@サラ☆
一週間前になるけれど、
日テレの金曜ロードショーで『魔女の宅急便』をやるというので
スタンバイして見た。
10年ぶりくらいかな。
いや、楽しい!
まず出だしの展開の速さは神業だと思った。
ラジオの天気予報を聞いて、13歳になった魔女のキキは
お母さんに、今日旅立つことを告げる。
そして、満月の夜の旅立ちのシーン。
その間に、魔女は13歳になったら
修行のためにどこかの街で一人暮らしをすること。
お母さんも魔女で、修行でやってきた街で結婚したことや
代々伝わる魔法の薬があるのに、キキは覚えなかったこと。
あれやこれやの情報を会話で盛り込み、
同級生や街の人たちに見送られる中、キキはホウキに乗って旅立つ。
道連れはクロネコのジジとお父さんにもらったラジオ。
「元気でねー」と見送られて旅立つまで、冒頭部分は約5分だ。
それでだいたいの物語の枠組みが頭に入るのだから、すごい。
そして空を飛び始めてすぐ、「ジジ、ラジオつけて、いま手がふさがっているの」
とキキが黒猫に頼み、夜空のシーンに流れ始めたミュージック。
ズンジャカズンチャ ズンジャカズンチャ♪
のイントロのあとにはじまる歌はユーミンの『ルージュの伝言』だ。
昔、はじめて見たときも、1週間前も、この音楽でもっていかれた。
もう楽しくて楽しくて。
この瞬間に宮崎駿の大ファンになったのは、私だけではないと思う。
ほどなく夜空をホウキに乗って飛んでいる先輩魔女と出会う。
「こんばんわ」(キキ)
「あらあなた新人?」(先輩魔女)
「はい、今夜出発したばかりです」
「その音楽、止めてくださらない? あたし、静かに飛ぶのが好きなの」
「あの、知らない街に住み着くって大変ですか?」
「そりゃね、いろいろあったわ。でも、あたしは占いができるので、まあまあやってるわね」
「占い?」
「近頃は恋占いもやるのよ」
「はあ…」
「あなた、何か特技あって?」
「いえ、いろいろ考えてはいるんですけど」
「そう。あたしはもうじき修行が明けるの。胸を張って帰れるのでうれしいわ。あの町があたしの街なの。大きくはないけど、まあまあってところね。あなたも頑張ってね」
「はい」
「じゃあね」
と別れたところで、「やな感じ。あの猫、見た? ベー」
とジジが言うのだけど、
ここの部分、誰かがピクシブ(イラスト・漫画・小説の投稿や閲覧が楽しめる「イラストコミュニケーションサービス」)にサイドストーリーを上げていて
先輩魔女の方は、キキと別れたあとに、自分の黒猫にこんなことを言うらしい。
「わたし、ツンツンしすぎたかしら。でも、先輩らしくしようと思って。
それに、修行の厳しさを教えてあげないといけないかなと思ったの」
というようなことを話しているそうだ。
先輩魔女には先輩魔女の人生や物語があるってこと。
サイドストーリーを作ったりして、面白いなと思った。
それを言うなら、おばあちゃんがつくったニシンのパイを
しぶしぶ受け取って、このパイ、好きじゃないのに、と言い
キキをガッカリさせ、落ち込ませた女の子については、
宮崎駿氏自身がこんなことを言っていたそうだ。
「僕はあのパーティーの女の子が出てきた時のしゃべり方が気に入ってますけどね。
あれは嘘をついていない、正直な言い方ですよ。
本当にいやなんですよ、要らないっていうのに、またおばあちゃんが料理を送ってきて、みたいな。
ああいう事は世間にはよくある事でしょ。
それはあの場合、キキにとってはショッキングで、
すごくダメージになることかもしれないけど、
そうやって呑み下していかなければいけないことも、
この世の中にはいっぱいあるわけですから」
なるほどー。
たくさんの人たちに愛されるアニメは、「ああでもない、こうでもない」と
いろいろ解釈や思いが行き交うってことでしょうか。
こういうのも、すごく楽しい。
ということで、こちらはもう、いい大人なのに、ワクワクしっぱなしの2時間でした。