2017年9月9日(土) 12.972km
累積標高(+)1338.419m(-)-1453.955m
お盆の「六甲山・耐暑登山」以降、暑い間にもう一度何処か登っておきたいと思っていた。そうこうするうちにセミの声も聞こえなくなり、少し秋の気配を感じる日も多くなってきた。天気予報を見ていて、今週末しか無いと思い日取りを決定。しかし前日になっても行先が決められない。取り敢えず食料の買出しだけは済ませておく事にする。
帰宅後に再考。今夏最後の山歩きになるだろう事を考えると、涼しい谷筋を歩きたい。バスが面倒だが、以前に一度歩いた事のあるルート、「金山谷」を「布引滝」まで遡上して「東タツガ岩」経由で「編笠山」に登ろう。
翌日は、南海高野線「白鷺」駅8:09発で「河内長野」駅8:30着。バスは9:04発なので、かなり余裕を持った行動になる。
と言うのも、このバスが強烈に混雑する印象があるからである。最近では2年前の10/24、何時ものメンバーで「岩湧山」に登る際にも臨時バスが出る程の混雑ぶりだった。しかし今日は、予想に反してそれ程の事は無い。やはりススキの季節だけ異常なのだろう。乗客全員が着席して出発。
車中で、この時期は「岩湧山」も空いているのだろうと思うと、急に行きたくなってきた。当初計画のルートは一度歩いた事がある。始めてのルートを歩きたいと言う気持ちも計画変更を後押しした。
しかし「岩湧山」と言っても新しいルートが思い付かない。地図とにらめっこする。数年前、「南葛城山」に登る際、途中まで歩いた事のある「千石谷林道」が目に留まる。希望通りの谷筋の林道で、(地図には無いが)あわよくば途中の支流沿いに山頂を狙えるかもしれない。万が一駄目でも、そのまま林道を進めば、遠回りにはなるが山頂に到達する。
予定変更。こういう事ができるのがソロ登山のいいところだ。
下車予定だった「滝尻」バス停をパスして、終点の「滝畑ダム」で下車。
冒頭に書いた通り市街地ではセミの声を聞かなくなったが、下車した途端、ミンミンゼミの蝉時雨が降り注ぐ。
まだ夏は終わっていないと感じつつ、道路脇の気温表示を見ると21℃。着実に秋も近づいている。
登山口からダイヤモンドトレイルを5分程登ると分岐がある。
トレイルに別れを告げて「千石谷林道」に入る。車が通れる程の広さ、未舗装又はコンクリート舗装。傾斜は緩やかで歩き易い。植林と自然林が入り混じる気持ちいい道を進む。
やがて林道は沢沿いの道になる。涼しげな沢音を聞きながら更に進む。
轟音が聞こえ始める辺りで、林道脇の道を少し下ると眼前に「大滝」が姿を現す。
落差といい、水量といい、名前の通り立派な滝だ。マイナスイオンを浴びながら、一息ついて林道に戻る。
地図によると、そろそろ左手から支流が流れ込んでくる地点が近付いているはずだ。山頂への目印が無いか、見落とさない様に慎重に進む。すると「火の用心」の看板の下に「平野へ」と書かれた小さな木札を発見。
「平野」とは「岩湧山山頂」のすぐ南側にある地名だ。計画変更の際に「山頂への道があるだろう」と考えたのは、半ば願望と言っていい全くの予測だったので、木札を発見した時は我が目を疑った。しかし、沢沿いに細い道が続くのを見て、間違い無いと確信する。思惑が的中して胸がすく思いがした。
ここまでの林道歩きは緩やかな勾配で快適だった。このまま楽に山頂に到達する訳は無い。帳尻を合わせる様に、ここから約45分間の急登が続く。勾配が急である事も辛いが、それよりも植林帯特有の単調な風景が、登っても登っても延々続くのが辛い。
唯一、途中で出会った「ヤマアカガエル」の可愛らしい姿が、心を癒してくれた。
悪戦苦闘の末、やっと頂上一帯に広がるカヤトが見えてきた。
岩湧山は何度となく訪れているが、この瞬間は毎回感動する。しかし同時に、ここで気を抜いてはいけない事は十分承知している。気を引き締めてカヤトの中の急階段をゆっくりと登る。
ススキの穂は出ているが、葉はまだ緑色だ。その葉の上に「キリギリス」が静かに佇んでいた。
振り返るとカヤトの向こうには、秋めいた空の下、「槇尾山」から「三国山」へと連なる雄大な山脈が望める。
花も綺麗で、「コオニユリ」の濃いオレンジと「キキョウ」の鮮やかな紫が至る所で目を楽しませてくれる。
長い階段を登り切り「岩湧山」(897.7m)山頂に到着。
山頂はそれなりに混雑しているが、秋のシーズンに比べると全然静かで、空いているベンチを確保する事が出来た。ここで昼食にする。
(本日のメニュー)
・ラ王(味噌)
・(ラーメントッピング用)豚肉・ネギ
・シーチキンフレークL+マヨネーズ
・キリン 一番搾り500ml
・ワンカップ大関 300ml
今回は何の冒険も無いド定番メニュー。全く面白くは無いが、安定した美味さに満足。
唯一、ビールは何時もと違う銘柄。「一番搾り」が新しくなったという事なので試しに買って見た。「美味い!」
しかし冷静に考えて見ると、このシチュエーションでは冷えてさえいれば美味い訳で、正直今迄の物との違いは分からなかった。
(ここで一句)
頂きで カヤト望みて キリギリス
グラスに注ぐ 一番搾り
高い青空を白い雲が流れて行く。
ススキに混じって咲く花々の上を蝶が舞い飛ぶ。極楽の様な景色を熱燗をチビチビ飲りながら眺めていると、あっと言う間にいい時間になってしまった。ラーメンで締めて店仕舞いする。
ここからは、今迄に何度も歩いたダイヤモンドトレイルを北上する。
「五ツ辻」を越えて、湧水「錦命水」に到着。
ここを訪れると、毎回お湯割用の水を採取するのだが、今日は今迄に無く水量が少ない。パイプの具合の問題ならいいのだが、水脈の異変なら心配だ。500mlのペットボトル2本分採取するのに結構な時間を要した。
「根古峰」「岩湧山三号目」を過ぎて、丸太階段の激下り。この下りは何度歩いてもきつい。膝が笑う。
階段を下り切った所の分岐から「砥石谷」に入るのが常なのだが、今回はトレイルを先へ進む。
少し歩いて「棒谷林道」を下る。初めてのルートなので少し期待していたが、何の変哲も無かった。
流谷の集落に降り立ち、南海高野線「天見」駅に到着。