠けているといわざるをえません。
第3者を含めた検証を行ないながら、担当部署への専門家と正規職員の配置、民主的な学校づくりについて、早急に取り組むことをあらためて、求めるものです。
第2の理由は、図書館行政や保育行政など官製ワーキングプアを拡大し、専門性を軽視する行政姿勢についてです。
図書館に指定管理者制度はなじみません。現在でも都内で9区18市町村が、図書館への指定管管理者制度の導入を否定しています。江戸川区は、篠崎図書館をはじめ、新年度は、葛西4館の図書館を同じ民間業者に移行し、3年後には、中央図書館を含め全図書館を指定管理者制度に移行するとしています。
審議を通じ、区が「今も生きている」と確認した「江戸川区新図書館建設基本計画書」では、「図書館の資産は職員が75%、資料が20%、施設が5%といわれる」とうたわれているにもかかわらず、「役割の分担」などを口実に、時給に換算すれば1,600円台の専門非常勤職員から、時給900円台の契約社員に置き換えることは、官製ワーキングプアの拡大以外の何者でもありません。
指定管理者に移行したばかりの篠崎図書館で、退職・異動が相次ぎ、館長までも異動したというのは、民間業者の都合優先といわざるをえません。
図書資料の選定と購入についても、「選定方針は区がもち、購入は従来通り地元書店組合などから」としながら、指定管理者との契約協定書第13条では、「乙」すなわち「指定管理者が行なう」とされているのは明らかな矛盾であり、削除すべきです。
図書館は、あらゆる年代の区民にとって共有の知的財産、文化の宝庫です。財政削減を主な目的とする指定管理者制度への移行は拙速に図るべきではありません。
また、子ども関連の区立保育園保育士、学童クラブ指導員、区立幼稚園教諭などについては、効率的な行政運営を目指すとして、退職者不補充で、9年前から、一人も採用をしていません。さらに、区立保育園廃止、民営化については、多くの区民の「区立保育園を残して」という声に耳を傾けることをせずにすすめ続けています。
豊かな保育の実施には、繰り返すまでもなく、若い保育士とベテランの保育士のバランスが欠かせません。
区立から民営化されたおひさま保育園の保育士配置状況をみると、20代が39.4%であり、若い職員が大変多く、ベテランの少なさが際立っています。一方、区立保育園では正規保育士670名中20代はわずか9人、1.3%であり、きわめてバランスを欠いています。正規保育士を採用しないという区の方針の結果であり、子どもたちの成長に責任を持った姿勢とはいえません。
子育ての専門家として、区立保育園で築いてきた江戸川区の財産「保育の力」を、今後将来にわたって継承させるためにも、保育士の採用を強く求めます。
反対理由の第3は、スーパー堤防計画を中心とする「まちづくり」における民主主義軽視の姿勢、及び、住民合意なしに土地などの先行買収に多額の税金投入を続けていることです。
北小岩1丁目東部地区・上篠崎1丁目北部地区のスーパー堤防・区画整理事業計画については、多数の住民から反対の声が上がり、住民合意がとれている状況には到底ありまえん。ところが、江戸川区はあたかも事業が始まったかのような錯覚を関係住民に与え、土地建物の先行買収を容易にする条件づくりをし、すでに区民の税金56億円を投資してしまいました。区長は、民主党政権下での河川整備やダム事業の見直しの動向を待とうともせず、「国交省からスーパー堤防中止とは聞いていない」とし、強引な事業化を押し通そうとしています。
「まちづくり」はそこに住む住民こそが主人公であり、住民の意思が何よりも尊重されなければなりません。「よい町ができる」とか、「洪水から区民を守るため」とか、くの意見を押し付けることはやめ、また、合意のない多額の税金投入も中止すべきです。北小岩1丁目東部地区、および上篠崎1丁目北部地区の区画整理事業・スーパー堤防計画に明確に反対するものです。
なお、この計画推進のための予算を削除する修正案を提出しましたが、複数の委員から、賛成の意見をいただき、ありがとうございました。住民の利益にかなうものと考えるものです。
また、審議の過程で、「人格を疑う」という発言があったことは、大変残念なことでした。意見の違いがあったとしても、区民の代表として、声をつなげようとしている議員に対するそのような発言は、区民の声に真摯に向き合っていないこととも、つながってしまうのではないでしょうか。
