コーヒーを飲み終え,遠くの富士山を眺めながら,T氏と鯉釣り談議を始め,長距離運転の疲れも感じながらのひと時です.そのうち,遊漁券の確認に関係者が来られ,鯉釣りの情報を聞きながら,このポイントの様子などを少し知ることもできました.
現在,西湖は平時より水位的に1m程増水状態であること,さらにこのポイントはかかりが多く,取り込みが難しいことなど,参考になることを教えてくれました.また,夜釣りは禁止で,日の出から日没までということでした.さらに,このポイントはテントが禁止で夜はテントをたたんで欲しいと言われました.我々のは日よけ雨除けのタープでテントではないのですが,テントと思われたのでしょうね.指示に従い,夜はタープもたたんで朝また立てるということにします.
テーブルには,コーヒーカップとお茶のペットボトルとバイトアラームの受信機が置かれています.気が付けば日差しも強くなり,時刻が午前10時.その時,目の前の私のバイトアラーム(ATT)が「ピ~~」というモノトーンな音を発して,私もTさんもびっくり.釣り座まで傾斜のある岸沿いのがれ場を急いで行くと,勢いよくリールからラインが出ています.まさか,1投目からアタリがあるとは想像していなくて,面食らった感じですが,竿を持つとどうも岩らしきかかりに巻かれている感じです.しばらく竿を煽っていると「ポン」竿が跳ね上がり,糸が外れた感じになり,たるんだラインを巻き上げると,またその先で岩に巻かれている感じです.結局仕掛けは回収できたものの,鯉はバレた状態です.幸先のいいアタリをもらったものの,岩?に巻かれてのバラシとは.底探りしながら水深を測ったりする中では岩などの大きな掛かりは確認できていなかったのですが,先程の監視員の言葉が思い出されます.
気持ちを切り替え,バラした竿を打ち返して,日差しを避けるためにまたタープの下で待機です.T氏と先程のバラシのことを話しているときに,またバイトアラームの音にびっくり.先ほどから1時間ほどで時刻は午前11時です.
先程のバラシがあるものの,今度こそはという気持ちで竿を持つと,何とまた同じようにかかりに巻かれています.確かにラインのリールからの出方が少しそんな感じでもありましたが,まさか今度もまたかという印象です.今回は全く動かずラインブレイクになり,がっくりです.まさか2回連続で同じようなかかりに巻かれるとは.完全に相手の方が1枚上手です.
2回もバラして,いきなり後手に回った感じですが,どう対処するかT氏と話す中でも,なかなかその対応策は浮かびません.後でわかることではありますが,バスボートが必ず今投げているポイントに近づいてくるのが分かり,確かにストラクチャーがありそこに魚が集まっているのが魚探から伺い知れるのでしょう.とは言え,このポイントを避けるわけにはいきません.ここを積極的にアタックする中で釣果に結び付けなければという思いは強くなります.
そして,昼食をとり,またタープの下で待機していると,時刻が午後の1時過ぎ,またバイトアラームの音に.「またか!?」という思いではありますが,今度こそはと思いながら,釣り場に着くと今度ももう1っ本の方の竿にあたりです.前回2回の当りとは違う竿で少し左の奥に打ってあるほうです.
写真の右の竿に2回あたりがあり,右手に魚が走り,右回りで岩に巻かれたのですが,今回は左の竿で水深的には右の竿が5m,左の竿が4mという感じです.今回は左の竿に当りで,一気に直線的に沖に向かって斜め右に走っていき,それまでの2回とは明らかに違い,竿を持った瞬間もかかりに巻かれていることはなく,強烈な引きはあるものの,じっくりやり取りはできます.引きは強いものの,トルクの大きさはさほど感じませんが,なかなか引きの強さが弱まることはありません.5分ほどやり取りした後,50m程沖で背びれと尾びれがその波紋と同時に確認でき状況になりました.少し離れたところではバスボートのアングラーがこちらのやり取りを眺めています.波紋の大きさに驚いてるようです.
魚が浮いたので,これですんなり寄ってくると思ったのですが,この鯉はここからなかなか弱らなく,経験のないような引きを見せ,こちらも気を引き締めなおすことになりました.ここから10分ほどやり取りしながらも,徐々に岸近くに寄せてきました.やっと,ネットを肩に立てかけてネットインの準備態勢に入ります.そして仕掛けをくわえた鯉が見える位置まで来たとき,なんとその鯉の後ろにもう1っ匹の鯉がついてきているではありませんか.産卵時の行動としか思えないのですが,7月の中旬にこの行動は??です.何とかネットインでき,それまでのバラシの無念さも何とか解消された気にもなります.
西湖独特の黄金色の野鯉です.これが魅力で西湖に来たので,達成感のある1本です.
大きさは90台でメーターオーバーとはいきませんが,このクラスから西湖の鯉は始まり,メーターオーバーも手に届くところにありますので,次はそれをと思うのは鯉釣り師の性というべきでしょう.
写真時に鯉を持った時に,鯉の肛門がが少し開いており,産卵時を想起させる感じで,先程のネットイン時にもう1匹の鯉が後ろからついてきた状況と確かに関連していると感じます.西湖ではこの時期も産卵するのかという思いと,西湖ならあり得るかなという思いでもあります.(続く)