母の忘れもの

軽度認知障害になった母の記録

自転車

2019-08-08 10:55:14 | 日記
いつの頃からか自転車に乗らなくなった母

少なくともこの1年くらいは乗っていないので「自転車ってまだ乗れるの?」と聞いてみた
「たぶん乗れるけどそういえば乗ってないね」と答えた

私はもう乗れないだろうなってわかっていた
母もわかっているんだろうけど認めたくないんだろうな

うちの実家はマンションで、自転車一台につき駐輪場使用料がかかる
認めたくないのはわかるがただ置いておくだけの自転車の置場に料金がかかるのはもったいないし、うちは実家から歩いて3分ほどの距離で一軒家なので
「もったいないから駐輪場解約してうちで預かろうか?」というと「じゃあそうする」との返事

その話をした後2ヶ月ほど私がバタバタしていて気づけば契約更新の時期を過ぎていた

「忘れてたけど今からでも解約できるなら自転車取りに行こうか?」
と言うと「わかった」と言う

ついでがあったし夕方の出掛けるまでの間の時間で実家に行き用事を済ませ「ついでに自転車ももらっていくわ、カギちょうだい」と言うとあからさまに怪訝な顔

カギを受け取って「じゃあね」と言う私の後ろ姿に母が「なんでも持ってちゃうね」と

私は悪いことしてるのか?
私が得することは何もないよな?
要らないお世話だったのか?
自問しながら帰った

そんなこともまた母は忘れているよね

先生の出張⁉️

2019-08-07 13:54:57 | 日記
軽度認知機能障害の診断がおりてから、母の診察は月に1回のペースだった

月に一度、私は仕事を休み父と3人で診察を受ける

最初の頃は薬の副作用か、母がパニックを起こすことが多かったり母が起こすトラブルに振り回されることも多くて
診察の度にそれを報告すると言う感じ

トラブルを報告すると先生は
「認知症の患者さんは良くなることはないのでご家族がきちんとフォローしてあげてくださいね」
というだけ

フォローと言ってもずっとついて回るわけにもいかないし一緒に住んでいるのに父と母は仲が悪くて一緒に行動することもない
結婚して50年、離婚こそしなかったけど私は母から父の悪口しか聞いたことなかったし父も母のやることには干渉しないことで平穏に暮らしているような夫婦だったから母がトラブルを起こしても今さらどうフォローすればいいのかわからない

そんな父もごみの日をチェックすることから始めてくれていた

だけど先生は冷蔵庫の話を聞いて一緒に買い物に行かない父に「毎月来てもらうのは患者さんに薬を出すと共にご家族の教育のために来てもらってるんです❗認知症は治らないんですからご家族が変わるしかないんですよ‼️」と少し怒ったように言った

先生の言ってることはわかるけど父が急に変わっても母の方が受け入れなければ父のできることは増えていかない
母は自分が忘れていてトラブルが起きていることは理解していないんだから尚更無理な話だ
そうなるともはや母が日々忘れていって話が噛み合わないことはトラブルではないし
母がパニックを起こさなければ先生にわざわざ言うこともないのかもと診察では「最近は落ち着いてます」と言うようになった

パニックを起こさないで3回ほど診察をクリアーしたら先生が「ここのところ落ち着いているようなので毎月じゃなくて少し伸ばしてもいいですよ」と言い始めた
私は月末の方が休みやすいし父も母も私の都合でいいと言うので「じゃあ2か月後で」とお願いした

1ヶ月が過ぎた頃話の節々に「先生も病気なんでしょ?」とか「学会があるんだっけ?」とか言い出す
「なんの話?」と聞くと
母の中では診察が2ヶ月毎になったのは先生が病気になったからとか用事があるからとか先生の都合でそうなったことになっていたらしい

結局2か月目の診察の日まで私は何度も違うと訂正させられる羽目になった

忘れるだけならまだしも欠落している記憶を穴埋めするためにつじつまが合うように作り上げるようになるらしい

母が作り話をする度に聞き流すべきか正すべきかとても悩む

夏休み

2019-08-05 13:58:57 | 日記
とにかく毎日来ては
「今日買い物行く?行くなら連れていって」と言う

夏休みに入ったばかりは息子はコンクールに向けて毎日部活で私は学校まで運転手をさせられ、息子の病院の予定やら娘の歯医者の予定やら朝から出掛ける予定が立て込んでいてもおかまいなしで家に来て、私がいないとなると電話を掛けてきて
「どこにいるの~」と

何日か続けて私が朝からつかまらないと「買い物連れていってよ~」と泣きそうな声で電話がかかってくる

うちの旦那がそけいヘルニアの手術をすることになり手術前の診察の付き添いで病院にいるときも電話攻撃

やっと電話に出れたときは半泣きで「どこにいるの~」と言うので「旦那の診察の付き添いで病院にいる」と言う急に声がしっかりして「まあ、大丈夫なの?」と人が変わったようになる

忘れるとは思いつつもいちおうわかっている大きな予定は教えてあるがやっぱり忘れてる
旦那の診察に付き添う件も言ってあったが初耳のようなリアクション
次の週に入院手術が決まったのでその事も言っておいたけど…

次の日うちに来た母の第一声は
「病院はいつ行くの?」だった

最初はなんのことかわからなくて何度か聞き返してやっと旦那のことだとわかって「来週です」と言ったけど
次の日もその次の日も、毎日同じように旦那は入院中と思い込んだ会話をぶつけてくる

2日くらいの入院で帰ってこれるのに
母の中でうちの旦那はどんな重病なんだろう?

