桜が散ってから寒い。
今日は冷たい雨が降っています。
「もうすぐ冬が・・」と言われて思わず頷きそうな雨読の日
『旅のラゴス』(筒井康隆)
この世界でひたすら旅を続ける男ラゴスの話
「この世界」では、人々が高度な文明を失った代わりに「超能力」を獲得しだしているという設定です。
SF、超能力と言えばおなじみと言うか、勝手な妄想が解放される、作者にとって都合の良い設定なのですが・・。
読んでいる途中で、だがしかしまてよ・・と
逆に引っ繰り返して考えてみると、
人類は高度な文明を築いた代わりに、人間が本来持っていた能力を次々と捨ててきたのではないだろうか?と思いました。
言葉によらないコミュニケーション(以心伝心)、高度な視力と聴力、樹上生活も可とする身体能力・・・
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そう言えば、生まれてくる子供は、短時間で人類の進化の歴史を辿ると言われていますが、乳幼児期に現実社会で生きる為にかなりの能力を捨てています。
例えば日本に生まれた子供たちは、RとLの発音の違いを聞き分ける能力を幼児のうちに放棄して、母語である日本語に適応していきます。
受精後2か月までしていたエラ呼吸も陸上生活では不要と言うことで放棄
3歳くらいで「ことば」を獲得したことで、写真のように記憶する能力を喪失し、出来事や場面を「ことば」という網目の荒い「ザル」でしか掬い取ることが出来なくなり、感情や情緒の伝達も難しくなります。
最近は、顔文字やスタンプで補っているようですが。
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便利な生活は、一方で自分の能力を漸減(退化)させているようですね。
でも、このコロナ騒ぎの不便の中で、
人間の知恵と能力、思いやりなどが活性化しつつあるのではないでしょうか?
未曽有うの大変な状況ですが、その萌芽が見えるような気がしませんか?
賭けマージャンを見つからなければ偉いと思われていただろう人もいますが、本当に偉いのは、耐えて頑張っている人、知恵を絞って努力している人たちですよね。コロナ後は、また新しい時代が始まるんだろうと思います。