反対理由の第4は、子どもたち一人一人にゆき届いた教育を行なうための少人数学級や、特別支援を必要とする子どもたちの特別支援学校増設に背を向けている姿勢です。
東京都がこれまでかたくな否定し続けてきた少人数学級について可能になったことは、39人学級と、わずかではありますが、これは大きな変化です。小一プロブレム、中一ギャップ予防・解決のための対策として少人数学級実施が可能になったことについては、積極的に取り組むべきです。
東京都教育委員会の求める「子どもたちに学力を身につけさせる基盤構築」には、「学級の規模縮小」、つまり、「少人数学級」が効果的だと、多くの校長先生、現場の先生方が、都の調査に対して答えています。少人数学級を求める声に対し、「財政負担が大きい」と言う姿勢には、納得がいきません。4月から対象となる中学校1校、小学校4校から、まず少人数学級の実施を行なうべきです。
また、特別に支援を必要とする子どもたちが増え続けています。知的と身体の障害児が通う白鷺、小岩、江戸川の3特別支援学校が、平成26年には統合される予定です。101教室、400人の生徒、200人の教職員のマンモス校となり、障害児の健全な発達に資する方向とは逆行するものと考えます。東京都と区別し得ん教育推進計画、第3次実施計画策定には、江戸川区南部地域に学校の増設を、東京都に求めるべきです。
次に、特別会計における反対理由を申し上げます。
国民健康保険特別会計について申し上げます。
国保料を払えない人に対して、あるいは無保険の子どもをつくらないためには、ていねいに対応していただいているところです。
しかし、国民健康保険料については、払えない人、滞納者が増えているという現実があるにもかかわらず、さらに値上げを行なうということは、区民の健康も暮らしも考慮されていないと言わざるをえません。国保財政立て直しのためには、国の負担を、計画的に1984年度の水準に戻すこと、国保料を誰もが払える水準に引き下げることが、必要ではないでしょうか。全国市長会では、国庫負担割合の引き上げ等による、財政措置の拡充を図ることの要望をされているとのことです。さらに強く国に対して要望することをのぞみます。
また、高すぎるという国保料に苦しむ区民の生活に立つなら、国保料の値上げはすべきできない、という立場にたっていただきたいと考えます。値上げが含まれた特別会計については、反対いたします。
介護保険特別会計について申し上げます。
利用者、ケアマネージャー、事業所、それぞれが混乱なく信頼関係をつくりながら進められるようにとする、ていねいな取り組みを感じます。
しかし、保険料区分についての検討は、国の動向を見てということでありました。低所得者、中所得者に配慮した保険料にしていくためには、23区の中で一番少ない区分のままにしておくべきではなく、区として独自の設定をするべきではないかと考えます。
また、介護施設の充実、特に800人を越える高齢者が、入所できる日を待っている特養ホームの建設は、喫緊の課題です。しかし、施設が不足している事態について、解消を図るための具体的手だてがとられているとはいません。特に、低額で、住み慣れた江戸川区での施設介護をのぞむ声に応えて、特養ホームを積極的につくっていくという予算がみえてこないことは、大変残念なことです。
最後に、後期高齢者医療特別会計について申し上げます。
これは、そもそも年齢で差別する医療制度であり、世界にも例がありません。しかも、民主党政権は、廃止を約束していたにもかかわらず、4月には保険料の値上げを高齢者に押し付けるという提案をしています。また、区民からの苦情も減り、制度として定着してきたという江戸川区の見解は、区民とりわけ高齢者がおかれた厳しい現実を顧みないものといわざるをえません。よって、反対をします。
以上、第1号議案・平成22年度江戸川区一般会計予算、第2号議案・江戸川区国民健康保険事業特別会計予算、第4号議案・江戸川区介護保険事業特別会計予算、第5号議案・江戸川区後期高齢者医療特別会計予算の各議案について、反対の態度を表明し、日本共産党の総括意見といたします。
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