親切のつもりが…

2019-08-04 09:15:34 | 日記
買い物で子供たちが私に「買って」とねだろうとしているものを「あーちゃん(母)が買ってあげる」と自分のかごに入れることが良くあった

私はそんなこととは知らず帰ってきて母は自宅へ帰る

夕方になる頃子供たちが「あ、あーちゃんに買ってもらった飴をもらうの忘れた」と言い出す

以前なら母は「渡すの忘れてた」と持ってきてくれたのにその気配すらない

次の日母が来たので「飴買ってもらったって言ってるけどどうした?」と聞くと「そうだっけ?そんな飴なかったと思う」と言うので母の家に行くと開封済みのその飴が置いてある

娘が買い物中にバームクーヘンを買ってほしいと言う
ちょっと高いのでどうしようか迷っていると横から母が「あーちゃんが買ってあげる」と言って自分のかごにいれる

そして自宅に持ち帰り夕方娘が思い出す
次の日母に聞くと普通に「食べたよ」と言う

何度か繰り返すと子供たちも母に買ってもらうことを警戒するようになる

ある日私と小学4年の娘がアイスクリームを選んでいると隣に来て「あーちゃんもアイス買っていこうかな?一緒に買ってあげるから選びなさい」と娘に言うと娘が「お母さんに買ってもらうからいい‼️」とかたくなに拒む

何度か押し問答をしてちょっとすねた感じで母が諦める

母は母でハーゲンダッツを2個買って会計へ
するとアイスをドライアイス用の袋に入れてもらって私のところに来た母は「アイス溶けちゃうからそっちのアイスと一緒に入れさせて」と言う
ドライアイス用の袋に入れてもらったならドライアイスのコインももらってるはずだよと言うとそんなのもらってないと言う
絶対あるはずとそこでまたひと悶着
一緒にするとまた自分のアイスも持っていかれちゃうと思っている娘も応戦して母はふてくされて「じゃあもう溶けてもいいからこのまま持ってくわ❗」と自分の買い物袋へ

時間にして10分もたってないくらいにふと私の買い物袋の中にあるアイスクリームを見た母が「あれ、あんたもアイス買ったんなら私のアイスも入れてもいい?私のヤツドライアイスくれなかったから」
あきれ顔の娘と顔を見合わせてから「はい、どうぞ」と言った

帰ってきてからすぐ母の分のアイスをドライアイスを残した状態で渡した

「ありがとね~」と帰っていった母が1分ほどで戻ってきて「預けたアイスをもらい忘れた」と

アイスを覚えていたことをほめるべきか買い物袋を確認しないことを責めるべきか

冷蔵庫

2019-08-03 09:41:37 | 日記
一番気になってるのは冷蔵庫。

とにかく同じものばっかり買ってくる

冬は糸こんにゃくと豆腐、長ネギと白菜が4つ5つと出てくる
白菜は1/4を買ってきては野菜室にどんどん押し込むから奥の方でつぶされて腐っている白菜が出てくる

そのまま春を迎え、今度はタケノコがたくさん出てくる
生を湯がいて(下処理しないと食べられないのは覚えているらしい)4つくらいZIPロックに水と一緒に入れてあるものと真空のタケノコも3個くらい見た
でもその状態を1週間後くらいにも見たので何度も「タケノコ、もうヤバイと思うよ」というと「水変えてるから大丈夫」と言う
その後食べたのか捨てたのかはわからないけど夏の始めに真空の方だけになっていた
新玉ねぎも大量に野菜室から出てきた
この前はたくあんが17本出てきた
野菜室はいつも満杯状態なのに、毎日買い物に行く

冷凍庫は去年から入っている魚や肉でパンク寸前
この前は父が破裂しそうなビールを冷凍庫から発見した

子供の夏休みに合わせて私も夏休みに入ったが、私が居るとなると毎日朝からやって来て「買い物に連れてって」と言う

あの冷蔵庫のことを考えるとあまり連れていきたくないし、私も子供の用事で朝から出掛けることも多いので今は1週間に2回ほど一緒に買い物している
その時は「何買ったの?」と聞いてチェックするようにしてるけど
私が連れていかなくても一人で買い物に行っているのであんまり意味はない

父もたまに冷蔵庫の中をチェックしているらしいが、母は父に当たりが強いのでちょっとでも父が片付けようとしたら烈火のごとく怒り出すので父も遠慮がちに少しずつ捨てているらしいが追い付かないと言っていた

冷蔵庫を見て買い物したら?と当初言っていたが母は「冷蔵庫を見て今日やろうと思ってるメニューに足りないものを書いて買ってるのに」と言う
そして気づいた
母は冷蔵庫を見て思い付いたメニューを買い物に行った先で忘れている
メモを見て連想されるメニューに足りないものも買うから同じものが冷蔵庫にたまっていくのだ

だから「冷蔵庫にあるものを書いて行きなよ」と言ったら「そうか❗」と返ってきたけどすぐ忘れているので
また、ないものをメモしてきて堂々巡り