サラ☆の物語な毎日とハル文庫

「村上RADIO~村上JAM Special Night」後半のラジオ放送を聞いた!

TOKYO FMホームページより ライブに出演したミュージシャンのみなさん。

8月25日と9月1日の2夜にわたって放送された「村上RADIO~村上JAM Special Night」。
高橋一生と村上春樹自身による、村上春樹の短編朗読が盛り込まれるなど、
なかなか盛りだくさんのプログラムだった。

やっぱり演奏がよかった。
第1夜のクラリネットの北村英治さんの演奏は
耳に心地よくて、とても楽しい気分の波にひたされた。
曲目は、「Memories of you」と「Shine」

村上春樹は北村英治さんについて、こんなふうに述べていた。

村上 僕は学生時代、1970年ごろに水道橋の「スウィング」っていうジャズ喫茶で2年くらいアルバイトをしてたんですよ。水道橋の「スウィング」は、今はもうないんですけど、モダンジャズをかけなくて、ニューオリンズジャズとスウィングジャズと、いわゆる中間派しかかけないっていうすごい偏屈な店でした。僕はそこでアルバイトしているとき、いろんな古いクラリネットの人が好きになって、そのなかでも北村さんのクラリネットがすごく好きでした。
仕事場に行くと、開店して最初のレコードをかけるんですよ。その時のよく僕はテディ・ミーツ・エイジ・トリオの「IT'S BEEN A LONG TIME」が好きで、いつもかけてたんです。これ、本当いいレコードですよね。ちょっとかけてくれますか?


第2夜ではサックスプレーヤーの渡辺貞夫さんが登場。
渡辺貞夫クインテットの演奏も素晴らしくて、
とくに2曲目の「花は咲く」は、心にしみる素敵な調べだった。


スガシカオ母も特別ゲストで登場。
スガシカオについては、村上春樹は次のように語っていた。
 
美雨 春樹さん、スガさんの音楽のどんなところに惹かれたんですか? 
 
村上 あのね、僕もどんなところに惹かれるんだろうってずっと考えてみたんだけど、よくわかんないんだよね。
でも、3つあると思う。ひとつは歌詞が暗くてネガティブなのが多いんだけど(笑)、
すごくそれがいいんだ、毒気があって。でも音楽はそれに比べるとポジティブで前向き。
それが二つ目で、三つ目は歌い方にコブシがないんですよ。
日本の歌手ってだいたいコブシを効かせますよね。
僕は個人的にコブシが苦手なんですよ。 スガ君の曲で、好きなのがあるんだよね。
ただ、なぜかタイトルが思い出せない。
あの、坂道の途中で猫が昼寝してるのなんだっけ? 
 
スガ 「坂の途中」っていう曲ですね。 
 
村上 あとは雨降りのときに濡れた靴で中華屋に入るっていう……。
 
スガ 「濡れた靴」って曲です。 
 
村上 まんまじゃない(笑)。あと好きなのは、「愛と幻想のレスポール」。あれは題名を覚えてる。
あと「おれ、やっぱ月に帰るわ」。歌詞がいいよね。僕はスガさんの歌詞が好きなんです。 
 
スガシカオの演奏は「夜空ノムコウ」。
あらためて聞いてもいい歌だ。


村上春樹が小説を書くことについて語っていた。

美雨  文章を書くこと自体が好きとおっしゃるのが印象的なんですが、この間ラジオの中で村上さんの文章を朗読する機会がありました。声に出していると文章だけで読んでいるときとは違って、音楽みたいな間合いというか、リズムが生まれ出すなあということを発見しました。

村上  僕は文章を書くときに、その音を聴きながら書くんだけど、声に出して読むんじゃないんです。目で読んでいると、音が出るんです。すごく不思議な感覚なんだけど、目で読みながら自分の中で、「内なる無音の音」みたいなものがあって……。それは結構難しい。

美雨  本当に音楽を愛して、ずっと聴いてこられたことで培われた流れというか、フローという感じなのかなと思うんですけど。

村上  だから僕はいつも言うんだけど、僕が小説を書くコツというか、要素というのは、音楽と同じなんです。第一にリズムがなければいけないということ。それからハーモニー。そしてインプロヴィゼーション(即興性)。この3つが僕にとって本当に大事なことです。子どもの頃はずっとピアノを習ってたんだけど、いやだったから途中で放棄してしまって……。僕は楽器が弾けるといいなという気持ちはいつもあったんですが、文章を書くようになってから、楽器を弾くのと同じような喜びが得られるようになったんですよね。それはすごく大きいことです。

美雨  40年間書いてこられましたけれども、次に書きたいことや物語は村上さんの頭の中にありますか?

村上  いまは短編小説を書く時期かなと思います。短編小説をしばらく書いてると長編が書きたくなるんです。それはもう繰り返しだから、次に何を書きたくなるか、それは本当にわからないです。僕はフルマラソンを毎年一回は走るんだけど、それを走っている限り大丈夫だろうなという気はします。

美雨  直接的につながってますか。

村上  フィジカルなものと想像力っていうのは結構つながってると思います。
 
 
IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授もステージに上がるなど、
とても面白い公開収録の放送だった。
録音したから、また聞いちゃおっ。
 
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