サラ☆の物語な毎日とハル文庫

桜並木と三津田富左子さんのこと

関東地方でも、桜の花がいっせいに咲き乱れ、そして散り、春は次ステップへと移行している。(それにしても、寒いけど)

 

今年も神田川沿いの桜並木は見事な花を咲かせた。

三津田富左子さんの淡い菫色の板壁の家にも、花びらが風に吹かれてたくさん乱れ飛んだに違いない。

 

亡くなられて2年の歳月が過ぎた。

三津田さんは、夫をなくしてこの地に小さな家を買い求め、50回の春を過ごした。そして、春にはこの桜並木の下を行き来した。

買い物に行くにも、駅へ行くにも、郵便を出しに行くにも、この桜の下を通らないわけにはいかないので。

 

稚気満々の弾むような心持ちをいつも大事にしていた三津田さんだから、桜の花を見ては、きっと沸き立つ喜びを感じていたに違いない。

 

桃の節句には、白酒を半ダースも買い込んで、チビチビ楽しんでいた。

桜満開の下では、大好きな日本酒を一献、楽しまれたのだろうか?

 

「明日には何が起こるかわからないから、生きているのは楽しくて仕方がない」とけれんみもなく言い放ち、聞くものの気持ちをホッとさせてくれた三津田さん。

 

神田川沿いの桜並木を見ると、その三津田さんのことが、とても、とても懐かしく思い出されるのだ。

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